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マノエル・ド・オリヴェイラ特集、本予告編・著名人コメント公開。先行上映会も決定
2025年3月19日巨匠マノエル・ド・オリヴェイラの没後10年に合わせ、「アブラハム渓谷 完全版」「訪問、あるいは記憶、そして告白」「絶望の日」「カニバイシュ」「夜顔」の5作(うち3作は国内劇場初公開)を4Kスキャンを施したデジタルリマスター版で上映する〈オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集〉が、4月18日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次開催される。 このたびオリヴェイラを敬愛する俳優の柄本佑をトークゲストに迎えた「訪問、あるいは記憶、そして告白」の先行上映会を、4月2日(水)にBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で行うことが決定。また、アザービジュアル、著名人コメント、本予告編が到着した。 〈コメント〉 2015年4月2日。マノエル・ド・オリヴェイラ監督が亡くなられたその日僕はポルトガルにいました。 ドヌーヴ主演で新作を撮影中というデマを吹き込まれていた僕は「散歩してたら撮影現場に出会したりして」なんてちょっと本気で思ってましたが当然お会いできるわけもなく。 その後縁あって監督のお墓参りをさせていただく機会に恵まれた時監督の棺を前にして「ついにお会いできた」と興奮し、これからも作品を通じて監督とお会いし続けると確信した次第です。 4月。監督作に再会する機会があります。僕は通い詰めます。大らかで、過激で、Hなマノエル・ド・オリヴェイラ監督が僕の1番好きな映画監督です。 ──柄本佑(俳優) ゆるりと流れるドウロ河、それを見下ろす葡萄園、北部特有の重厚な屋敷、オリヴェイラ監督の私的な記憶が詰まる自邸、奇天烈な悲喜劇オペラが繰り広げられる宮殿。瞬きするのも惜しい、ポルトガルの美が詰まった作品群。 ──木下眞穂(翻訳家) 何と言うか……凄すぎる。世界のどこかにはこんなのがあったのだ。 ──黒沢清(映画監督) ※「カニバイシュ」について──著書『映画はおそろしい』(青土社、2001)所収「あまりに無茶なオペラ」より抜粋 演技はドキュメンタリー、映像と音は別物、涙はグリセリン⋯⋯、「映画とは何か」があからさまになるほどに、その謎は深まる。『アブラハム渓谷』で奈落に落ち、『カニバイシュ』で昇天すべし。伝説的傑作のつるべ打ち! ──濱口竜介(映画監督) ポルトガルは小さな国で、映画の歴史は慎ましいものです。しかし、60年代、70年代、80年代、90年代から今に至るまで、我々全てのポルトガルの映画作家は、どこかで必ず、巨峰オリヴェイラと向き合わなければなりません。 ──ペドロ・コスタ(映画監督) ※2010年7月26日にアテネ・フランセ文化センターで行われた講演「砂漠の小さな花 ポルトガル映画史について」での発言より 多くの才能ある監督たちが「新約」の物語を撮ったのに対し、オリヴェイラだけは独り、「旧約聖書」の物語を撮った。人間の原罪と愚行を見つめつつも、その彼方にある無垢と智慧を描き続けた。 ──四方田犬彦(映画・比較文学研究家) https://www.youtube.com/watch?v=HcLIkUKumoA 提供:キングレコード 配給・宣伝:プンクテ ▶︎ マノエル・ド・オリヴェイラ特集開催。国内劇場初公開3作を含む全5作を上映 -
5年ぶり3度目の〈若尾文子映画祭〉、明るいA面と濃厚なB面に分けて上映
2025年3月19日増村保造、溝口健二、市川崑、川島雄三ら名監督と組み、京マチ子、山本富士子、市川雷蔵、勝新太郎、田宮二郎ら名優と共演してきた映画女優・若尾文子。彼女の出演作を一挙上映する〈若尾文子映画祭〉が、6月6日(金)より角川シネマ有楽町で開催される(6月21日(土)からは大阪シネ・ヌーヴォなど全国で順次上映)。2種類のポスターが到着した。 5年ぶり3度目となる今回の〈若尾文子映画祭〉は、〈Side. A〉と〈Side. B〉に分けて実施する。〈Side. A〉は、初披露となる「青空娘」「最高殊勲夫人」の各4K版を目玉に、明るく純粋な若尾文子を楽しめる全18本。〈Side. B〉は、同じく初披露の「妻は告白する」「清作の妻」の各4K版を目玉に、濃厚な若尾文子を堪能できる全18本。 〈Side. A〉のポスターは「青空娘」、〈Side. B〉のポスターは「妻は告白する」にフォーカスしたもの。ある時は太陽のように輝き、またある時はブラックホールのように闇へ引き込むファム・ファタールの魅力を味わいたい。 〈若尾文子映画祭 Side.A & Side.B〉 配給:KADOKAWA ©KADOKAWA 公式サイト:https://cinemakadokawa.sakura.ne.jp/wakao2025/ -
