三上博史 ミカミヒロシ

  • 出身地:東京都世田谷区
  • 生年月日:1962/06/23

略歴 / Brief history

東京都世田谷区で生まれ、神奈川県横浜市で育つ。県立多摩高校在学中の1979年、友人に誘われて受けたオーディションで寺山修司に見出され、ピエール・ブロンベルジュのプロデュースでフランス映画として製作された泉鏡花原作、寺山監督の「草迷宮」79で、死んだ母親が口ずさんでいた手鞠唄を探して旅をする美少年・あきらを演じ、鮮烈な主演デビューを飾る。パリで先行公開された同作は、日本での正式な劇場公開が寺山の死去後の83年となり、三上自身は次いで大島渚が監督に予定されていた東映「日本の黒幕」で主人公のテロリスト役に決まりかけるが、大島が降板したため作品が流れ、結局、81年の曽根中生監督「太陽のきずあと」の不良少年グループの一員が日本国内でのデビューとなる。その後も、板谷紀之監督「巣立ちのとき・教育は死なず」81、大島監督「戦場のメリークリスマス」83、貞永方久監督「海嶺」83、篠田正浩監督「瀬戸内少年野球団」84、ポール・シュレイダー監督「MISHIMA」84などに出演を重ねるがいずれも端役であり、「草迷宮」に続いて82年に出演した寺山の遺作「さらば箱舟」がようやく84年になって公開されるなど、しばらくは雌伏の時が続いた。84年、TBS『無邪気な関係』でテレビドラマに初出演。戸川純の恋人役の浪人生を演じ、当初は端役だったが回を追うごとにキャラクターがどんどん書き込まれていって、一躍注目を集める。以後も、TBS『大家族』84、『禁じられたマリコ』『華やかな誤算』85、『恋する時間です』86、日本テレビ『黒白の河』84、『ニッポン親不孝物語』85などのドラマで次第に頭角を現す一方、86年の山川直人監督の野心作「ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け」に主演。不可思議なキャラクターが集まる演劇的空間の中で、狂言回しの立ち位置にある主人公、ビリィ・ザ・キッドを独特の浮遊感覚で好演する。さらに、翌87年には馬場康夫監督「私をスキーに連れてって」に主演し、オクテで優柔不断なモラトリアム青年の主人公の成長を誠実に演じて、ブレイクを果たす。映画の大ヒットもあって、一躍メジャーシーンへと躍り出た三上は、フジテレビ『君の瞳をタイホする!』『君が嘘をついた』88、『世界で一番君が好き!』90、TBS『それでも家を買いました』91などに次々と主演し、当時の“トレンディドラマ”ブームを牽引する人気俳優のひとりとなる。しかし、当の三上自身は同じような傾向の役柄が続くことに飽き足らず、トレンディブームの只中から、鬼才・実相寺昭雄監督の青春時代を熱演したTBS『ウルトラマンをつくった男たち』89、昭和初期を閃光のように駆け抜けた天才詩人・中原中也に扮したフジテレビ『ロマンの果てII・汚れっちまった悲しみに』90などクセのある役どころに積極的に挑んでいく。その芝居へのこだわりは、女性人格を含む三重人格の主人公をエキセントリックに演じきって話題を振りまいたフジテレビ『あなただけ見えない』92に結実。狂気も演じられる存在として、トレンディ俳優のイメージを払拭する。映画はその後、後藤幸一監督「パイレーツによろしく」88、林海象監督「二十世紀少年読本」89などを経て、92年の神山征二郎監督「遠き落日」では野口英世に扮し、偉大な人物の生涯を力むことなくさらりと演じてみせる。さらに、滝田洋二郎監督「病は気から・病院へ行こう2」92、実相寺昭雄監督「屋根裏の散歩者」94、岩井俊二監督「スワロウテイル」96、神山監督「宮澤賢治・その愛」96、落合正幸監督「パラサイト・イヴ」97などで多彩な役どころを演じる一方、ドラマでも活躍が続き、ニューヨークから帰国したロックスターが巻き起こす騒動を描いたフジテレビ『チャンス!』93では、役名の“本城裕二”名義でシングル『HANG OUT!』を発売し、チャートのトップ10入りも果たす。以降も、野島伸司脚本のフジテレビ『この世の果て』94、『リップスティック』99、日本テレビ『世紀末の詩』97のほか、TBS『適齢期』94、『新婚なり!』95、フジテレビ『それが答えだ!』97、日本テレビ『ストレートニュース』00など、オーソドックスなホームドラマから先鋭的な野心作まで幅広く演じ分けて、トレンディ以降のテレビドラマでも一時代を築く。2000年代に入ってからは、青山真治監督「月の砂漠」03、鶴田法男監督「予言」04にいずれも主演するが、その後は映画から遠ざかり、近年は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』04・05、『三文オペラ』09といった音楽劇や、寺山・作『青ひげ公の城』03、蜷川幸雄演出『あわれ彼女は娼婦』06、青井陽治演出『ラヴ・レターズ』10など、舞台を中心にした活躍が目立っている。ドラマの出演作はほかに、TBS『タスクフォース』02、フジテレビ『陰陽師☆安倍晴明・王都妖奇譚』『薔薇の十字架』02、『プロポーズ大作戦』07、日本テレビ『共犯者』03、WOWOW『交渉人』03、『パンドラ』08、『誘拐』09、『下町ロケット』11、テレビ朝日『同窓会/ラブ・アゲイン症候群』10など。12年のNHK大河ドラマ『平清盛』では鳥羽上皇役を演じる。

