行定勲 ユキサダイサオ

  • 出身地:熊本県
  • 生年月日:1968/08/03

略歴 / Brief history

【伝統と新味を兼ね備えた21世紀邦画界の大黒柱】熊本県の生まれ。映像系の専門学校在学中から製作会社へ入社、テレビ番組の助監督としてキャリアをスタートした。インディーズ系映画にも積極的に関わり、岩井俊二監督の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「LoveLetter」や、林海象監督の「私立探偵濱マイク」シリーズなどで助監督として経験を積む。監督デビューは1997年の「OPENHOUSE」(劇場公開は2003年)。この頃から“ポスト岩井”の呼び声が高かったが、これを見たプロデューサーから声がかかり、2000年公開の「ひまわり」を監督する。初の劇場公開作となったこの作品は、釜山国際映画祭で批評家連盟賞受賞。翌01年公開の「GO」はキネマ旬報ベスト・テンを始め、同年の各映画賞を総ナメにして、一躍、行定の名を世に知らしめた。その後も、年に1~2本のペースで作品を発表し続け、最初のピークを迎えたのが04年。片山恭一のベストセラー小説の映画化「世界の中心で、愛をさけぶ」が興行収入85億を叩き出し、この年の実写邦画ナンバー1の特大ヒット、“セカチュー”ブームを巻き起こす社会現象となった。吉永小百合・渡辺謙主演の超大作「北の零年」(04)では長期ロケを敢行。明治時代の北海道開拓にまつわるドラマを壮大なスケールで描き、大きな話題を呼ぶ。文芸大作「春の雪」(05)を手がけた後は、「遠くの空に消えた」や「クローズド・ノート」(07)など、再び身近な世界を扱ったドラマに立ち返り、小品もあわせてコンスタントに作品を発表し続けている。【岩井的な作風と新たな挑戦】岩井俊二のもとで助監督経験を積んだこともあり、初期の作品では、10~20代の若者の物語を美しい映像とともに綴る岩井的な作風が特徴だった。監督第1作「OPENHOUSE」や「世界の中心で、愛をさけぶ」など、要所で岩井を支えた名カメラマン篠田昇(04年没)を起用したことも、それを印象付ける。だが最近は、「遠くの空に消えた」のように、子どもの起用やセリフを多用した分かりやすいドラマ展開など、やや変化も見られた。また、助監督修業を経て監督デビューという、伝統的なキャリア形成を辿りながらも、古いものに縛られず、WEB作品や出身地熊本のFM局生番組など、新たな試みにもチャレンジ。撮影所的映画製作を志向する一方で、個人映画的な作品作りも両立し、邦画バブル以後の日本映画界を牽引する存在として、今後の活躍が期待されている。

行定勲の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • リボルバー・リリー

    制作年: 2022
    長浦京による同名小説を原作に「窮鼠はチーズの夢を見る」の行定勲が映画化。1924年、東京。謎の男たちに屋敷を襲われ女中らを惨殺された細見慎太。追っ手に取り囲まれ、窮地に陥る彼の前に現れたのは小曾根百合。その手には、S&W M1917リボルバーが握られていた。出演は「はい、泳げません」の綾瀬はるか、「シン・ゴジラ」の長谷川博己、Go!Go!kids/ジャニーズJr.のメンバーで幼少期から俳優としてもキャリアを積んできた羽村仁成。
  • サイド バイ サイド 隣にいる人

    制作年: 2023
    行定勲が企画・プロデュースを担当し、行定作品の脚本を手掛けてきた伊藤ちひろが原案・脚本・監督を務めた作品。目の前に存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山は、その力で人々を癒やしながら、恋人の詩織やその娘・美々と静かに暮らしていたが……。出演は「ヘルドッグス」の坂口健太郎、「映像研には手を出すな!」の齋藤飛鳥、「チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~」の浅香航大、「TANG タング」の市川実日子。
  • ひとりぼっちじゃない

    制作年: 2023
    「世界の中心で、愛をさけぶ」「スカイ・クロウ」などの脚本家・伊藤ちひろが10年の歳月をかけて書き上げた小説を自ら映画化した初監督作品。主人公の歯科医師ススメのなんの変哲もない日常が、アロマ店を経営する宮子に恋をすることで少しづつ変化を帯びていく。ススメ役は伊藤が脚本を書く際にアテ書きしたというKing Gnuのボーカル&キーボード、井口理。宮子役には「恋は光」の馬場ふみか。宮子の友人の蓉子に「PLAN 75」の河合優実。恋愛という世界の中ですら、他者と自己は一つになれないのか。恋愛の歯がゆさを含んだ幸福、不安と嫉妬に葛藤しながら、ススメがたどり着く“生きること”とは……。 不器用なススメの、ナナメでまっすぐな、純愛と狂気の物語。企画・プロデュースは行定勲。
  • BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL

    制作年: 2022
    楽器を持たない異色のパンクバンド“ BiSH”が、行定勲など気鋭のクリエイターとタッグを組んで贈る全6話のオムニバス映画。心に悩みを抱えたダンサーの女性が、不動産屋に連れられて訪れた内見先で、不思議な出来事を体験する(『リノベーション』)。各エピソードに“ BiSH”のメンバー、アイナ・ジ・エンド、ハシヤスメ・アツコ、アユニ・D、リンリン、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチが主演する。
  • 窮鼠はチーズの夢を見る

    制作年: 2020
    水城せとな原作のコミックを「リバーズ・エッジ」の行定勲が実写映画化。広告代理店に勤める大伴恭一は、受け身の性格が災いして不倫を繰り返していた。ある日、妻から派遣された浮気調査員として大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れ、恭一への一途な想いを告白する。出演は、「100回泣くこと」の大倉忠義、「カツベン!」の成田凌、「チワワちゃん」の吉田志織、ドラマ『ルパンの娘』のさとうほなみ、ドラマ『まだ結婚できない男』の咲妃みゆ、「ジムノペディに乱れる」の小原徳子。
  • 破壊の日

    制作年: 2020
    豊田利晃がクラウドファンディングを利用して製作した作品。ある炭鉱で正体不明の怪物が見つかってから7年。やがて村で疫病の噂が広がり、心を病む者が増えていく。そんな中、修験道者の賢一は、この世を救う究極の修行・即神仏に挑むことを決意するが……。出演は「酔うと化け物になる父がつらい」の渋川清彦、バンド“GEZAN”のヴォーカリストとして活躍し、これが映画初出演となるマヒトゥ・ザ・ピーポー、「漫画誕生」のイッセー尾形、「影裏」の松田龍平。

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