リドリー・スコット リドリースコット

  • 出身地:イギリス、ノーサンバーランド、サウスシールズ
  • 生年月日:1937年11月30日

略歴 / Brief history

【映像の魔術師はハリウッドのジャンルを異化する】イギリス、サウスシールズの生まれ。二つの美術大学でグラフィック・デザインや舞台美術を学び、16ミリ短編映画を制作した。卒業後にBBCに入社、セット・デザイナーや番組演出を経て、1965年にCF製作会社を設立する。約1900本(本人談)のCFを手がけたのち、77年の「デュエリスト/決闘者」で映画監督に進出。弟のトニー・スコットも映画監督で、息子のジェイク、娘のジョーダンもともに監督デビューを果たした。ハリウッドで活躍する現在も英国に弟と共同で製作会社やスタジオを抱え、米英を行き来している。コンラッド原作による時代ものの「デュエリスト」はカンヌ映画祭で新人監督賞を受賞。これが20世紀フォックス上層部の目に留まり、SFゴシックホラー「エイリアン」でハリウッドに進出、大ヒットを記録する。続くSFハードボイルド「ブレードランナー」がカルト的な評価を得て、ビジュアリストの地位を確保した。大阪ロケの「ブラック・レイン」も話題を振りまき、女性2人組が主人公のロードムービー「テルマ&ルイーズ」でアカデミー賞の監督賞に初ノミネート。一時は低迷も囁かれたものの、史劇大作の「グラディエーター」がついに同作品賞に輝く。「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」でヒットメーカーの地位も不動のものとし、以来、大作から中規模作品において様々なジャンルのハリウッド作品を監督し続けている。【異端なる者の視線】デビュー作から一貫して映像派として称えられてきた。バックライトやコントラストの強い照明、スモークもしくは綿埃や粉雪がたゆたう空間、長焦点レンズの多用……こうした“スコット印”を随所にちりばめるスタイリッシュな映像美が特徴。初期のヒット作「エイリアン」は闘う強いヒロイン像をハリウッドに定着させ、このテーマは「テルマ& ルイーズ」や「G.I.ジェーン」で繰り返された。多くの作品では、異文化に対面した人物、もしくは大状況に放り込まれた異端児の闘いを追うという共通モチーフが指摘されている。「エイリアン」は「ジョーズ」の変奏曲であり、「ブラック・レイン」はギャング対刑事の変種、「ブラックホーク・ダウン」はシニカルな「プライベート・ライアン」といったように、先行する作品やジャンルを外部の視点から異化していく作家としても捉えられよう。また近年は安定感のある大作監督として、ストーリーテリングの巧みさも注目される。

リドリー・スコットの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • グラディエーターII 英雄を呼ぶ声

    制作年: 2024
    第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門を受賞した「グラディエーター」の続編。リドリー・スコットが再びメガホンを取り、ローマを支配する暴君の圧政によって自由を奪われた男がグラディエーター《剣闘士》となり、闘いに身を投じていく姿が描かれる。出演は「aftersun アフターサン」のポール・メスカル、『マンダロリアン』シリーズのペドロ・パスカル、「グラディエーター」のコニー・ニールセン、「イコライザー」シリーズのデンゼル・ワシントン。
  • エイリアン:ロムルス

    制作年: 2024
    「エイリアン」(1979年)のその後の物語を、監督リドリー・スコット自身の製作で映画化。6人の若者たちが足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。そこにいたのは、寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する生命体“エイリアン”だった。監督は、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレス。出演は、「プリシラ」のケイリー・スピーニー、ディズニープラス『ライ・レーン』のデヴィッド・ジョンソン、ドラマ『暗黒と神秘の骨』のアーチー・ルノー、「マダム・ウェブ」のイザベラ・メルセード。
  • ナポレオン(2023)

    制作年: 2023
    「ジョーカー」のホアキン・フェニックスがリドリー・スコット監督と「グラディエーター」以来23年ぶりにタッグを組んだスペクタクル超大作。フランス革命以降、ナポレオンは天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り、ヨーロッパを勢力下に収めていくが……。出演は、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」のヴァネッサ・カービー。
  • 名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

    制作年: 2023
    「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」に続く、アガサ・クリスティ原作、ケネス・ブラナー監督・主演で贈る《名探偵ポアロ》シリーズの最新作。水上の迷宮都市ベネチアで降霊会に参加したポアロが、さまざまな超常現象が起こるなか、人間の仕業とは思えない殺人事件に挑む。謎めいた霊能者レイノルズを演じるのは、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でアジア人初のアカデミー賞主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー。ほかの共演に「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のジェレミー・ドーナン、「サタデー・ナイト・ライブ」のティナ・フェイ。原作はポアロ・シリーズの中でも隠れた名作と言われる『ハロウィーン・パーティ』。
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  • ハウス・オブ・グッチ

    制作年: 2021
    サラ・ゲイ・フォーデンの『ハウス・オブ・グッチ』を原作に、グッチ一族の確執とその中で起きた殺人事件を映画化。パトリツィア・レッジャーニはグッチ家の御曹司マウリツィオと結婚。華やかなファッション業界を謳歌し、徐々にグッチ家での地位を高めていく。監督は、「最後の決闘裁判」のリドリー・スコット。出演は、「アリー/スター誕生」のレディー・ガガ、「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライヴァー、「アイリッシュマン」のアル・パチーノ、「スーサイド・スクワッド」のジャレッド・レト、「ジャスティス・リーグ」のジェレミー・アイアンズ。
  • 最後の決闘裁判

    制作年: 2021
    リドリー・スコット監督が、14世紀末のフランスを舞台に、実際に行われた史上最後の合法的な“決闘裁判”の行方を描く歴史ミステリー。騎士カルージュの妻マルグリットは夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴える。だが、ル・グリは無実を主張。真実は“決闘裁判”に委ねられる。権力が全てだった時代に、国家に逆らい、勇気をもって立ち上がった女性マルグリット、その妻の誇りを守るために地位や名誉、命まで賭けて決闘裁判に挑む夫カルージュ、他方、無実を主張して自らの正義を示すために裁判を受け入れるル・グリ。彼らの壮絶な闘いが壮大なスケールで展開する。原作はエリック・ジェイガーの『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』。脚本は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞脚本賞を受賞したマット・デイモンとベン・アフレックが約25年ぶりに再タッグを組んだ。600年以上も前、世論を二分したこの“決闘裁判”における判決は、今もなお歴史家たちの間で物議を醸している。マルグリットを「フリー・ガイ」のジョディ・カマー、カルージュをマット・デイモン、ル・グリにアダム・ドライバー、カルージュとル・グリの運命を揺さぶる主君ピエール伯をベン・アフレックが演じる。
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