大杉漣 オオスギレン

  • 出身地:徳島県小松島市
  • 生年月日:1951/09/27
  • 没年月日:2018/02/21

略歴 / Brief history

徳島県小松島市の生まれ。本名・大杉孝。明治大学在学中の1973年、雑誌『新劇』に掲載された転形劇場の主宰者・太田省吾の記事に感銘を受け、大学を中退して太田の劇団員募集広告に応募し、研修生となる。同年6月、別役実・作『門』で舞台俳優としてデビュー。以後、88年の劇団解散まで在籍する。映画には高橋伴明監督の「緊縛いけにえ」80で初出演。以降は多数のピンク映画に出演する一方で、81年の井筒和幸監督「ガキ帝国」からは一般映画にも出演する。83年、滝田洋二郎監督「連続暴姦」でズームアップ映画祭の主演男優賞を受賞。周防正行監督「変態家族・兄貴の嫁さん」84では、笠智衆を彷彿とさせる老け役に33歳で挑み注目される。88年の片岡修二監督「地下鉄連続レイプ・愛人狩り」を最後にピンク映画から離れ、舞台を中心に活躍するが、89年の周防正行監督「ファンシイダンス」で映像の世界へ復帰。以後はオリジナルビデオを中心に多数の作品に出演した。93年、北野武監督「ソナチネ」のオーディションに合格し、やくざの幹部を飄々とした味わいで演じて、一躍注目を集める存在となった。SABU監督「ポストマン・ブルース」97で報知映画賞とおおさか映画祭の助演男優賞を、北野監督「HANA-BI」98と崔洋一監督「犬、走る/DOG RACE」98ほかで、キネマ旬報賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、ヨコハマ映画祭など多数の助演男優賞を受賞。ここから活動の場はテレビドラマにも広がり、圧倒的な数量の作品をこなしつつ、演じる役柄も多岐に渡る。廣木隆一監督「不貞の季節」00、園子温監督「エクステ」06、大森美香監督「ネコナデ」08は、貴重な一般映画での主演作。ピーク時にはOVを含めて年間20本以上の作品に出た時期もあり、その旺盛な仕事ぶりから“300の顔を持つ男”とも呼ばれた。近年は出演本数こそ落ち着いたが、あらゆる映像メディアに欠かせない演技派俳優として活躍を続ける。テレビドラマの出演作に、テレビ朝日『プリズンホテル』99、『眠れぬ夜を抱いて』02、フジテレビ『太陽は沈まない』00、『僕の生きる道』03、NHK『義経』05、『ゲゲゲの女房』10、日本テレビ『神はサイコロを振らない』06、TBS『生まれる。』11、テレビ東京『IS/男でも女でもない性』11など多数。舞台、CM、バラエティ番組出演、ドキュメンタリー番組などのナレーションと幅広く活躍するほか、サッカーに対する造詣の深さから、サッカー関連の番組にゲストとして招かれることも多い。2018年2月21日午前3時53分、急性心不全により死去。享年66歳。

大杉漣の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • Back Street Girls ゴクドルズ

    制作年: 2019
    1970年代に人気を博した東映ピンキーバイオレンスの流れを汲むアウトローコメディー。組長の思い付きで性転換&全身整形をさせられアイドルとしてデビュー、思いがけず大人気となった若き極道3人組の姿を活写したジャスミン・ギュ原作による異色漫画を実写化。出演は「リンキング・ラブ」の白洲迅、「ゆずりは」の柾木玲弥、TV『陸王』の花沢将人、「女流闘牌伝 aki アキ」の岡本夏美、TV『仮面ライダーエグゼイド』の松田るか、TV『ウルトラマンX』の坂ノ上茜、「22年目の告白 私が殺人犯です」の岩城滉一。2018年に急逝した大杉漣が友情出演。脚本を「月光ノ仮面」の増本庄一郎と「必死剣鳥刺し」の伊藤秀裕が担当。監督は「私の人生なのに」の原桂之介。
    83
  • モルエラニの霧の中

