- キネマ旬報WEB トップ
- スパイク・ジョーンズ
略歴 / Brief history
【ミュージックビデオ出身の新世代アメリカ映画の寵児】アメリカ、メリーランド州ロックヴィルの生まれ。本名アダム・スピーゲル。高校卒業後にロサンゼルスへ移り、スケボーの写真・ビデオの撮影を始める。ソニック・ユースのビデオクリップ『100%』に出演したことから、同クリップを監督した映像作家のタマラ・デイヴィス(ビースティー・ボーイズのフロントマン、マイク・Dの妻)より映像の基礎を学んだ。その親交からビースティー・ボーイズの主宰するレコード・レーベル“グランド・ロイアル”で仕事をするようになり、70年代の刑事ドラマ『スタスキー&ハッチ』をパロディ化したビースティー・ボーイズのミュージックビデオ『サボタージュ』(94)で注目を浴びる。翌1995年の『Buddy Holly』でMTVアワードのベスト・ディレクター賞を受賞。並行してコマーシャル業界へも進出し、ナイキのCM『Guerrilla Tennis』で95年のカンヌ国際広告映画祭でパルムドールを受賞するなど、映像作家として不動の地位を確立する。99年、初監督作「マルコヴィッチの穴」を発表。脚本を手がけたチャーリー・カウフマンとともにアカデミー監督賞、オリジナル脚本賞にノミネートされ華々しいデビューを飾る。2002年にはカウフマンと再び組んで第2作「アダプテーション」を監督。俳優として活動していた時期もあり、デイヴィッド・フィンチャー監督「ゲーム」(97)やデイヴィッド・O・ラッセル監督「スリー・キングス」(99)に出演している。近年では製作側に回ることも多く、自身と同じミュージックビデオ出身のミシェル・ゴンドリーや盟友カウフマンの監督デビュー作のプロデュースのほか、大ヒットテレビ番組『ジャッカス』とその映画版も手がける。映画監督のソフィア・コッポラと結婚していた時期があり、デビューが相前後した90年代後半から2000年代にかけては、夫婦揃って新世代アメリカ映画界の寵児として一世を風靡した。【映画では手作り感を強調】大学の映画学科や映画学校で学んだ経験はなく、スケボー雑誌のライター、写真家、ミュージックビデオ出演を経て映像制作を身につけた現場主義の異業種監督。少年時代に影響を受けたストリートの若者文化、B級映画、70年代の人気テレビ番組やCMなどポップカルチャーの引用に始まり独自の演出法へと発展させ、20代前半よりMTV界気鋭の監督として高く評価される。一方、映画ではむしろオーソドックスな演出を好み、CGやデジタル処理は極力使わない手作り感を強調する。虚構と現実が交錯する浮遊感ある画作りも特徴で、それらの傾向は「かいじゅうたちのいるところ」(09)で際立って見られる。ミュージックビデオやCM監督としての華々しい業績から“映像優先主義者”というイメージを抱かれがちだが、チャーリー・カウフマンの奇抜な脚本を、破綻させず完成に導いたストーリーテリングの力こそ評価すべきという声も多い。
スパイク・ジョーンズの関連作品 / Related Work
作品情報を見る
-
her 世界でひとつの彼女
制作年: 2013デビュー作「マルコヴィッチの穴」で第72回アカデミー賞監督賞にノミネートされ、その後も「アダプテーション」「かいじゅうたちのいるところ」など独自の視点から現代にアプローチするスパイク・ジョーンズ監督が、主演に「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスを迎え、傷心の男と人工知能型OSとの恋を描いたラブストーリー。ほか、「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムス、「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラらが出演。「マッチポイント」のスカーレット・ヨハンソンが主人公が恋する人工知能型OSの声を担う。第71回ゴールデングローブ賞脚本賞受賞。第86回アカデミー賞作品賞、脚本賞、美術賞、歌曲賞、作曲賞にノミネート。80点 -
ジャッカス クソジジイのアメリカ横断チン道中
制作年: 2013大の大人が身体を張って過激なパフォーマンスやいたずらを繰り広げる人気番組『ジャッカス』から、中心メンバーで「メン・イン・ブラック2」などに出演したジョニー・ノックスヴィルが扮する型破りなアーヴィングじいさんを主軸に据えたコメディ。父親を探す8歳の孫と86歳の祖父の旅をベースに、二人が行く先々でドッキリを仕掛け騒動を巻き起こす様を映す。監督は「ジャッカス・ザ・ムービー 日本特別版」「ジャッカス3D」など同シリーズを多く手がけるジェフ・トレメイン。「かいじゅうたちのいるところ」「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズ監督が製作に加わっている。第86回アカデミー賞メイキャップ&スタイリング賞ノミネート。70点 -
みんなの知らないセンダック
制作年: 2009「かいじゅうたちのいるところ」のスパイク・ジョーンズ監督による2作品を同時公開。「わたしを離さないで」のアンドリュー・ガーフィールド主演で、ロボットの恋を描く短編「アイム・ヒア」と、「かいじゅうたちのいるところ」原作のモーリス・センダックに迫るドキュメンタリー「みんなの知らないセンダック」の2本。