本木雅弘 モトキマサヒロ

  • 出身地:埼玉県桶川市
  • 生年月日:1965/12/21

略歴 / Brief history

埼玉県桶川市の生まれ。ジャニーズ事務所に所属して、1981年、TBS『2年B組仙八先生』の生徒役のひとり、森田すばる役で俳優としてデビュー。翌82年に同作で共演した薬丸裕英、布川敏和とアイドルグループ“シブがき隊”を結成し、シングル『NAI・NAI・16』で歌手デビューを果たす。同年の日本レコード大賞で最優秀新人賞に輝き、以降も数々のヒット曲を連発。さらに、森田芳光監督「ボーイズ&ガールズ」82、山根成之監督「ヘッドフォン・ララバイ」83、和泉聖治監督「バロー・ギャングBC」85に相次いでグループで主演した。音楽活動と並行して、バラエティ番組などでも活躍を続けるが、徐々にそれぞれのソロ活動が目立ち始め、本木は、フジテレビ『キスより簡単』87、『抱きしめたい』88などのテレビドラマで好評を得る。88年11月にシブがき隊は解散。ジャニーズ事務所からも独立した本木は、以後、俳優業を本格化させていく。89年、五社英雄監督「226」、原隆仁監督「べっぴんの町」、村上龍監督「ラッフルズホテル」と出演作が相次ぎ、さらに、周防正行監督「ファンシイダンス」では仏門に入る今どきの青年の奮闘をコミカルに快演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。周防との出会いは両者の映画界での位置を確固たるものにする。防犯訓練の犯人役に大真面目に取り組む警察官を、時に狂気すら漂わせながら妙演した萩庭貞明監督「遊びの時間は終らない」91などに出演したのち、92年には周防監督と再び組んだ「シコふんじゃった。」に主演。就職の内定も決まり、残る学生生活を適当にエンジョイしようとしていたお気楽な大学生が、なりゆきで取り込まれた学生相撲の世界に次第に没入していく姿を、軽妙かつ真摯に熱演し、ブルーリボン賞、報知映画賞、日本アカデミー賞、ヨコハマ映画祭の主演男優賞を独占。映画俳優として一層の注目を浴びる。以降も、宇崎竜童監督「魚からダイオキシン!!」92を経て、94年の杉田成道監督「ラストソング」では、博多から上京してミュージシャンとしての成功を夢見るも、自ら才能を発掘したバンド仲間のマネージャーに甘んじる青年の苦悩をギラギラと力演し、東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞。江戸川乱歩が生んだ名探偵・明智小五郎に扮した「RAMPO」94は、黛りんたろう監督版と、奥山和由プロデューサーが自ら新たに撮り直した奥山監督版の2バージョンが同時公開され、話題を集めた。翌95年の石井隆監督「GONIN」では、愛に殉じて危険な犯罪に身を投じるホモセクシュアルの美青年を艶かしく演じ、強烈なインパクトを与える。以後も厳選した作品にじっくりと取り組み、市川準監督「トキワ荘の青春」96では、自らが理想とする牧歌的な作風を大切に思うあまり、次第に時代から取り残されていく漫画家・寺田ヒロオのストイックな気高さを、余計な演技を削ぎ落とした静謐な佇まいで体現。型破りな演出で知られる三池崇史監督への興味で出演を決めたという「中国の鳥人」98では、文明から隔絶された中国・雲南省の村に伝わる“鳥人伝説”に魅せられていく商社マンを好演し、塚本晋也監督「双生児」99では、すべてを手にした医師と、彼に成り代わる貧民窟育ちの双子の兄弟の二役に挑んで、日刊スポーツ映画大賞主演男優賞に輝く。さらに、ベテランの篠田正浩監督が最後の作品に選んだ渾身作「スパイ・ゾルゲ」03では、ロシアのスパイであったリヒャルト・ゾルゲと命懸けで平和を求めるうちに国家を裏切る結果となる朝日新聞記者・尾崎秀実の葛藤を内省的な芝居ににじませた。そして2008年、青木新門の『納棺夫日記』に感銘を受けた本木自らが映画化に向けて動き、青木と対話を重ね、別作品として実現させた滝田洋二郎監督「おくりびと」に主演。納棺師に転職した主人公が周囲の偏見にさらされつつも、数々の死や遺族との触れ合いを通して誇りを育む姿を丹念に演じ、キネマ旬報賞、ブルーリボン賞、日本アカデミー賞の主演男優賞を総なめしたほか、同作は09年の米国アカデミー賞で外国語映画賞に輝き、国内でも大ヒットを記録した。これら映画での華々しい活躍と並行して、テレビドラマでも第一線で活動を続け、フジテレビ『恋のパラダイス』90、『あなただけ見えない』92、『最高の片想い』95、『水曜日の情事』01、日本テレビ『ニュースなあいつ』92、『西遊記』93、『隣人は秘かに笑う』99、『幸福の王子』03、『87%・私の5年生存率』05、TBS『いつか好きだと言って』93、『君と出逢ってから』96、『ブラック・ジャック』00~01、『今夜ひとりのベッドで』06、NHK『徳川慶喜』98、『聖徳太子』01、テレビ朝日『スタイル!』00など数々の作品に主演ないし準主演。寡作ながらも充実の仕事ぶりを見せ、司馬遼太郎の原作をスケール豊かにドラマ化したNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』09~11では、主人公のひとりである秋山真之の多感な青年期から風格漂う軍人への成長を自然に演じる。「魚からダイオキシン!!」で共演した内田裕也とその妻・樹木希林の一人娘で、エッセイスト・女優の内田也哉子と95年に結婚。内田家の婿養子となり、二男一女をもうける。

