ビリー・ワイルダー ビリー・ワイルダー

  • 出身地:オーストリア=ハンガリー(現ポーランド)、ズーハ
  • 生年月日:1906年6月22日
  • 没年月日:2002年3月2日

略歴 / Brief history

【喜劇からシリアス・ドラマまで傑作を撮り続けた名匠】ポーランドのズーハ(当時はオーストリア領)に生まれる。ウィーン大学を中退後、新聞記者を経て脚本家となる。ナチの台頭で、ユダヤ人の彼は1933年にフランスに渡った。34年、“Mauvaise Graine” で監督デビュー。翌35年、メキシコを経由してアメリカに渡った。英語を話せないために、ドイツ語で書いた脚本を英訳して映画会社に売り込むが、2年間は全く売れなかった。エルンスト・ルビッチ監督の「青髯八人目の妻」(38)、「ニノチカ」(40)を、チャールズ・ブラケットと組んで脚本を書いた。42年“The Major and the Minor”で本格的に監督デビュー。以降、自作のほとんどの製作を担当し、脚本は前期はブラケット、後期はI・A・L・ダイアモンドとの共同で書いている。45年の「失われた週末」は、アル中の主人公の生態を緊迫した雰囲気で、緻密に描いた秀作。アカデミー賞の作品・監督・主演男優賞などを受賞した。そして50年の「サンセット大通り」はハリウッドの内幕もので、復活を夢見る大スターと売れない脚本家の出会いから生まれた壮絶なドラマを描く。捕虜収容所の脱走もの「第十七捕虜収容所」(53)、オードリー・ヘップバーンの「麗しのサブリナ」(54)、マリリン・モンローの「七年目の浮気」(55)、リンドバーグ飛行士の偉業を描く「翼よ! あれが巴里の灯だ」(56)、再度オードリーとゲイリー・クーパーのメロドラマの傑作「昼下りの情事」(57)、アガサ・クリスティ原作の法廷劇の傑作「情婦」(57)、モンローとトニー・カーティス&ジャック・レモンのコメディの傑作「お熱いのがお好き」(59)などなど、多彩なジャンルをことごとく傑作に仕上げる一流の腕を披露した。【現代人の哀歓を巧みに描く】60年には記念すべき「アパートの鍵貸します」を監督。サラリーマンの悲哀を笑いとペーソスで描いた傑作で、再度アカデミー賞の作品・監督賞を受賞した。主演のジャック・レモンとは以降も、「あなただけ今晩は」(63)、「恋人よ帰れ!わが胸に」(66)、「お熱い夜をあなたに」(72)、「フロント・ページ」(74)、「バディ・バディ」(81)でコンビを組み、ワイルダーの後期の作品で象徴的な、現代人の哀歓を巧みに描いたコメディでレモンは主演するのである。ほかにはキム・ノヴァクと「ねえ!キスしてよ」(64)、本格的な探偵映画「シャーロック・ホームズの冒険」(70)、再度ハリウッドの内幕に挑んだ「悲愁」(79) と、晩年まで意欲的だった。7個のオスカーを獲得(監督賞、脚本賞、アーヴィング・タルバーグ賞、作品賞まで含めて)、ノミネートは20回という記録を持っている。

ビリー・ワイルダーの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • サブリナ

    制作年: 1995
    オードリー・ヘップバーン主演、ビリー・ワイルダー監督の名作「麗しのサブリナ」(54)を現代的にアレンジして再映画化したロマンティックなラヴストーリー。監督は「ザ・ファーム 法律事務所」のシドニー・ポラックで、製作も同作のスコット・ルーディンとポラックの共同。サム・テイラーの戯曲を基にした前作の脚本をベースに、バーバラ・ベネデクと「ザ・ファーム」のデイヴィッド・レイフィールが脚色。ロングアイランドの町並みからパリの街頭までロケーションが効果的な撮影は、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティ監督らのコンビで知られる名匠ジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽は「シンドラーのリスト」の巨匠ジョン・ウィリアムス(2)、美術はブライアン・モリスが担当。主演は「レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い」のジュリア・オーモンド、「今そこにある危機」のハリソン・フォード、NBCテレビの人気トーク番組のホストを務め、本作が初の映画出演となるグレッグ・キニア。「カイロの紫のバラ」のジョン・ウッド、「冷たい夜は死の匂い」のアンジー・ディッキンソン、「ランボー」シリーズのリチャード・クレンナ、「日曜日が待ち遠しい!」のファニー・アルダンらベテラン勢が脇を固めている。
    70
  • お熱い夜をあなたに