“放射能台風”から都市を守れるか? アンディ・ラウ主演「カウントダウン」
2025年3月19日アンディ・ラウ主演により、“放射能台風”から都市を守るべく前代未聞の作戦に打って出る面々の奮闘を描いたディザスター大作「カウントダウン」が、5月2日(金)よりシネマート新宿ほか全国で公開される。ビジュアルと特報映像が到着した。 香港で高濃度セシウムの漏洩が発生し、環境汚染の専門家ファン(アンディ・ラウ)と消防隊によるチームが対応に当たる。時を同じくして熱帯低気圧が接近。もしセシウムと合わされば大爆発が起き、街は消滅することに。残された時間は90分、チームは前代未聞の“爆破防壁作戦”を決行するが……。 https://www.youtube.com/watch?v=iSk2Q1vJ1aI アンディ・ラウと共にキャストに名を連ねるのは、『ロング・ナイト 沈黙的真相』のバイ・ユー、8年ぶりのスクリーン復帰となるカレン・モク、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」のケニー・ウォンとフィッシュ・リュウなど。監督は「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」などの撮影を手掛けたアンソニー・プン。 香港では初登場No.1&年間興収第3位のヒットを記録。迫力のディザスターと決死のミッションに熱くなること必至だ。 「カウントダウン」 監督・撮影:アンソニー・プン 出演:アンディ・ラウ、バイ・ユー、カレン・モク、ツェー・クワンホウ、イヴァナ・ウォン、ルイーズ・ウォン、フィッシュ・リュウ、ホ・カイ・ワ、ジェフリー・ガイ、リャン・チョンホン、ケニー・ウォン、ロッカー・ラム、ウェスリー・ウォン 2024年/香港/広東語/136分/カラー/シネマスコープ/5.1ch 原題:焚城 字幕翻訳:澁谷展子 映倫区分:G 配給:AMGエンタテインメント ©2024 Edko Films Limited and Beijing Alibaba Pictures Culture Co., Ltd. All Rights Reserved. -
二度三度見直したくなる“先読み不可能”なジャンルレスのエンタメ作品「あの人が消えた」
2025年3月19日次々と人が消えると噂されるマンションを舞台に、怪しげな住人の秘密を知ってしまった配達員が思いもよらぬ事件に巻き込まれていくミステリー・エンタテインメント「あの人が消えた」。国内外の名だたる賞を総なめにした注目のクリエイター水野格が監督・脚本を務めた完全オリジナル作品で、その“先読み不可能”な驚愕の展開が話題を呼んだ本作のBlu-ray&DVDが、3月19日にリリース(レンタルDVD同時)。豪華版Blu-rayには、全編に散りばめられた伏線や遊び心を知ることができる映像&音声特典も収録される。 二転三転して心地良い裏切りを楽しめる 本作は先の読めない展開が大きな魅力の複数ジャンルを横断するようなエンタメ作品。どんなジャンルの作品なのかも含め、本来は何も情報を入れずまっさらな気持ちで見てほしい映画で、詳細を知らずに見ていると二転三転する物語に、ミステリーなのか、コメディなのか、サスペンスなのかと、心地良く惑わされる。実は最後まで見ると「〇〇でもあったのか!」と驚くことになるはずで、こう書いているだけでも、見る方の楽しみを奪ってしまわないかと心配になるほど、明かしたくないことが多いが、序盤のあらすじだけは紹介しておこう。 主人公の新人配達員・丸子(高橋文哉)は、ハードな仕事にようやく慣れてきた頃、あるマンションの担当となるが、そこは「次々と人が消える」と噂されるいわくつきの場所だった。日々マンションに出入りして荷物を届ける丸子は、その住人のひとり・小宮(北香那)が自身の愛読しているWeb小説の作者ではないかと察して、密かに憧れを抱いていく。 そんな中、挙動不審な住人の島崎(染谷将太)に小宮のストーカー疑惑が持ち上がり、丸子は運送会社の先輩で小説家志望の荒川(田中圭)の協力を仰ぎ、他の住人たちに聞き込みを開始。