本木雅弘の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • TOUCH/タッチ(2024)

    制作年: 2024
    アイスランドの作家オラフ・オラフソンによるベストセラー小説『タッチ』を「エベレスト 3D」のバルタザール・コルマウクル監督が映画化。初期の認知症が発覚したクリストファーは、50年前に愛した人が突然姿を消した謎を解明しようと、ロンドンから日本へと向かう。出演はNetflix『トラップ 流血の聖地』のエギル・オラフソン、「牛首村」のKōki,、バルタザール・コルマウクル監督の息子パルミ・コルマウクル、「おくりびと」の本木雅弘。
  • 海の沈黙(2024)

    制作年: 2024
    『北の国から』『やすらぎの郷』などの倉本聰が、長年にわたって構想してきた脚本を、本木雅弘主演、若松節朗監督で映画化したサスペンス・ドラマ。世界的な画家の展覧会で展示作品のひとつが贋作と判明。波紋が広がるなか、小樽で女の死体が発見される。二つの事件を結ぶのは姿を消したかつての天才画家だった。男の秘めてきた想い、美と芸術への怨念、忘れられない過去が明らかになる時、至高の美と愛の全貌がキャンパスに描き出される。共演は「碁盤斬り」の小泉今日子、「大河への道」の中井貴一、「変な家」の石坂浩二、「愛のまなざしを」の仲村トオル。
  • ジェラール・フィリップ 最後の冬

    制作年: 2022
    1940~50年代に映画や舞台で活躍し、国際的スターとなったフランスの俳優ジェラール・フィリップ。その生い立ちから、人生の軌跡を描いたドキュメンタリー。プライヴェートフィルムなど未公開の秘蔵映像から彼の知られざる真実を映し出す。原作は、ジェローム・ガルサンによるドゥ・マゴ賞受賞の同名評伝。ナレーションは、「永い言い訳」の本木雅弘。第75回カンヌ国際映画祭クラシック部門正式出品作品。『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』にて日本初公開。
  • 永い言い訳

    制作年: 2016
    「夢売るふたり」の西川美和が直木賞候補となった自らの書き下ろし小説を映画化。交通事故で妻が他界したものの悲しみを表せない小説家の衣笠幸夫。そんな中、同じ事故の犠牲となった妻の親友の遺児たちと交流を深める幸夫は亡き妻とも再び向き合い始めてゆく。出演は「天空の蜂」の本木雅弘、「私の男」の竹原ピストル、「高台家の人々」の堀内敬子、「セトウツミ」の池松壮亮、「母と暮せば」の黒木華、「岸辺の旅」の深津絵里。
    90
  • 天空の蜂

    制作年: 2015
    『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞、現代を代表するミステリー作家・東野圭吾が1995年に発表した同名小説を、「20世紀少年」シリーズなどのヒットメーカー、堤幸彦監督が映画化。全長34メートル・総重量25トンものヘリコプターが子供を乗せたままハイジャックされ原子力発電所上空で静止、全ての原発破棄が要求されるという史上最悪のテロに立ち向かう男たちを描く。ヘリに取り残された子供の父である超巨大ヘリの設計士を「るろうに剣心」シリーズの江口洋介が、原子力発電所の設計士を「おくりびと」の本木雅弘が、事件解決の鍵を握る女性を「TRICK」シリーズの仲間由紀恵が、ヘリを奪った謎の男を「そこのみにて光輝く」の綾野剛が演じる。
    70
  • 日本のいちばん長い日(2015)

    制作年: 2015
    「わが母の記」で第35回モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリを獲得した原田眞人監督が、昭和史に関する著作を多く手がける半藤一利が緻密な取材を積み上げ著したノンフィクション『日本のいちばん長い日 決定版』を映画化。日本がポツダム宣言を受諾し太平洋戦争が終結した1945年8月15日に向け、その直前に何が行われていたのか、それぞれの苦悩や思いとともに描く。陸軍を背負う阿南大臣を「わが母の記」に続き原田監督と5度目のタッグとなる役所広司が、国民を思う昭和天皇を「おくりびと」の本木雅弘が、終戦に向け動く鈴木首相を「マルサの女」の山崎努が演じるほか、「ツナグ」の松坂桃李、「クライマーズ・ハイ」の堤真一らが出演。
    80

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