    制作年: 1973
    父の急死によって初めて人生の楽しみ方を知る男の物語。製作・監督は「シャーロック・ホームズの冒険」のビリー・ワイルダー、サム・テイラーの戯曲をワイルダーとI・A・L・ダイアモンドが脚色。撮影はルイジ・クヴェイレル、音楽はカルロ・ルスティケリ、編集はラルフ・E・ウィンタースが各々担当。出演はジャック・レモン、ジュリエット・ミルズ、クライヴ・レヴィル、エドワード・アンドリュース、ジャンフランコ・バッラ、フランコ・アングリザノ、ピッポ・フランコ、フランコ・アカンポラ、ジゼルダ・カストリーニなど。
  • シャーロック・ホームズの冒険(1970)

    制作年: 1970
    聖書につぐ世界のベストセラーと言われる探偵小説の主人公“シャーロック・ホームズ”の書かれざる私生活。製作・オリジナル脚本は「昼下がりの情事」「アパートの鍵貸します」「恋人よ帰れ! わが胸に」などの名コンビ、監督のビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンド、撮影は「チキ・チキ・バン・バン」のクリストファー・チャリス、音楽は「ベン・ハー(1959)」のミクロス・ローザ、美術をトニー・イングリス、編集はアーネスト・ウォルターがそれぞれ担当。出演は「ミス・ブロディの青春」のロバート・スティーブンス、「魚が出てきた日」のコリン・ブレークリー、「昼顔」のジュヌヴィエーヴ・パージュ、「マジック・クリスチャン」のクリストファー・リー。その他、アイリーン・ハンドル、モリー・モーリンなど。
    90
  • ニノチカ

    制作年: 1939
    「奥様は顔が二つ」に先じて作られた、同じくグレタ・ガルボとメリヴィン・ダクラスが主演する映画で、「天使」「桃色の店」のエルンスト・ルビッチが監督した1939年作品。ストーリーはメルシオール・レンギールが書き、「失われた週末」「青髭8人目の妻」の脚色チーム、チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダーが更に「未完成交響楽」のウォルター・ライシュと協力して脚本を執筆した。撮影は「裸の町」のウィリアム・ダニエルスである。助演者は舞台女優アイナ・クレアを始め、「フランケンシュタインの幽霊」のベラ・ルゴシ、「マルクス捕物帳 カサブランカの一夜」のシグ・ルーマン、「恋のブラジル」のフェリックス・ブレッサートその他。なお音楽は「桃色の店」「青髭8人目の妻」のウェルナー・リヒアルト・ハイマンが作曲した。
    90
  • 深夜の告白(1944)

    制作年: 1944
    「流刑の大陸」のジョセフ・シストロム製作の心理スリラー映画、1944年作品。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』などの作家ジェームズ・M・ケインの小説を「皇帝円舞曲」のビリー・ワイルダーと「見知らぬ乗客」のレイモンド・チャンドラーが脚色、ワイルダーが監督にあたった。撮影は「砂漠部隊」のジョン・サイツ、音楽は「悲恋の王女エリザベス」のミクロス・ローザの担当。主演は「スピード王(1950)」のバーバラ・スタンウィックと「ジャバへの順風」のフレッド・マクマレイで、「飾窓の女」のエドワード・G・ロビンソンが共演。以下当時新進のジーン・ヘザー、「月世界征服(1950)」のトム・パワーズ、バイロン・バー、リチャード・ゲインズらが出演する。
    97
  • 恋人よ帰れ!わが胸に

    制作年: 1966
    「あなただけ今晩は」の監督ビリー・ワイルダーが長年のパートナー、I・A・L・ダイアモンドと共同で脚本を書き、ワイルダーが製作・監督した。撮影はジョセフ・ラシェル、音楽はアンドレ・プレヴィンが担当した。出演は「グレート・レース」のジャック・レモン、「蜃気楼」のウォルター・マッソー、「テキサスの四人」のロン・リッチ、「西部開拓史」のクリフ・オズモンド、ジュディ・ウェストほか。