引っ越し先を探しているという沼田(袴田吉彦)や、詮索好きのおしゃべりな女性・長谷部(坂井真紀)らの住人から、「島崎の部屋に血だらけの女がいた」「血痕が付いた服を着た姿を見た」というとんでもない目撃情報を聞く。島崎を危険人物と断定した丸子は、小宮を守りたい一心で部屋に単身侵入を試みるが……。 丸子は不器用ながらも真面目で優しい性格。このあらすじだけを見ると、一つのマンションを舞台にしたよくあるサスペンスミステリーのようにも思えるだろうし、いち配達員がなぜそこまで深入りするのか、生真面目すぎて暴走しているのでは、逆にストーカーになっているのでは……などとも思うだろうが、物語はここから一変していくので、とにかく最後まで見てもらえると必ず、「なるほど」と膝を打ったり、心地良い裏切りを楽しめる。 全編に伏線や遊び心が満載 主人公・丸子を演じるのは、『仮面ライダーゼロワン』(19)やTBSドラマ『最愛』(21)の出演で注目を浴びて以降、大活躍中の高橋文哉。2024年は本作以外にも、「映画 からかい上手の高木さん」と「劇場版 君と世界が終わる日にFINAL」「ブルーピリオド」で準主役や重要な役を演じ、ドラマ『伝説の頭 翔』に主演。青春映画から近未来ファンタジー、ヤンキーからトランスジェンダーまで、ジャンルも役柄も幅広い作品で大活躍した。主役を担える華がありつつ、どんな役にも染まれる俳優としての資質は、普通の青年を演じた本作でも発揮されている。 そして、田中圭が、丸子の職場の先輩で小説家を夢見る男・荒川役を演じ、作品にユーモアを与えると共に大事な役を担う。さらに、謎めいたマンションの住人役に、北香那、坂井真紀、袴田吉彦、中村倫也、染谷将太、警視庁の捜査官役に菊地凛子など、多彩な俳優陣たちが集結。 監督・脚本は、バラエティ番組の演出も経て、ドラマではチーフディレクターを務めた作品が国内外のドラマ賞を受賞して脚光を浴びた水野格。本作のオリジナル脚本は、コロナ禍で宅配を頼む機会が増えて気付いたことから着想を得ると共に、配達員の方々への感謝とリスペクトの思いも込めたそうで、エンタメの中で配達業界の過酷さに目を向ける姿勢は、同じく昨年公開された「ラストマイル」とも通じるものがある。水野監督ならではの細部にまでこだわった遊び心の演出が堪能でき、二度三度と見直したくなる作品だ。 伏線やトリックの一部を明かした映像&音声特典 初見の方はもちろんまっさらな気持ちで見て、二度目の方は結末を知った上で見直していただき、それから3月19日にリリースされる豪華版Blu-rayに収録の映像特典や音声特典で、伏線やトリック、謎解きのための仕掛けや遊びを知った上でさらに見直していただくと、何度でも楽しむことができる。また、複数人で見ると、伏線や仕掛にどこまで気づいたかなどの話題で見終わった後に盛り上がることだろう。 豪華版Blu-rayに収録されているのは、映像特典として、メイキング、丸子カメラ(主演の高橋がカメラを持って劇中の登場人物にインタビュー)、舞台挨拶(完成披露上映会、初日舞台挨拶、どこまで話せる?!伏線回収トークイベント)、あの人に聞いた!『あの人が消えた』の秘密(高橋文哉×染谷将太/高橋文哉×田中圭)、特報・予告編など。音声特典として、主演の高橋&水野監督によるオーディオコメンタリー。封入特典として、ブックレットと特製トレーディングカードなどとなっている。 ネタバレになることが多いので、映像特典や音声特典の具体的な内容を明かしにくいが、料理が得意な高橋が現場で手作り牛丼を振る舞う様子や、あるキャストがかけられた手錠の鍵がなくなってちょっとした騒ぎになっていた模様などの撮影裏話から、全編に散りばめられた伏線や仕掛や遊びや裏設定などが解説されている。例えば登場人物の名前にも謎解きのヒントがあったり、本編冒頭から裏設定が活かされた演出があるが、初見の際はそんなことを気にせず見ていただきたい。本編を1~2度見たあとに見聞きすると、さらに本編を楽しめる映像&音声特典になっている。また、高橋が主演だと聞いて出演オファーを快諾したという田中など、高橋の人間的魅力を水野監督やキャスト陣が語る姿なども収められている。舞台挨拶などからも高橋の謙虚な姿が窺え、今後も主演映画「少年と犬」、出演映画「夏の砂の上」、出演ドラマのNHK連続テレビ小説『あんぱん』など、ひっぱりだこの高橋の活躍の理由の一端も垣間見られることだろう。