コカイン・ベアの映画専門家レビュー一覧

コカイン・ベア

実際の事件をモチーフに、コカインを食べて凶暴化したクマが起こす騒動を描くパニック・アドベンチャー。森を散策する少女ディーディーと友達のヘンリー。巨大グマに遭遇するも様子がどこかおかしい。そこにレンジャーやギャング、警察までもがやって来て……。出演はTV『ジ・アメリカンズ 極秘潜入スパイ』のケリー・ラッセル、「ストレイト・アウタ・コンプトン」のオシェア・ジャクソン・Jr。監督は「チャーリーズ・エンジェル(2019)」のエリザベス・バンクス。
  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    ユーモアはあるけど思ったより本格的な動物パニック物。子役、特に女の子の目の強さがとてもいいので、最初子どもたちの大冒険を期待したが、ドラマ的な見ごたえがいちばんあるのは若手ギャングたちのパート。でも(ギャングも疑似家庭だと考えれば、大人と子どもふたり、のグループ三つが集合する)クライマックスでは、やはり「子ども」がカギとなるのだった。これがレイ・リオッタの遺作だとしたら役柄がちと悲しいなと思ったが、公開待ちの作品がまだあるらしく、ちょっと安心。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    このタイトルを聞いただけで想像して笑ったとおりのことが全部起きるパニック・コメディ。コカインを大量に食べてしまった熊が凶暴化して、麻薬マフィアも警官も子どもも容赦なく襲う。これぞB級(Z級?)映画という設定を、監督のエリザベス・バンクスや昨年急逝したレイ・リオッタをはじめとするキャストがノッて作っているのがよく伝わる。85年の設定で、80年代スピルバーグ映画へのオマージュもふんだん。音楽が元DEVOのマーク・マザーズボウというのも気が利いている。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー

    杉野希妃

    コカイン中毒になってしまった熊が主人公だなんて発想がいかれてる。クセが強い登場人物が次から次へと森に入り、騒動を繰り広げ、熊に負ける者もいれば逃げ切れる者もいる。熊を通してキャラクターの関係性が変化していく様が可笑しい。ストーリーはあってないようなもので、どちらかというと長いコントに近い。あまりに残忍で目を覆いたくなるような描写が絶え間なく襲いかかってくるのでぐったりと疲弊してしまったが、スプラッターやグロい映画が好きな人にはおすすめ。

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