浅野和之 アサノカズユキ

  • 生年月日:1954/02/02

略歴 / Brief history

東京都の生まれ。本名・加藤斎孝。子供の頃から人前に出ることが好きで、「自分なりにお調子者道を究めていったら俳優の道にたどり着いていた」と本人は語る。俳優座養成所を前身とする桐朋学園大学短期大学部の演劇専攻に進学、安部公房の講義に刺激を受け、安部公房スタジオに入所して俳優活動を始めた。同所ではパフォーミング・アートの実践が中心だったが、やがてそれ以外の芝居に志向を移し、大学の同級生と1984年に設立した劇団電劇を介して野田秀樹との知遇を得、87年に野田主宰の劇団“夢の遊眠社”に入団。92年の解散まで在籍し、数々の舞台で実力と評価とを培う。小柄細身の体躯、やや面長の顔に眼鏡という、どちらかといえば平均的な容姿において、典型的小市民の特徴を深く読み込んだ役作りで際立ち、表情と身体とが人物像を物語る舞台役者として活躍。2002年、三谷幸喜演出『You are the Top/今宵の君』公演の際、直前に病気降板した主演者の代役を急遽引き受け、見事にこなしたことから三谷作品の常連俳優ともなった。テレビドラマも、遊眠社時代の88年、TBS『意外とシングルガール』出演の頃から定番となり、幅広い役を十全にこなす。特に職種を問わぬ中間管理職的なポジションに多く起用され、フジテレビ『僕の生きる道』03の教頭、『アテンションプリーズ』06のそば屋の父、TBS『世界の中心で、愛をさけぶ』04の医師、『3年B組金八先生』07~11や『ROOKIES』08の校長・教頭といった、主人公らと一定距離で関わる知的な庶民像に安定感を見せた。映画もこの流れを承け、鈴木雅之監督「NIN×NIN/忍者ハットリくん」04の居候家の父、福澤克雄監督「私は貝になりたい」08の通訳ほかに助演。三谷の監督作にも常連で、「ザ・マジックアワー」08では医師に化けた伝説の殺し屋に扮した。06年に『ブラウニング・バージョン』『12人の優しい日本人』で、11年に『叔母との旅』で読売演劇大賞最優秀男優賞を二度受賞。11年の『ベッジ・パードン』は一人11役が話題を呼ぶなど舞台が活動の主体であり、映画・ドラマは余裕の実力披露と言えよう。

浅野和之の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 橋ものがたり「約束」

    制作年: 2024
    時代小説の名手・藤沢周平の傑作短編集『橋ものがたり』に収録された切ないラブストーリー『約束』を、ドラマ『北の国から』シリーズの杉田成道監督が映画化。長い奉公の年季が明けた職人と幼馴染の女性が橋の上で再会するまでを描く。「メンドウな人々」「わたくしどもは。」など近年映画出演が続く歌舞伎界のプリンス、片岡千之助が時代劇初主演。共演は北香那、元雪組トップスターの望海風斗、山口紗弥加、余貴美子、風吹ジュン、橋爪功。
  • 湯道

    制作年: 2023
    「土竜の唄」の生田斗真主演、「おくりびと」の脚本を手がけた放送作家の小山薫堂が企画・脚本を担ったコメディドラマ。父が遺した銭湯を畳みマンションに建て替えようとして店に戻った史朗だったが、入院した弟に代わり数日間銭湯を切り盛りすることになる。湯道とは、小山薫堂が提唱した、入浴の価値を改めて見出し、茶道や華道のようにひとつの道へと昇華させようというもの。監督は、『HERO』シリーズや「マスカレード」シリーズを手がけてきた鈴木雅之。うだつが上がらず実家に戻ってきた兄・史朗を生田斗真が、銭湯まるきん温泉を営む弟の悟朗を濱田岳が、まるきん温泉で働くいづみを橋本環奈が演じる。
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  • バラシファイト

    制作年: 2023
    舞台公演後に劇場内を現場復帰する撤収作業“バラシ”にスポットを当てたバトルアクション。終演後、打ち上げの参加権を賭けた“バラシファイト“が始まった。演出部の若手舞台監督・巴川健一は、打ち上げに参加する意味を見出せずに悩みながらも各部署と対峙する。出演は「八王子ゾンビーズ」の小澤雄太、「ウルトラマントリガー エピソードZ」の寺坂頼我。放送作家・演出家の開沼豊監督による劇場デビュー作。
  • 劇場版 ラジエーションハウス

    制作年: 2022
    集英社のマンガ雑誌『グランドジャンプ』で連載中の『ラジエーションハウス』を映像化した人気ドラマシリーズの劇場映画版。放射線技師という裏方の活躍に焦点をあてた新たな医療エンタテイメント。離島で謎の感染症が発生、“チームラジハ”の新たな活躍が始まる。主人公の放射線技師・五十嵐唯織に窪田正孝のほか、本田翼、広瀬アリス、遠藤憲一などドラマのキャストがそのまま登場。監督は「マスカレード・ナイト」「HERO」シリーズの鈴木雅之。脚本はドラマ『ナイト・ドクター』『好きな人がいること』の大北はるか。
  • Red

    制作年: 2019
    島本理生が家庭を持つ女性の官能と苦悩を綴った不倫小説を「幼な子われらに生まれ」の三島有紀子監督が映画化。ごく普通に結婚しかわいい娘に恵まれ、塔子の生活には何の問題もないはずだったが、かつての恋人・鞍田と再会し、徐々に心も身体も解放していく。やり場のない思いから解き放たれていく塔子を「ブルーアワーにぶっ飛ばす」の夏帆が、昔の恋人・鞍田を「パラダイス・ネクスト」の妻夫木聡が演じるほか、「火口のふたり」の柄本佑、「殺さない彼と死なない彼女」の間宮祥太朗らが出演。
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  • 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

    制作年: 2018
    インターネットの質問サイトで話題となった投稿を基にしたコミックエッセイを「神様はバリにいる」の李闘士男監督が実写映画化。結婚3年目のサラリーマン・じゅんが帰宅すると、玄関で妻のちえが死んだふりをしていた。それ以降、ちえは奇行を繰り返し……。出演は「64 ロクヨン」の榮倉奈々、「俳優 亀岡拓次」の安田顕、「神弓 KAMIYUMI」の大谷亮平、元宝塚歌劇団の野々すみ花。脚本をTV『コウノドリ』の坪田文が務める。
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