ルネ・クレマン

  • 出身地:フランス、ジロンド県ボルドー
  • 生年月日:1913年3月18日
  • 没年月日:1996年3月17日

略歴 / Brief history

【人々の哀しみや苦悩をこまやかに描出】フランス、ジロンド県ボルドーの生まれ。少年時代から映画に興味を持ち、パリに出て美術学校に入る。1931年ころから16 ミリの短編映画、35ミリのアニメーションを作った。カメラマン、助監督として活動し、36年には短編「左側に気をつけろ」で監督としてデビュー。以後43年までに7 本の短編映画を作った。戦争直後の45年には、ナチ占領下のフランス鉄道従業員組合のレジスタンスを描いた「鉄路の闘い」を発表、カンヌ映画祭グランプリを受賞し注目を浴びる。また同年、ジャン・コクトーの「美女と野獣」の技術顧問を務めた。次いで、ナチの潜水艦を舞台にした「海の牙」(47)、ジャン・ギャバン主演の「鉄格子の彼方」(49)、そして52年「禁じられた遊び」で、小さな子供の十字架遊びを通して反戦を痛烈に、しかし詩情豊かに訴え、ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。さらにエミール・ゾラ原作の「居酒屋」(56)では19世紀の混乱したパリの下町を舞台に、極度の貧困に悩む主人公以下登場人物の悲惨さを描いた。これでルネ・クレマンの名は、フランス映画界のみならず、世界的な一流監督として不動のものとなったのである。【ヌーヴェル・ヴァーグに対抗して】60年には、貧乏ゆえに根深い劣等感を持つ男が犯した行為を、華麗なるサスペンスとして描いた「太陽がいっぱい」を撮る。当時ヌーヴェル・ヴァーグが著しく台頭してきた時代で、脚本を「二重の鍵」のポール・ジェゴフ、撮影を「いとこ同志」「大人は判ってくれない」のアンリ・ドカエに依頼するなど、旧世代であるクレマンは彼らへの対抗意識から製作したといわれている。この作品でアラン・ドロンが一躍スターダムに上った。さらに「生きる歓び」(60)、「危険がいっぱい」(64)とドロン作品が続き、66年には大作「パリは燃えているか」を撮る。第二次大戦末期、パリのレジスタンスの活動の姿、そして、連合軍によるパリ解放までの2週間の壮絶な情景を、豪華な俳優陣で描いたものだ。チャールズ・ブロンソンの人気を定着させたサスペンス「雨の訪問者」(70)、これも産業スパイを描いたサスペンス「パリは霧にぬれて」(71)、ジプシーとギャング一味から追われる男を主人公にしたファンタスティックなミステリー「狼は天使の匂い」(72)、そしてミステリー・ロマン「危険なめぐり逢い」(75)など、フランス映画の巨匠の座に安住することなく娯楽作、商業作品を連発した。以降は映画製作から離れるようになっていった。

ルネ・クレマンの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 左側に気をつけろ

    制作年: 1936
    ジャック・タチのリヴァイヴァル上映の一遍として公開された。
  • ヨーロッパ特急

    制作年: 1984
    ヨーロッパを舞台に日本人のカメラマンと某国の王女との愛を描く。肌本は「刑事物語2 りんごの詩」の黒井和男と、本作品で初めて監督を手がけた大原豊の共同執筆。撮影は「TOSHI_in_TAKARAZUKA_Love_Forever ラブ・フォーエバー」の加藤雄大がそれぞれ担当。
  • 危険なめぐり逢い

    制作年: 1975
    性格のまったく逆な二人の若い娘が闖入者によって数奇な運命にまき込まれていくさまを描くサスペンス。製作はカルロ・ポンティとジャック・バール、監督は「狼は天使の匂い」のルネ・クレマン、脚本はクレマンとマーク・ペプローの共同、原案はルチアーノ・ヴィンセンツォーニとニコラ・バダルッコ、撮影はアルベルト・スパノーリ、音楽はフランシス・レイが各々担当。出演はシドニー・ローム、マリア・シュナイダー、ロバート・ヴォーン、ヴィック・モロー、ナジャ・ティラー、ジョン・ウィッティングトン、レナート・ポツェットなど。
  • 狼は天使の匂い

    制作年: 1973
    カナダを舞台に、孤独なアウト・サイダーたちの戦いを描く。製作はセルジュ・シルベルマン、監督は「パリは霧にぬれて」のルネ・クルマン、デイヴィッド・グッディス原作の「暗い金曜日」をセバスチャン・ジャプリゾが脚色。撮影はエドモンド・リチャード。音楽はフランシス・レイ。編集はロジャー・ドワイアが各々担当。出演はロバート・ライアン、ジャン=ルイ・トランティニヤン、レア・マッサリ、アルド・レイ、ティサ・ファロー、ジャン・ガバン、ナディーヌ・ナボコフ、アンドレ・ローレンスなど。
  • パリは霧にぬれて

    制作年: 1971
    現代の高度に発達した産業社会の緊張によって生み出される不安と恐怖に苛まれ疲弊する現代人の心理状態を描出するサスペンス・ドラマ。製作はロベール・ドルフマン、監督は「雨の訪問者」のルネ・クレマン、アーサー・カバノーの小説『子供たちがいなくなった』をクレマンと「黒衣の花嫁」のダニエル・ブーランジェが共同脚色、シナリオはシドニー・ブックマンとエリナー・ペリーの共同、撮影はアンドレア・ヴァインディング、音楽はジルベール・ベコーが各々担当。出演は「小さな巨人」のフェイ・ダナウェイ、「わが愛は消え去りて」のフランク・ランジェラ、「哀愁の花びら」のバーバラ・パーキンス、カレン・ブランゲルノン、レイモン・ジェローム、モーリス・ロネなど。
  • 雨の訪問者

    制作年: 1970
    雨の降るある日、不気味な男が訪れ、ひとりの女が殺人事件にまきこまれて行く。製作は「さらば友よ」のセルジュ・シルベルマン、監督は「パリは燃えているか」のルネ・クレマン。脚本は、フランス推理小説界の第一人者である「シンデレラの罠」のジャン・セバスチャン・ジャプリゾのオリジナル。撮影はアンドレア・ヴァインディング、音楽は「白い恋人たち」のフランシス・レイ、編集はフランソワーズ・ジャヴェがそれぞれ担当。出演は「さらば友よ」のチャールズ・ブロンソン、「ある日アンヌは」のマルレーヌ・ジョベール、「野性の眼」のガブリエレ・テンティ、ジル・アイアランド、マーク・マッツァ、ジャン・ガヴァンなど。

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