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略歴 / Brief history
【ハリウッドで大成功を収めたJ・ホラーの旗手】群馬県前橋市の生まれ。「E.T.」を見て映画製作に携わることを決意、近畿大学芸術学科で演劇・芸能を専攻して、脚本家である石堂淑朗に学ぶ。3年で中途退学して京都に移り、脚本執筆を続けながら自主映画・演劇の世界で活動。1995年、同郷の小栗康平監督「眠る男」の見習いスタッフ参加を機に上京し、数多くのテレビドラマやオリジナルビデオにフリーのスタッフとして参加する。主に助監督の仕事を続けながら、97年に映画技術美学講座(現・映画美学校)第一期生となり、黒沢清、塩田明彦、青山真治、高橋洋の教えを受けた。在学中に製作した短編が注目され、関西テレビ製作のオムニバス・ホラードラマに参加。高橋洋の推薦でOV『呪怨』『呪怨2』(99)の脚本と監督を手がけ、話題を集めた両作は翌2000年に劇場公開もされる。「富江re-birth」(01)で劇場用映画デビューを果たしたのち、ビデオ版をもとにした「呪怨」「呪怨2」(03)が公開されヒットした(タイトルは重なっているが、劇場版はビデオ版のリメイクではなく続編的な内容である)。04年にはハリウッド・リメイク版である「THEJUON/呪怨」を監督。この作品はアメリカでの公開時、2週連続で興行成績1位を記録(日本人監督による作品としては初)し、興収1億ドル超えのメガヒット作となった。日本映画「輪廻」(06)に続いて、再度ハリウッドで監督した「呪怨/パンデミック」(07)もアメリカで興行的成功を収めている。2009年には日本初の長編デジタル3D作品である「戦慄迷宮3D/THESHOCKLABYRINTH」(09)を発表し話題を呼んだ。【手作りの迷宮への案内人】低予算のOV、テレビドラマの世界で研鑽を積んできた清水は、ビデオ版『呪怨2』で話題となった首無し女子高生が、実はただ単に首を倒して歩いていた人間だったように、あるいは幽霊の“鳴き声”が監督自身の声だったように、手作りの工夫で効果的に恐怖を醸し出すことに長けている。「呪怨」シリーズで中心的な舞台となるのは一軒の家だが、時間軸を解体することで立体的にストーリーを語り、別々の場所で展開するエピソードを最終的に集約していくことで、平凡な一軒家を迷宮に変えた。清水作品の本来の魅力、真の恐怖は、観客の安住している時間、空間などの感覚が揺さぶられるところにあり、残酷な場面や奇怪な亡霊は小道具に過ぎない。それが推し進められると「輪廻」の主人公のように、自分自身の存在そのものまでもが覆ることになる。「戦慄迷宮3D」でもデジタル技術は“飛び出す”恐怖よりも迷宮を産み出すために使われた。
清水崇の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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ミンナのウタ(2023)
制作年: 2023「呪怨」の清水崇が監督を務め、GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーが本人役で出演するホラー。ラジオ番組の放送中、不可解な声を聞いた小森は、ラジオ局の倉庫で1本のカセットテープを見つける。その後、小森は姿を消してしまう。出演は、「シン・ウルトラマン」の早見あかり、「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」のマキタスポーツ。 -
忌怪島 きかいじま
制作年: 2023「呪怨」シリーズ、「犬鳴村」、「樹海村」、「牛首村」の『恐怖の村』シリーズの清水崇監督が、島という閉鎖空間を舞台にVR(仮想現実)研究チームに次々と降りかかる惨劇と謎を現実と仮想という2つの空間で斬新に描くホラー作品。出演は、本作が映画初主演になる西畑大吾(なにわ男子)、生駒里奈、平岡祐太、笹野高史、なだぎ武、山本美ほか。 -
世界で戦うフィルムたち
制作年: 2022新人監督・亀山睦木が、自身の作品を国際映画祭へ持ち込むまでの軌跡を記録したドキュメンタリー。SF『12ヶ月のカイ』を110か所以上もの海外の映画祭へ応募し、アメリカ、ヨーロッパへ足を運ぶ亀山。映画関係者へのインタビューを交え、日本映画の現状を見つめる。出演は「あちらにいる鬼」の寺島しのぶ、「アースクエイクバード」の祐真キキ、「天間荘の三姉妹」の北村龍平。 -
エスパーX探偵社 さよならのさがしもの
制作年: 2023「つむぎのラジオ」、「サイキッカーZ」など、インディーズ映画界で注目を集める木場明義が、浅草を舞台に贈る探偵もの。超能力を持つ探偵・松田聖人はある日、1人の女性から、“悪意のある超能力グループから、妹を連れ戻してほしい”と依頼を受ける。出演は、劇団おぼんろを主宰する末原拓馬、「ダウト~嘘つきオトコは誰?~」の佐伯大地。