ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇の映画専門家レビュー一覧

ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇

世界的ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエによる自伝的ミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』の舞台裏に迫るドキュメンタリー。ゴルチエ自ら企画・脚本・演出を手がけ、2018年パリで初演。その企画から開幕までをクリエーターらの声を交えて追う。マドンナ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ロッシ・デ・パルマ、といったゴルチエのミューズも出演。監督は、フランスの柔道家テディ・リネールやエマニュエル・マクロン仏大統領のドキュメンタリーを手がけてきたヤン・レノレ。
  • 文筆業

    奈々村久生

    ゴルチエ本人とスタッフのコメントや情報がふんだんにちりばめられているだけに、ゴルチエのミュージカル作りをよりじっくり見たいという欲求が掻き立てられる、贅沢な逆説効果。ただ、その喧騒こそがゴルチエの人柄と創造性なのかもしれない。半ば歴史上の人物化したブランドネームの大きさと比べたら、あまりにも等身大の、動いて喋るゴルチエの姿には、遠近感を見失うような感覚すら覚える。ミュージカルのサブテキスト的な役割も大きく、ステージと併せて楽しむのが望ましい。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    楽しかった。衣裳の細部や着て踊るダンサーの苦労など、トラブルも含めて細部まで観察できて実際の公演で見るよりお得だったのでは。もちろんこれは真実をえぐるドキュメンタリーじゃないから、きっともっともっと清濁いろいろあっただろう舞台裏エピソードやゴルチエ氏の性格や半生のマジで都合が悪い部分は描かない。そんなものはこの映画をお金を払って観に来る人は見たがらないからだろう。長い長いCMとしてとてもちゃんと作られていて、なにしろ楽しかったので、これでいいのだ。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    18年製作の映画が塩漬けにされていた理由を勘ぐってしまうが、とにかく最近はデザイン業界を追ったドキュメンタリーが非常に多い。多彩な衣裳に溢れ、デザイナーをはじめモデルやファッション誌の編集者といった最先端のスターが往来し、デザイナーの個性的な自宅を映せば、見栄えのする映画が一本できる。正直そういった動機を超えるドラマを持った、ファッション関係の映画は非常に少ない。ただゴルチエのファンなら楽しめるし、ファッション関係者や服飾史に興味のある方はマスト。

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