しから始まるものでの検索結果

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  •   「青いパパイヤの香り」「シクロ」の名匠トラン・アン・ユン監督が、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルの共演で、美食家と料理人の愛と人生を描出。第76回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞し、第96回アカデミー賞国際長編映画賞フランス代表に選ばれた「ポトフ 美食家と料理人」が、12月15日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルと予告編が到着した。     《食》を芸術に高めた美食家ドダン(ブノワ・マジメル)と、彼が閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)。二人が生む極上料理への驚きと熱狂は、ヨーロッパ中に広がる。 ある日、ユーラシア皇太子の晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけで論理もテーマもない大量の料理にうんざりする。そして、最もシンプルな料理〈ポトフ〉で皇太子をもてなそうと決意する中、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンは初めての挑戦として、すべて自らの手で渾身の料理を作り、愛するウージェニーを元気づけることに──。     トラン・アン・ユンの7年ぶりの新作であり、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルは20年ぶりに共演。 料理を監修したのはミシュラン三つ星シェフであり、前衛的な創作ぶりから《厨房のピカソ》と称えられるピエール・ガニェール。彼はシェフ役で登場もする。監督は調理過程を1台のカメラで撮影し、魚や肉を焼いたり煮たりする音を丁寧に捉え、自然光を基本とすることで、食の芸術を追求した。ウージェニーとドダンのピュアな愛のドラマ、そして共に挑む究極のポトフに注目だ。 ※東京国際映画祭2023ガラ・セレクション部門での上映が決定、トラン・アン・ユン監督の舞台挨拶とマスタークラスも予定されている。   「ポトフ 美食家と料理人」 監督・脚本・脚色:トラン・アン・ユン 出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル 料理監修:ピエール・ガニェール 配給:ギャガ 原題:La Passion de Dodin Bouffant/2023/136分/フランス/ビスタ/5.1chデジタル/字幕翻訳:古田由紀子 ©2023 CURIOSA FILMS ー GAUMONT ー FRANCE 2 CINEMA 公式サイト:https://gaga.ne.jp/pot-au-feu/
  •   不条理スリラー「ビバリウム」が話題を呼んだロルカン・フィネガン監督が、順風満帆な一家に想像を絶する悪夢が襲いかかるさまを描いた「NOCEBO/ノセボ」が、12月29日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開。ティザービジュアルと特報映像が到着した。     ファッションデザイナーとして名を馳せるクリスティーンは、ダブリン郊外で夫と娘と共に順風満帆な生活を送っていた。ある日の仕事中、彼女はダニに寄生された犬の幻影に襲われる。その8ヵ月後には、筋肉の痙攣、記憶喪失、幻覚など原因不明の症状に悩まされていた。 そんなクリスティーンの前に、ダイアナと名乗るフィリピン人の “乳母” が出現。雇った覚えがなく訝しむクリスティーンだったが、いつしかダイアナが施す伝統的な民間療法にのめり込んでいく。それは一家を襲う悪夢の始まりだった──。     クリスティーンを演じるのは「007/カジノ・ロワイヤル」「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のエヴァ・グリーン。夫のフェリックス役には「キングスマン」シリーズのマーク・ストロング、謎多きダイアナ役にはフィリピン出身のシンガーソングライターであるチャイ・フォナシエ。 ダイアナは何者なのか、そしてクリスティーンの運命は? 奇天烈なホラーに注目だ。     「NOCEBO/ノセボ」 監督:ロルカン・フィネガン 脚本:ギャレット・シェインリー 音楽:ホセ・ブエンカミーノ 編集:トニー・クランストン 撮影:ラデク・ラドチェック、ジャクブ・キヨフスキ 衣装デザイン:レオニー・プレンダーガスト プロダクションデザイン:ルーシー・ヴァン・ロンクハウゼン 出演:エヴァ・グリーン、マーク・ストロング、チャイ・フォナシエ、ビリー・ガズドン 2022年/アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/97分/英語 日本語字幕:平井かおり/原題:NOCEBO/レイティング:G/配給:クロックワークス 公式サイト:https://klockworx-v.com/nocebo/ Copyright © Lovely Productions Limited / Wild Swim Films Limited MMXXII. All Rights Reserved.