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=5OKmUzoB7gY 「あの人が消えた」 ●3月19日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタルDVD同時) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●豪華版Blu-ray 価格:7,480円(税込) 【ディスク】<2枚>※本編+映像特典 ★映像特典★ ・メイキング ・丸子カメラ ・舞台挨拶 1)「完成披露上映会」 2)「初日舞台挨拶」 3)「どこまで話せる?!伏線回収トークイベント」 ・あの人に聞いた!『あの人が消えた』の秘密(高橋文哉×染谷将太) ・あの人に聞いた!『あの人が消えた』の秘密(高橋文哉×田中圭) ・特報・予告編 ★封入特典★ ブックレット/特製トレーディングカード ★音声特典★ 高橋文哉&水野格監督オーディオコメンタリー ●通常版DVD 価格:4,180円(税込) 【ディスク】<1枚>※本編+映像特典 ★映像特典★ ・特報 ・予告篇 ●2024年/日本/本編104分 ●監督・脚本:水野格 ●音楽:カワイヒデヒロ ●主題歌:NAQT VANE 「FALLOUT」(avex trax) ●出演:高橋文哉 北香那、坂井真紀、袴田吉彦 金澤美穂、菊地凛子、中村倫也 染谷将太、田中圭 ●発売元:日活 販売元:VAP ©2024「あの人が消えた」製作委員会 -
Jホラーの枠を飛び越えた必見の秀作「サユリ」
2025年3月19日押切蓮介の人気ホラー漫画を、Jホラー映画の旗手・白石晃士監督が実写化した「サユリ」のBlu-ray&DVDが、3月19日に発売となった。作品は前半の正統派ホラー映画のテイストから一転、後半にはパワフルなアクションエンターテイメントへと転調する、まるで二部構成のような娯楽作。ホラーが苦手という人も、見終われば必ずその面白さに満足する、新感覚の1本だ。 幸せな家族が次々と死んでいく、ある家にかけられた呪い! ある一軒家に神木家が引っ越してくる。家族構成は両親(梶原善・占部房子)と長女の径子(森田想)、長男の則雄(南出凌嘉)、次男の俊(猪俣怜生)、そして祖父(きたろう)と認知症を患っている祖母(根岸季衣)の7人。仲のいい一家だったが、まず父親が怪死を遂げ、続いて祖父、長女と次男、母親が相次いで亡くなる。中学生の則雄は、霊感の強い同級生・住田(近藤華)から、少女に呪われているからすぐに家を出るべきだと忠告を受けた。祖母と二人だけになった則雄は心細さを隠せなくなるが、そのとき事態を一変させる状況が生まれる。 オープニングでは中古の一軒家で、新生活を始める神木家の人々の幸せそうな姿が映し出される。だが幼い俊はこの家に何か恐ろしい者がいると感じ、通常はボケている祖母も邪悪な存在を感じ取っていた。それを裏付けるように父親が死に、祖父はいきなり裏庭を掘り返そうとし始める。家族に異変が起こって子供たちも薄気味悪さを覚えるが、やっと手に入れたマイホームを母親は手放そうとしない。徐々に不気味な雰囲気を醸し出し、住人の精神がむしばまれていく様を、白石監督は手際よく見せていく。径子、俊、母親が亡くなるところで怖さは最高潮に達するが、このホラータッチの部分はプロローグ。映画の見せ場はここからだ。 祖母が復讐の鬼として覚醒、パワフルなキャラが魅力的 則雄と二人だけになった祖母は、「すっかり目が覚めてしもうたわい」と言って覚醒。認知症の症状は姿を消し、家族を死に追いやった霊に敢然と戦いを挑む、バイタリティ溢れる復讐の鬼となる。最初は祖母の豹変ぶりに驚く則雄も、『儚い霊など、わしらの生命力の強さには敵わない』と祖母に言われて、体を鍛えて、がむしゃらに食事をし、生命力を高めていく。祖母は太極拳の達人で、精神力と中国拳法で霊に対抗していく様が痛快だ。 則雄と祖母は、祖父が掘り返そうとしていた裏庭で、ある少女の遺品を見つける。これが家にとりついた霊のサユリの物で、倒す相手がわかった祖母は、サユリの怨念の元凶が彼女の家族にあると察知し、サユリの家族全員を拉致してくる。 ベテラン女優・根岸季衣の快演が見どころのひとつ! ここから一大バトルが展開するが、何といっても祖母を演じた根岸季衣の快演が光る。冒頭のボケた感じと、覚醒してからではまるで別人。タバコをすぱすぱ吸い、髪形をロックンローラー風にして、則雄に檄を飛ばすスーパーウーマン振りが面白い。また復讐のためなら常識にとらわれず、サユリの家族に暴力をふるうこともいとわない、パッション溢れるアウトロー的なキャラクターが魅力的。口うるさいおばさん役も多く演じてきた根岸季衣だが、今回の祖母役は則雄をサユリとの戦いへと導く導師のような一面もあり、近年では最大の当たり役だろう。 