はたらく細胞の映画専門家レビュー一覧

はたらく細胞

細胞を擬人化して描いたシリーズ累計発行部数1000万部超えの同名漫画とスピンオフ『はたらく細胞 BLACK』を実写映画化。健康的な生活習慣の高校生・日胡と不規則不摂生に生きる父・茂の体内ではたらく細胞たち。その体内に、病原体たちが忍び寄る。出演は、「映画『からかい上手の高木さん』」の永野芽郁、「四月になれば彼女は」の佐藤健、「メタモルフォーゼの縁側」の芦田愛菜、「シャイロックの子供たち」の阿部サダヲ。監督は、「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    前半のコスプレ学芸会的ノリはしんどいが、後半で思いがけずハードな戦争映画然としてきてからは俄然良くなった。「ミクロはマクロに相通じる」という実感は年々強まるばかりなので、人体に起きる致命的な内乱や悲壮な抵抗運動は、地上の戦禍、あるいは壮大な循環システムをもつ地球史にも重なって見えてくる。だから、この星も自分のカラダもどっちもいたわろうぜ、と訴える教訓的娯楽作として楽しんだ。終盤の終末ヴィジョンのクオリティに、ツインズジャパン作品らしさも感じたり。

  • 映画評論家

    北川れい子

    「翔んで埼玉」の武内監督によるさしずめ“翔んで細胞”“翔んで悪玉菌大騒動”! ただ人気コミックだという原作を知らずに観たこちらとしては、CGを駆使したカラフルな体内空間を飛び跳ね、走り回るコスプレ調擬人化キャラのケタタマシサにひたすら脱力。この辺り「翔んで埼玉」と共通する。それでも武内監督は健康な体内を平和国家?に見立て、そこに入り込んできた悪玉菌が国家転覆を企てる危ない存在風に演出して話は進めているが、紅白コンビより悪玉菌たちの方が痛快なのはどうよ。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    原作未読ながらアニメは見ていたので、よくぞここまで実写化できたと感心する。永野芽郁、仲里依紗、加藤諒という〈わかってるキャスティング〉が世界観を引っ張り、佐藤健も真剣に白血球になりきるので白けない。それゆえ新たに加えられた人間ドラマ部分は、極力ドラマが削ぎ落とされているものの壮大な体内世界のみを描くのは予算的にも厳しいための苦肉の策に見えてしまう。父が外で採血した血がたまたま娘に輸血されるのではなく、移植手術によって細胞移動を描いてほしかった。

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