  • アクション映画にも女性活躍の波は寄せつつある。女優オルガ・キュリレンコが“最強の料理人”を演ずる傑作アクション『ハイ・ヒート その女 諜報員』のレンタルが10月13日にリリースされた。アクション女優として確固たる地位を築くオルガ・キュリレンコのハードなアクションと、現代の夫婦問題を風刺したブラックな笑いも楽しめる本作の魅力について解説する。 女性版“最強の料理人”の誕生  “最強の料理人”というフレーズは20世紀には『沈黙の戦艦』(1992)『暴走特急』(1995)でスティーヴン・セガールが演じたケイシー・ライバックのためにあった。 ところが21世紀、同じフレーズをジャックする映画が現れた。しかも主演は女優である。近年『サンティネル』(Netflix・2021)、『ザ・クーリエ』(2019)などでハードなアクション映画を成功させているオルガ・キュリレンコが主演した『ハイ・ヒート その女 諜報員』は、高級フレンチ・レストランを開店したばかりのオーナーシェフが、営業妨害しようとするギャングと壮絶なバトルを繰り広げるアクションだ。多くのシーンがレストランの厨房で撮影され、調理器具や冷蔵庫を巧みに利用して視聴者をニヤリとさせる。彼女の夫を演ずるのは刑事ドラマ「マイアミ・バイス」のドン・ジョンソン。相変わらず二枚目だが、本作の彼は優柔不断、借金まみれで酒ばかり飲み、何ひとつ事件を解決しない初老の男を情けなく演じる。かつては“男の中の男”のイメージだったドンにとっては新境地といえるかもしれない。 アクションとブラックな笑いのコントラスト フランスからアメリカへやってきたアナ(オルガ・キュリレンコ)は実業家のレイ(ドン・ジョンソン)と結婚し、念願のフレンチ・レストラン開店にこぎつける。だがその日、レイのもとにマフィア風の男が現れ、ボスとの面会を強要する。実はレイは過去に何度もレストラン経営に失敗しており、アナに隠した莫大な借金があったのだ。金を返さないレイに怒ったマフィアはレストランへの放火を実行。だが、ギャングたちの前にアナが立ちはだかる。アナにはレイに隠していたKGB(ロシア国家保安委員会)の腕利きのエージェントという過去があったのだ。 夫婦が互いの秘密の過去を知り、唖然とする実にリアルな場面である。アナの出現に面食らい、マフィアは次々と刺客を送り込む。しかしアナはマシンガンを片手に本格的な反撃を開始する──。 オルガ・キュリレンコのシャープなアクションと、情けないマフィアたちの巻き起こすブラックな笑いのコントラストが楽しい。後半、アナの援護のために現れるKGB時代の親友・ミミ(ケイトリン・ダブルデイ)とその家族たちの巻き起こす騒動も本作の重要なアクセントだ。ドン・ジョンソンのファンにも、終盤にはお楽しみが待っている。ケラケラ笑いながら84分間があっという間に過ぎるハイスピード・アクションの誕生である。 稀有なアクション女優に育ったオルガ・キュリレンコ 主演のオルガ・キュリレンコは1979年、ソ連時代のウクライナに生まれた。1995年、16歳でファッションモデルとして渡仏し、トップモデルに成長したが彼女はそのキャリアに満足せず女優として活動し、2005年には小川洋子の小説を映画化した『薬指の標本』(監督:ディアーヌ・ベルトラン)に主演。2007年『ヒットマン』(監督:サヴィエ・ジャン)や2008年の『007 慰めの報酬』(監督:マーク・フォスター)などをきっかけにアクション演技にも目覚め、『その女諜報員 アレックス』(2015・監督:スティーブン・カンパネッリ)以降はサブミッションの要素を取り入れたスピーディで激しい技闘に挑戦、アクション女優として独壇場にいる。70年代の志穂美悦子、90年代のミッシェル・ヨーなど男勝りのスタントをこなしたスター女優は多いが、オルガ・キュリレンコはスーパーモデル出身であり、洗練された女性美とハードアクションを兼ね備えた稀有な女優といえる。 現代の夫婦問題のパロディとして また興味深いのは、本作が現代社会における夫婦の問題のパロディになっている点だ。富豪と結婚したと思っていたアナだが、夫のレイは借金まみれだった。レイも妻の素性を知らなかった。熱愛直後に結婚した夫婦の、相互不理解の典型例のようではないだろうか。   