則雄を演じるのは、NHKドラマ『宙わたる教室』(2024)での好演も印象的だった南出凌嘉。ここでは祖母に鍛えられて、サユリを怖がらないようになっていく、メンタルの変化を巧みに演じている。家族の復讐劇というメインストーリーのほかに、則雄と住田のラブストーリーがサブエピソードとして綴られるが、学校での二人の場面はまるで青春映画の1ページ。則雄の住田への愛が試されるクライマックスも、作品の大きな見どころだ。他にも梶原善、きたろうといったベテランや、テレビドラマ『3000万』(2024)や映画「辰巳」(2024)のヒロイン役で注目を浴びた森田想など、個性的なキャストが映画に厚みを加えている。 監督の白石晃士は「ノロイ」(2005)を皮切りに、「オカルト」(2009)、「貞子VS伽椰子」(2016)、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズなどで、Jホラーの監督として独自の道を歩んできた。今回はいつも人間が霊にやられっぱなしなJホラーの定番を変えたかったと言っているが、祖母を中心にした人間側の霊への逆襲を描き出して、新境地を開いている。 撮影の裏側がわかる、興味深い特典映像! 今回リリースされるBlu-rayには約50分の〈メイキング映像〉と、作品の完成披露舞台挨拶、公開記念初日舞台挨拶の模様を収めた〈イベント集〉を特典映像として収録。 〈メイキング映像〉では2023年10月から3週間にわたって行われた撮影現場に密着し、白石監督や主要キャストのコメントを織り込みながら、ホラー映画の舞台裏に迫っている。根岸季衣は覚醒した祖母のイメージを、自分から『ジャニス・ジョプリンのような感じで行きたい』と監督に言ったそうで、彼女のアイデアが全面的に活かされている。南出凌嘉は主役としてのプレッシャーを抱えながらも、ホラー映画とは思えない和やかな現場の雰囲気に溶け込んでいった。神木家の家族全員の楽しそうな感じから、チームワークの良さがメイキングから窺える。南出と根岸は、2カ月かけて太極拳の練習をしたそうで、そのトレーニングの成果は映画からも見て取れ、勿論、白石監督の本道である怖がらせる演出、モンスターと化した、サユリの3時間かけた特殊メイクの工程など、映画作りの秘密がわかる見どころも満載。 〈イベント集〉では完成披露舞台挨拶に監督、原作者、南出、根岸が登壇。公開記念初日舞台挨拶にはこのメンバーに近藤華も加わって、撮影中の裏話や作品の魅力を語っている。監督は南出、近藤をオーディションで選んだ理由も披露。また出演者たちが語る『もし幽霊に遭遇したら?』という問いに対する回答も面白い。 導入部こそホラーだが、アクション、青春映画、笑い、ホームドラマと様々な映画の要素をこれでもかと詰め込んだ、もはや一つのジャンルにはくくれないエンタテインメント作品。韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭や、カナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭でも絶賛を浴びた、Jホラーの枠を飛び越えた秀作を、多くの人に観てもらいたい。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=1ZWrnxgRvj8&t=1s 「サユリ」 ●3月19日(水)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD先行リリース中) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 価格:7,480円(税込) 【ディスク】<1枚>※本編+映像特典 ★映像特典★ ・メイキング ・イベント集 ★封入特典★ ・押切蓮介先生描き下ろし!オリジナル四コマしおり ★音声特典★ ・オーディオコメンタリー(監督:白石晃士×脚本:安里麻里×企画プロデュース:田坂公章) ★パッケージ仕様★ ・押切蓮介先生 描き下ろしイラスト三方背BOX ●通常版DVD 価格:4,620円(税込) 【ディスク】<1枚>※本編 ●2024年/日本/本編108分 ●監督:白石晃士 ●原作:押切蓮介『サユリ 完全版』(幻冬舎コミックス刊) ●脚本:安里麻里、白石晃士 ●出演:南出凌嘉、根岸季衣、近藤 華、梶原 善、占部房子、きたろう、森田 想、猪股怜生 ●発売元:「サユリ」製作委員会 販売元:VAP ©2024「サユリ」製作委員会/押切蓮介/幻冬舎コミックス