山崎貴 ヤマザキタカシ

  • 出身地:長野県松本市
  • 生年月日:1964/06/12

略歴 / Brief history

【VFXを武器にリアルな映像で非現実を構築する視覚派】長野県松本市の生まれ。13歳の時に「スター・ウォーズ」と「未知との遭遇」を見て特撮マンになろうと決意し、阿佐ヶ谷美術専門学校を卒業後の1986年に、日本のVFXスタジオの草分けである“白組”に入社した。ミニチュア製作等を経て、「大病人」(93)、「怖がる人々」(94)、「エコエコアザラク」(95)、「スーパーの女」(96)、「パラサイト・イヴ」(97)などの映画でデジタル合成やSFXを担当。しかし、VFXマンとして活躍するうちに、一本の映画すべての映像面をコントロールしたいと考えるようになり監督を指向、オリジナル企画の『鵺(ぬえ)』が制作会社“ROBOT”の阿部秀司社長の目に留まり、監督デビューが決まった。莫大な製作費が見込まれる『鵺』に代わってデビュー作となったのが、2000年の「ジュブナイル」。少年少女と未来からやって来たロボットとの交流を描いた近未来SFで、監督・脚本・VFXを兼務した山崎は、従来の日本映画にはなかった高度なビジュアル・イメージを展開させた。続く第2作「リターナー」(02)もタイムトラベルが題材のSFアクションだったが、一転、昭和30年代の東京の風景をVFXで描出した「ALWAYS/三丁目の夕日」3部作(05・07・12)では、CGをCGと感じさせない自然な映像表現でVFXの新たな可能性を拡げた。続く「BALLAD/名もなき恋のうた」(09)ではさらに過去に遡って時代劇に挑戦。VFXを多用して、よりリアリズムに徹した戦国時代の合戦描写を実現させた。阿佐ヶ谷美術専門学校時代の同級生だった映画監督・佐藤嗣麻子と結婚。すでにいくつかの作品で共同作業は経験済みで、「SPACE BATTLESHIPヤマト」(10)も山崎監督・佐藤脚本の夫婦コンビである。【日本のVFXマンの第一人者】日本に“VFX(視覚効果)”という言葉を定着させた第一人者であり、CG畑からの監督進出という道筋を切り拓いた先駆的な存在。数々の映画でVFXを担当してきた経験を活かし、映画ファンとしてハリウッド製SFに親しんできた感性からも、まずはVFXを多用する近未来SF作品で演出家としての持ち味を発揮した。転機となったのは、同じようにVFXを多用しながらもそれを近未来的なガジェットに用いるのではなく、失われた過去の情景の再現に費やした「ALWAYS」3部作。観客に昭和のノスタルジーを喚起させ興行的にも大成功を収めて、監督としてのイメージも大きく転換させた。「ALWAYS」で確立されたリアリズムとしてのVFX表現においては、時代劇「BALLAD」でも顕著なように、他の追随を許さぬ先駆者としての筆力に磨きがかかっている。「VFXこそが監督としての最大の武器」と自身も語る通り、ほかのどんな監督にも使いこなせない視覚表現の手段を持っているのは山崎の強みだが、だからこそ、VFXに頼らない部分の演出力が今後も勝負の鍵となる。

山崎貴の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ゴジラ-1.0/C

    制作年: 2023
    「永遠の0」の山崎貴が監督・脚本・VFXを手がけたゴジラ70周年記念作品「ゴジラ-1.0」のモノクロ映像版。様々なマットを駆使しカット単位で調整、撮影されたデータに潜んでいた質感や風景のディテールを発掘し、より怖くリアルなゴジラを浮かび上がらせる。
  • ゴジラ-1.0

    制作年: 2023
    ゴジラ70周年記念作品、実写版30作目。舞台は戦後の日本。何もかもを失い、「無(ゼロ)」になった焦土に突如としてゴジラが上陸。その脅威的な力で日本を「負(マイナス)」に叩き落とそうとする。戦争を生き延びた人々の新たな闘いが始まる。監督・脚本・VFXは山崎貴。主演は神木隆之介、ヒロインに浜辺美波。第1作「ゴジラ」(1954年)と同じく11月3日に公開。山崎貴監督と白組のVFX技術が高く評価され、2024年3月11日(日本時間)、第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。日本映画の同部門受賞は史上初。
    85
  • GHOSTBOOK おばけずかん

    制作年: 2022
    「ALWAYS 三丁目の夕日」「DESTINY 鎌倉ものがたり」の制作チームが贈る、どんな願い事も叶えてくれる一冊の本「おばけずかん」を手に入れた子供たちが数々の試練に立ち向かう異世界冒険ファンタジー。VFXを駆使した美しい映像をクリエイトしてきた山崎貴監督が2000年に発表したデビュー作「ジュブナイル」から20年を経て、「少年少女の成長物語」に原点回帰した。開いてはいけない本を開いてしまった子供たちを、城桧吏、柴崎楓雅、サニーマックレンドン、吉村文香、巻き込まれる瑤子先生を新垣結衣、謎の古本屋店主を神木隆之介が演じた。声の出演には、釘宮理恵、下野紘、杉田智和、大塚明夫たち豪華声優陣に加えて、田中泯が声で山崎監督作4度目の参加を果たした。思わず踊りたくなるような主題歌「異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)」を星野源が軽やかに歌っている。
  • キネマの神様

    制作年: 2020
    松竹映画100 周年を記念した、山田洋次監督による人間ドラマ。助監督として撮影に明け暮れる青春を送ったゴウだったが、今ではすっかりダメ親父となっている。半世紀前にゴウが監督するはずだった映画の脚本が出てきたことから、彼とその家族は再び動き始める。志村けんの逝去を受け、新型コロナウイルス感染症の肺炎により亡くなった、志村けんが務める予定だった主人公のゴウ役を、志村の遺志を継ぎ沢田研二が演じる。また、若き日のゴウを菅田将暉が、妻の淑子とその若き日をそれぞれ宮本信子と永野芽郁が演じている。原作は、原田マハの同名長編小説。
    80
  • STAND BY ME ドラえもん2

    制作年: 2020
    大ヒットした3DCGアニメ映画「ドラえもん」第2弾。おばあちゃんに会いたくなったのび太は、タイムマシンで過去へ。再会したおばあちゃんから“お嫁さんが見たい”と言われたのび太は、ドラえもんと共に、未来の自分の結婚式を見せようとするが……。監督は前作に続いて、山崎貴と八木竜一のコンビが務める。声の出演は水田わさび、大原めぐみらレギュラー陣に加え、「浅田家!」の妻夫木聡、「いちごの唄」の宮本信子、「架空OL日記」のバカリズムらがゲストで参加する。
    92
  • ルパン三世 THE FIRST

    制作年: 2019
    人気シリーズ「ルパン三世」を3DCGアニメとして映画化。伝説の秘宝ブレッソン・ダイアリーを狙うルパンは、考古学を愛する少女レティシアと共にその謎に挑む。だが、2人の前に秘密組織の研究者ランベールと組織を操る謎の男ゲラルトが立ち塞がる……。声の出演は栗田貫一らおなじみのメンバーに加え、『なつぞら』の広瀬すず、「劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」の吉田鋼太郎、「Diner ダイナー」の藤原竜也。監督、脚本を務めるのは、「アルキメデスの大戦」の山崎貴。