三上博史の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て

    制作年: 2019
    三上博史が「予言」以来、14年ぶりの映画主演を果たした密室群像劇。歌舞伎町のラブホテル。警察官の間宮は、勤務中にもかかわらずデリヘル嬢の麗華とお楽しみ中。そこへ間宮の妻で婦警の詩織が踏み込んで来るが、取り乱した間宮は麗華を射殺してしまい……。共演は「遺体 明日への十日間」の酒井若菜、「レディ in ホワイト」の波岡一喜、「太陽を掴め」の三浦萌、「仮面ライダー1号」の阿部力。監督・脚本は、「あいあい傘」の宅間孝行。
  • モリのいる場所

    制作年: 2018
    「祈りの幕が下りる時」の山崎努と「あん」の樹木希林が洋画家・熊谷守一夫妻を演じるヒューマンドラマ。守一の自宅の庭には様々な動植物が生きている。守一は30年以上、それらをじっと眺めるのを日課にしていた。守一の家には毎日のように人が訪ねてくる。監督・脚本は、「モヒカン故郷に帰る」の沖田修一。出演は、「3月のライオン」前・後編の加瀬亮、「谷崎潤一郎原案/TANIZAKI TRIBUTE『悪魔』」の吉村界人。
    80
  • へんりっく 寺山修司の弟

    制作年: 2009
    舞台、映画、文筆などマルチな才能を発揮し、世界的評価を得た寺山修司。彼が主宰した劇団天井桟敷に参加し、寺山の死後、寺山籍に入って“寺山修司の弟”となった森崎偏陸(もりさきへんりっく)の姿に迫るドキュメンタリー。「樹の上の草魚」の石川淳志監督が7年間に渡ってその姿を追い、寺山ワールドの後継者の内面を捉えた。
  • Genius Party 「LIMIT CYCLE」

    制作年: 2007
    「アニマトリックス」や「鉄コン筋クリート」で知られるSTUDIO4℃が中心となり、今、注目の七人のクリエイター達が、七つのショートアニメーションを制作。「Genius Party」とは、このプロジェクト名である。第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞の柳楽優弥ら実力派俳優が声優として参加。また、菅野よう子らが音楽を手がけるなど、多岐にわたる才能が結集している。
  • 予言(2004)

    制作年: 2004
    事件や事故を予告する新聞に取り憑かれた男の運命を描いたホラー。監督は「案山子 KAKASHI」の鶴田法男。つのだじろう原作の漫画『恐怖新聞』を基に、「CROSS」の高木登と鶴田監督が共同で脚色。撮影を「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」の栢野直樹が担当している。主演は、「月の砂漠」の三上博史と「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」の酒井法子。尚、本作は『J・ホラー・シアター』第2弾作品として製作され、「感染」と同時公開された。
  • 月の砂漠

    制作年: 2001
    「EUREKA ユリイカ」でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞と、エキュメニック賞を受賞。自ら書き下ろした小説『EUREKA ユリイカ』(角川書店刊)で、第18回三島由紀夫文学賞を受賞した天才映画作家・青山真治の作品。ITベンチャーとして時代の寵児となった男が、崩壊した家庭を取り戻そうとする姿を描く。主演は『パラサイト・イヴ』以来5年ぶりに映画に出演する三上博史。

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