エイリアン:ロムルスの映画専門家レビュー一覧
エイリアン:ロムルス
「エイリアン」(1979年)のその後の物語を、監督リドリー・スコット自身の製作で映画化。6人の若者たちが足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。そこにいたのは、寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する生命体“エイリアン”だった。監督は、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス。出演は、「プリシラ」のケイリー・スピーニー、ディズニープラス『ライ・レーン』のデヴィッド・ジョンソン、ドラマ『暗黒と神秘の骨』のアーチー・ルノー、「マダム・ウェブ」のイザベラ・メルセード。
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俳優
小川あん
シリーズ1作目「エイリアン」が公開された70年代は、エイリアンが地球外生命体としてSFジャンルに属していたし、まさに未知との遭遇だった。時を超え、今やエイリアンは近くに存在する可能性が高まり、世間的にも目撃の噂が後を絶たない。外惑星ジャクソン採掘植民地という舞台設定には説得力を感じたし、人々の生活模様は想像できた。エイリアンは不気味だということに変わりはないが、驚きのインパクトは弱まった。つまり、時代の先を見据えたリドリー・スコットには敵わない。
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翻訳者、映画批評
篠儀直子
構造だけ取り出せば、ゾンビだらけの呪われた廃墟にうっかり高校生たちが足を踏み入れてしまったみたいなストーリーだが、シリーズにオマージュを捧げたちょっと古風なメカニックデザインと、こけおどしのない演出が、作品全体を引き上げる。第1作に顕著だった「母体恐怖」のモチーフが再度押し出され、リブートと銘打ってはいないがリブートの趣あり。けれども最も魅力的な要素はアンディの設定、およびアンディとレインの関係。彼らを演じる若い俳優ふたりが相当達者で、今後の活躍にも期待大。
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編集者/東北芸術工科大学教授
菅付雅信
「エイリアン」フランチャイズ最新作は1作目と2作目の間の物語。漂流する宇宙ステーションにたどり着いた若者たちがエイリアンと遭遇し壮絶な体験をする。「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスによる1&2作目のエッセンス満載の原点回帰な仕上がり。若手監督らしからぬ熟練の技のような活劇力を見せるが、かつてキャメロン、フィンチャーが自らの作家性をこのフランチャイズで示したような映画作家性はナシ。「エイリアン」フランチャイズは、怪物だけでなく大企業とも抗わないといけないのだ。
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