舛田利雄 マスダトシオ

  • 出身地:神戸市
  • 生年月日:1927/10/05

略歴 / Brief history

【アクションとロマンを貫いた大ヒット請負人】兵庫県神戸市生まれ。1944年、新居浜工業専門学校に進むが軍事教練に反発して45年7月、退学処分。戦後、大阪外国語大学ロシア語科に入り直す。名作フランス映画の再上映に感激して卒業と同時に上京、50年8月、新東宝助監督部に入社。中川信夫、井上梅次の下で働きながら、自分でもシナリオを書く。54年末、製作再開した日活に、井上梅次に従って移籍。石原裕次郎の「鷲と鷹」などの助監督を務める。58年、「心と肉体の旅」でデビュー。第3作の「錆びたナイフ」(58)が、カーチェイスの迫力と裕次郎の主題歌で大ヒット。これが日活アクションの基本形となる。日活アクションは無国籍アクションから成熟期のムード・アクション、任侠アクション、後期のニュー・アクションまでスタイルを次々と変遷させるが、その全てに携わり、日活作品だけで53本を撮る。裕次郎主演作を最も多く撮った監督であり、「望郷」の翻案「赤い波止場」(58)、任侠アクション「花と竜」(62)、ムード・アクションの決定版「赤いハンカチ」(64)などその数は25本に及ぶ。主人公をアウトローにすることで裕次郎の魅力の開拓と自分のやりたい世界が一致できていた、と後に本人が語る時代である。その信頼関係から、当時のタブーを破って裕次郎が劇中で死ぬ「太陽への脱出」(63)のような野心作が生まれる。さらには「紅の流れ星」(67)、「無頼より・大幹部」(68)などで渡哲也のスター性を引き出し、フリーに転身後、黒澤明が降板した「トラ・トラ・トラ!」(70)の日本側監督を深作欣二と共同で担当した。【娯楽一筋に幅広いジャンルで】70年代からは日活アクションで鍛えた力量でたちまち各社から招かれる売れっ子となり、またどんなに毛色の違う題材でも一級に料理して応えてみせる、大車輪の活躍を見せる。宗教団体の誕生する様子を描いた「人間革命」(73)、SFスペクタクル「ノストラダムスの大予言」(74)、アニメ・ブームの火付け役となった「宇宙戦艦ヤマト」(77)、東映の戦記もの「二百三高地」(80)や「大日本帝国」(82)、ジャニーズの人気アイドル・たのきんトリオの「ハイティーン・ブギ」(82)などが主な作品。年間興行ランキングのベストテンに常に作品を送り込む、日本映画界きってのヒット・メーカーだった。大新聞社の後継者争いをダイナミックに描いた企業アクション「社葬」(89)で、初のキネマ旬報ベスト・テン入りを果たす(9位)。91年には「動天」「必殺!5・黄金の血」「江戸城大乱」と三本の時代劇を連作し、衰えぬスタミナを見せる。これ以降もアニメ作品の監修やテレビ・ドラマの演出で活躍した。

舛田利雄の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 宇宙戦艦ヤマト 復活篇

    制作年: 2009
    巨大なブラックホールが太陽系に接近、地球を脱出する人類の希望として復活したヤマトの姿を描くSFアニメ。企画・原作・製作総指揮・監督は「宇宙戦艦ヤマト 完結篇」の西崎義展。声の出演は「ヱヴァンゲリオン新劇場版:破」の山寺宏一、「真救世主伝説 北斗の拳 ZERO ケンシロウ伝」の青野武、「猫ラーメン大将」の古谷徹など。
  • 三国志 第二部・長江燃ゆ!

    制作年: 1993
    有名な中国の歴史戦記『三国志』より、劉備と天才軍師・諸葛孔明との出会い、そして曹操との赤壁の戦いのエピソードを壮大なスケールで描く長編アニメ。「三国志 第一部・英雄たちの夜明け」(92)に続く勝間田具治監督による「三国志」三部作の第二部。脚本の笠原和夫、監修の舛田利雄をはじめ、前作と同様の豪華スタッフで、声の出演の方でも、渡哲也が前作と同じ曹操役を演じている。(第三部は翌'94年3月に公開)
  • 天国の大罪

    制作年: 1992
    人種の坩堝と化した近未来の東京新宿を舞台に、東京地検特捜部の女検事とその上司の不倫愛、チャイニーズ・マフィアのボスと女検事の愛憎を描くアクション・ロマン。脚本は「継承盃」の松田寛夫、監督は「社葬」の舛田利雄、撮影は「寒椿」の木村大作がそれぞれ担当。
  • 三国志 第一部・英雄たちの夜明け

    制作年: 1992
    後漢朝の威信低下後、乱世となった中国を舞台に豪傑達の激烈な争いを描いたアニメ。歴史文学の世界的傑作として名高い中国歴史戦記を3部構成で映画化した第1弾で、脚本は「福沢諭吉」の笠原和夫が執筆。監督は「宇宙戦艦ヤマト 完結編」の勝間田具治。監修は「江戸城大乱」の舛田利雄。作画監督は角田紘一がそれぞれ担当。
  • 必殺!5 黄金の血

    制作年: 1991
    問答無用で悪を斬る仕事人の活躍を描く時代劇シリーズ第五弾。脚本は「必殺! ブラウン館の怪物たち」の吉田剛が執筆。監督は「動天」の舛田利雄。撮影は「必殺4 恨みはらします」の石原興がそれぞれ担当。
    40
  • 江戸城大乱

    制作年: 1991
    徳川五代将軍の座を巡る熾烈きわまりない跡目争いを豪快に描く時代劇。脚本は「陽炎」の高田宏治が執筆。監督は「必殺!5 黄金の血」の舛田利雄。撮影は「動天」の北坂清がそれぞれ担当。