ジョーカー:フォリ・ア・ドゥの映画専門家レビュー一覧

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

「バットマン」シリーズの悪役ジョーカー誕生秘話を描いた「ジョーカー」の完結編となる続編。理不尽な世の代弁者として、時代の寵児となったジョーカー。その前に現れた謎の女リーと共に狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは? 出演は「ビューティフル・デイ」のホアキン・フェニックス、「アリー/ スター誕生」のレディ・ガガ。監督は「ジョーカー」に続き、トッド・フィリップスが続投。
  • 俳優

    小川あん

    ジョーカー、またの名、アーサー・フレックについに終止符。ホアキン・フェニックスの俳優としての居方は真に感銘を受ける。人間離れした表情、身体性、重心のずれ、初作では、ジョーカーを追求し、演じ切った。次ぐ本作は、当人が映画の中でリーと共に歌っていた、まさに愛のエンタテインメント。人間を描くなら愛を探究するのは分かる。が、もったいない。ジョーカーとして、生まれ変わった後に、普遍的な感情に揺さぶられてほしくなかった。興奮が足りなかったのは逸脱しなかったからだろう。

  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    ジョーカーに「過去」や「内面」を付与してしまったのは前作限りしか通用しないことで、絶対無理が来るけどどうするんだろうと思っていたら、形式面(ちょっと「オール・ザット・ジャズ」っぽい)でも内容面でも、やっぱこうするしかないよねという作品に。ジョーカーとアーサーとに主人公が引き裂かれるさまも、前作のほうがよく描けていた気がするけれどどうだろう。ガガ様の影が思ったより薄いが歌は最高。個人的には「バンド・ワゴン」の上映プリントが無事だったかどうかが気になって仕方ない。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    「バットマン」に悪役で登場するジョーカーの誕生秘話を描いた「ジョーカー」の続篇。前作で逮捕されたアーサーは刑務所の中でリーという謎の女性と出会う。全米が注目するアーサーの裁判が始まり、彼の二重人格性に焦点が集まる。レディー・ガガ演じるリーが大きな役割を占め、二人の妄想ミュージカルが全篇にちりばめられた続篇は、人々がカリスマやエンタテインメントを切望することへのスペクタクルな批評だ。今シェイクスピアが生きてこれを観たら、泣いて悔しがるであろう、時を超える悲喜劇の傑作。

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