    制作年: 2019
    北海道室蘭市を含む西いぶり地方を舞台に、街の人々から聞いたエピソードを基に7話連作形式で紡ぐオムニバス劇。クラゲを殺して海に捨てた少年とその母親に水族館職員がある贈り物を用意する第1話【冬の章/水族館のはなし「青いロウソクと人魚」】ほか。監督は、「ハーメルン」の坪川拓史。2011年に東京から北海道室蘭市へ移住し、室蘭市の広報動画『砂がおしえてくれた街』も手掛けた。大杉漣、大塚寧々、香川京子ら俳優陣に加え、エピソードの本人や、オーディションで選ばれたり、街で監督にスカウトされたりした人々が出演している。モルエラニとは、アイヌ民族の言葉で“小さな坂道をおりた所”を意味し、“室蘭”の語源のひとつと言われている。
  • 返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す

    制作年: 2018
    沖縄返還交渉の最前線にいた実在の外交官・千葉一夫の姿を通して、知られざる沖縄返還の裏面史を伝えるドラマ。沖縄の返還交渉が始まった1960年代。千葉は、沖縄から核兵器を撤去させ、ベトナム戦争の出撃拠点としないよう、アメリカと外交交渉を重ねる。出演は、「ニワトリ★スター」の井浦新、「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」の戸田菜穂、「めがみさま」の尾美としのり、「私は絶対許さない」の佐野史郎、「アウトレイジ 最終章」の大杉蓮、「ラーメン食いてぇ!」の石橋蓮司。ナレーションは、「海辺のリア」の仲代達矢。監督は、NHKのドラマ演出家・柳川強。
  • 教誨師

    制作年: 2018
    2018年に急逝した大杉蓮が初プロデュースした最後の主演作。6人の死刑囚と面会する教誨師の佐伯。死刑囚たちは彼に真剣に思いを吐露する者もいれば、くだらない話に終始する者もいる。佐伯は彼らに寄り添いながらも葛藤し、自らの人生と向き合っていく。出演は、「羊と鋼の森」の光石研、「祈りの幕が下りる時」の烏丸せつこ、「クソ野郎と美しき世界」の古舘寛治、劇団柿喰う客の玉置玲央、「インスタント沼」の五頭岳夫、「まだ楽園」の小川登。監督は、「ランニング・オブ・エンプティ」の佐向大。
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  • 恋のしずく

    制作年: 2018
    「センセイ君主」の川栄李奈が映画初主演、日本三大酒処の一つである東広島市西条を舞台にした人間ドラマ。農業大学に通う詩織は、意に反して老舗酒蔵で実習することに。日本酒が苦手だった彼女が、酒蔵や町の人々に囲まれ酒造りに接するうちに成長していく。主人公の詩織を川栄李奈が、酒蔵の息子・莞爾を劇団EXILEの小野塚勇人が、蔵元を本作が遺作となった大杉漣が演じる。監督は「マザーレイク」の瀬木直貴。収益の一部は、2018年西日本豪雨の復興支援活動に寄付される。2018年10月13日より広島県先行公開。
    70
  • 予兆 散歩する侵略者 劇場版

    制作年: 2017
    「散歩する侵略者」の黒沢清の監督により新たな設定・キャストで制作された同作スピンオフドラマの劇場版。新任外科医・真壁と常に共に行動するうちに夫の辰雄が精神的に追い詰められていき、不安を抱く悦子。そんな彼女に真壁は地球を侵略しに来たと告げる。脚本には「蛇の道」以来の黒沢清監督とのタッグとなる「リング」シリーズの高橋洋も参加。出演は「22年目の告白-私が殺人犯です-」の夏帆、「3月のライオン」シリーズの染谷将太、「聖の青春」の東出昌大ほか。劇場版は音がドルビーデジタル 5.1 chにアップグレードされ、映像の細部にも変更が加えられている。