草笛光子 クサブエミツコ

  • 出身地:神奈川県横浜市神奈川区
  • 生年月日:1933/10/22

略歴 / Brief history

神奈川県横浜市神奈川区の生まれ。本名・栗田光子。一男二女の長女で、妹の富田恵子も女優。虚弱体質を克服するため、小学生の頃からバレエを習う。1949年11月、県立横浜第一女子高校を中退して松竹少女歌劇学校に入り、50年に松竹歌劇団に5期生として入る。52年6月、歌劇団始まって以来という異例の抜擢で『リオ・グランデ』の歌姫・ビアトリスに起用。53年1月には『春のおどり』にプリマドンナとして出演し、舞台栄えする容貌と抜群の歌唱力で注目を集める。同年5月、高まる人気に目をつけた親会社の松竹が、川島雄三監督「純潔革命」の主役に起用。同年7月には松竹と1年間の映画出演を契約し、次いで8月に『秋の踊り』の主題歌『赤い恋の花』で歌手としてもデビューする。同年秋のオールスター大作「花の生涯」に助演したあと、翌54年の「春の若草」で主役グループのひとりとして三橋達也、三島耕、月丘夢路と共演。同年5月に歌劇団を退団後は、川喜多雄二、高橋貞二らの相手役として大船調のメロドラマ、青春明朗喜劇に出演するが、彼女の意志の強そうなハッキリした顔立ちと陽性のキャラクターは、哀れを誘うメロドラマのヒロインには不向きだった。56年、松竹を退社し東宝と専属契約を結ぶ。「雨情」57では森繁久彌扮する童謡詩人が恋する芸者役を演じ、以降、森繁主演の「社長」シリーズで社長の浮気相手を華やかに演じた。同年9月、芸術座『ながれ』で東宝現代劇に初出演。翌58年には日本テレビ『光子の窓』のホステスとなり、毎回ゲストを迎えてトークをしながら、歌や踊りで楽しませるバラエティ番組の原型を確立した。62年、成瀬巳喜男監督「放浪記」に新劇女優の役で出演。以後、成瀬の「乱れる」64、「女の中にいる他人」66、「乱れ雲」67で明朗さの中に女の年輪や陰影をにじみ出させた。70年代に入ると舞台が中心となり、映画出演は少なくなる。76年の「挽歌」では女の複雑な心理を表現。76~78年には市川崑監督の「金田一耕助」シリーズ全5本にレギュラー出演し、強烈な印象を残した。81年、市川監督の「幸福」に顔を出したあとは、「逃がれの街」83、「それから」85などに助演。また「極道の妻(おんな)たちⅡ」87、「女帝・春日局」90、「首領になった男」91などの東映の大作にはなくてはならない存在として、多彩な演技で作品を引きしめた。その後は、やや寡作になるが、最近では市川崑が自らリメイクした「犬神家の一族」06や、若松節朗監督「沈まぬ太陽」09、森田芳光監督「武士の家計簿」10などで貫禄あるところを見せている。石田朝也監督によるドキュメンタリー「成瀬巳喜男・記憶の現場」05では、成瀬作品出演当時の貴重な逸話を披露した。舞台は現代劇、時代劇問わず多数出演しているが、本領はやはりミュージカルにあり、労音ミュージカル『歯車の中で』60、東京宝塚劇場『君にも金儲けができる』62、『キスミー・ケイト』66、新宿コマ『努力しないで出世する方法』64などに出演。ほかに、あばずれ女アルドンサ役に扮した帝劇『ラ・マンチャの男』69~70、家庭教師アンナ役の『王様と私』73・76や、『ジプシー』『シカゴ』『ラ・カージュ・オー・フォール』などミュージカルスターの第一人者として活躍。近年は一人芝居『私はシャーリー・ヴァレンタイン』91~96、二人芝居『6週間のダンスレッスン』06~10などで地方公演も積極的に行なっている。テレビドラマの出演作品は、NHK『繭子ひとり』71、『草燃える』79、『澪つくし』85、『翔ぶが如く』90、『八代将軍吉宗』95、『あぐり』97、『利家とまつ・加賀百万石物語』02、『昨日の友は今日の敵?』04、『どんど晴れ』07、『天地人』09、『セカンドバージン』10、日本テレビ『ソクラテスの妻』64、『熱中時代』78~81、TBS『赤い衝撃』76~77、『おんな五人で』80、『渡る世間は鬼ばかり』90~11、『エ・アロール』03、フジテレビ『グッドモーニング』94、『結婚できない男』06、『風のガーデン』08、テレビ朝日『女のそろばん』79、『菊次郎とさき』03~05、『熟年離婚』05、『てるてるあした』06など多数。99年、長年にわたる芸術への功績が評価され紫綬褒章受章。05年には旭日小綬章も受章している。60年3月19日に作曲家の芥川也寸志と結婚したが、62年に離婚。

