コヴェナント/約束の救出の映画専門家レビュー一覧
コヴェナント/約束の救出
ガイ・リッチー監督&ジェイク・ギレンホール主演のタッグが贈る戦争ドラマ。アフガニスタンで重傷を負って帰国した米軍のジョン・キンリー曹長は、自分を救ってくれたアフガン人通訳のアーメッドが行方不明だと知り、その捜索のため、再びアフガンへ向かう。共演は「エクソダス:神と王」のダール・サリム。
-
映画監督
清原惟
はじめはアメリカの視点に立ちすぎていると思い、ゲーム的な戦闘シーンや、タリバンの人々を動物扱いする米兵にうんざりしながら観ていたが、最後には米兵と米軍に雇われた数多くのアフガン人通訳の絆の話だったとわかる。しかし、彼らと米兵の話は決して美談で終わるものではない。与えられるはずの永住権ももらえず、米軍撤退後に、彼らは殺されたり逃げ隠れたりすることとなった事実が明かされる。米軍が正義の名のもとに行ったことへの批評的な目線があったのはよかった。
-
編集者、映画批評家
高崎俊夫
「捜索者」を嚆矢とする数多の〈seek & sight〉のドラマにはどれも抗しがたい神話的な魅力がある。アフガニスタンを舞台にタリバンの武器倉庫を破壊する特命を帯びた米軍兵士とアフガン人通訳の抜き差しならぬ友情と自己犠牲の美徳を謳いあげた本作もその系譜にある。荒唐無稽スレスレの大胆で巧みに構築された手に汗握る奪還劇はカタルシスを与えるに十分だが、ラスト、米軍の撤退後、タリバンが実権を握ったアフガニスタンで起こった光景に思いを馳せると暗澹とならざる得ない。
-
映画批評・編集
渡部幻
ガイ・リッチーが新境地の開拓に挑んだ佳作。“Guy Ritchie's The Covenant”の原題からその意気込みは伝わる。2018年のアフガニスタン。米国への移住ビザを約束された地元通訳と、彼に命を救われた米軍曹長。国家と政治を排除しきれない題材ではあるが、リッチーが語りたいのは立場を越えて個になる男同士の恩義の物語。もっとも、リッチーには新機軸でも、観客にもそうとは限らないが……。ジェイク・ギレンホールはやはり上手だが、寡黙な通訳のダール・サリムも印象に残る。
1 -
3件表示/全3件