草笛光子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • アンジーのBARで逢いましょう

    制作年: 2025
    「九十歳。何がめでたい」で91歳にして第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の主演女優賞を受賞した草笛光子が主演したファンタジックなドラマ。風に吹かれてやってきた白髪の女性アンジーは、いわくつきの物件を借りてBARを開き、出会った人の人生をそっと変えていく。監督は「星に語りて-Starry Sky-」の松本動。「うなぎ」や「十三人の刺客」などの脚本を手がけた天願大介が脚本を担当。謎多きヒロイン・アンジーを草笛光子が、アンジーに物件を貸す熊坂を寺尾聰が、謎の青年をディーン・フジオカが演じる。
  • アイミタガイ

    制作年: 2024
    中條ていによる同名小説を原作に「彼女が好きなものは」の草野翔吾監督が黒木華主演で映画化。ウェディングプランナーの梓は、日々の出来事を亡くなった親友・叶海と交わしていたトーク画面に送り続けていた。同じ頃、叶海の両親は、ある児童養護施設から娘宛てのカードを受け取る。共演は「沈黙の艦隊」の中村蒼、「九十歳。何がめでたい」の藤間爽子、草笛光子。「台風家族」の市井昌秀が脚本の骨組みを作り、「ツレがうつになりまして。」などの故・佐々部清が魂を注いだ企画を草野監督が受け継ぎ完成させた。
  • 九十歳。何がめでたい

    制作年: 2024
    現在100歳を超えた直木賞作家・佐藤愛子が90歳を過ぎて執筆したベストセラーエッセイ集を、昨年90歳を迎えた草笛光子主演で映画化したパワフル・コメディ。作家生活を引退した愛子の元に、中年の編集者・吉川がエッセイの依頼を持ち込んだことで、人生の薄暮に変化が訪れる。作家の佐藤愛子の姿を草笛光子がユーモラスに痛快に演じている。また、編集者・吉川真也を唐沢寿明、愛子の娘・響子を真矢ミキ、孫・桃子を藤間爽子、吉川の妻を木村多江が演じたほか、片岡千之助、宮野真守ら個性的な面々が総出演。監督は「老後の資金がありません!」の前田哲。
  • 老後の資金がありません!

    制作年: 2020
    垣谷美雨によるベストセラー小説を原作に、天海祐希が「狗神」以来、19年ぶりの単独主演を果たしたコメディ。コツコツと老後の資金を貯めてきた平凡な主婦・篤子。だが舅の葬式、娘の派手婚、さらには夫婦そろって失職し資産は激減。篤子は窮地に立たされる。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲。
  • ある船頭の話

    制作年: 2019
    オダギリジョーによる長編初監督作。橋の建設が進む山村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチは、村人の源三が遊びに来るとき以外は黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんなある日、トイチの前にひとりの少女が現れ、トイチの人生は大きく狂い始めてゆく。トイチを演じるのは「石内尋常高等小学校花は散れども」以来、11年ぶりの主演となる柄本明。共演は「銃」の村上虹郎、「望郷」の川島鈴遥。撮影監督を「宵闇真珠」のクリストファー・ドイル、衣装デザインを「乱」のワダエミが担当する。
  • ばぁちゃんロード

    制作年: 2018
    映画美学校プロットコンペティション2016最優秀賞のプロットから生まれた脚本を「花戦さ」の篠原哲雄が映画化。高校時代からの友達・大和との結婚を決めた夏海は、足を骨折してから車椅子で生活する祖母に元気を取り戻してほしいと、あることを思いつく。出演は、「八重子のハミング」の文音、「殿、利息でござる!」の草笛光子、「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の三浦貴大、「君の膵臓をたべたい」の桜田通、「ポエトリーエンジェル」の鶴見辰吾。