さらに、アナを援護するミミと夫のトム(クリス・ディアマントポロス)はストレス多き倦怠期にある。妻に見下され、罵られてばかりいるレイのこぼす「これが職場結婚だ」の言葉が笑えるけれども切ない。妻たちはみな強く、積極的で決断力がある。一方、夫たちは優柔不断で弱々しく、妻に引きずられている。現代女性の傾向をコメディとして誇張する一方で、見方によっては演出者のミソジニスト的視線を感じるかもしれない。その点については議論が待たれるが、製作者はそこに妻たちが“元ロシアKGBのエージェント”という巧妙なエクスキューズを用意した。すなわち彼女たちは民主的な世界で生きてこなかったのだと。気がつけば、やられたと感じる設定なのである。 監督のザック・ゴールデンはニューヨーク市生まれ。テレビドラマの脚本を書いたのち、2018年に初の長編映画「囚人614の脱走(The Escape of Prisoner 614)」で西部劇に挑戦し評価を得た。長編第2作となる本作は低予算ではあるものの、「ミッドウェイ」製作のハリウッド資本も参加した。コーエン兄弟の初期作を思わせるような乾いて毒のある笑いを盛り込むのが上手く、今後の活躍が期待される。ハイテンションな活劇の要素だけではない、人間を描いた深みが本作にはある。じっくりと鑑賞するに値する映画といえるだろう。 文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社   https://www.youtube.com/watch?v=ij2Ob8QNEoU 『ハイ・ヒート その女 諜報員』 ●10月13日(金)レンタルリリース ●2023年/アメリカ/本編84分 ●監督:ザック・ゴールデン ●脚本:ジェームス・ピーダスン ●プロデューサー:フィル・ハント ●アクション監督:ドリュー・リーリー ●出演:オルガ・キュリレンコ、ドン・ジョンソン、ダイヤモンド・ダラス・ペイジ、ケイトリン・ダブルディ、クリス・ディアマントポロス ●発売・販売元:アメイジングD.C. © MAMA BEAR THE FILM, INC. 2023
  • シンガポールの大都市の地下空間に、血管のように複雑に張り巡らされた広大な地下鉄網。その迷宮のような閉鎖された地下空間の鉄道路線構内で、未知の怪物に襲われる恐怖を描いたモンスター・サバイバルアクション「グアイウ 地下鉄の怪物」のレンタルが10月13日より先行リリース(セル・11月8日)。日本でも日々の利用者が数多くいる地下鉄を舞台にした本作の見どころを紹介する。 シンガポールの地下鉄に巣食う怪物が乗客を襲う! 「グアイウ 地下鉄の怪物」は、新宿のミニシアターの新宿シネマカリテが、厳選した世界の新作映画を7月14日~8月10日に上映した映画フェス“カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2023”(カリコレ2023)内で日本初公開された、最新のシンガポール映画。 ある日、多くの帰宅客を乗せていつも通りに運行していたはずのシンガポールの地下鉄の終電車が、突如制御不能となり、コースを外れて大暴走。現在は使用されていない廃墟と化したトンネルに突き進んでしまう。線路の終端が迫る中、列車はようやく急停車。けが人は出たものの、脱線や衝突などの最悪の事態は避けられたと思ったのも束の間、一人で車外に出て線路沿いに歩いて戻ろうとした乗客が、何かに襲われる。そこは未知の怪物の巣窟となっていたのだった。 地下鉄指令室が暴走車両の行方を見失う中、携帯も繋がらず、場所もわからない地下に取り残された乗客たちは、地下鉄車内にまで侵入してきた謎の怪物と遭遇し、次々と襲われていく。そして、取り残された乗客の中には、母親に預けていた幼い息子のルーカスを仕事帰りに迎えに行った後、一緒に帰宅中だったシングルマザーのイー・リンもいた。彼女はルーカスを連れて、他の二人の乗客と共になんとか車外に逃げ出すものの、必死の抵抗もむなしく、追い詰められる。しかし、次々と人間を無残に襲ってきた怪物は、なぜかルーカスにだけ特異な反応を示し、彼を連れ去ってしまう。果たして、彼女は愛する息子を連れ戻し、怪物が巣食う地下空間から脱出することができるのか……? 様々なジャンルの娯楽要素を詰め込んだエンタメ作 大都市の生活に欠かすことのできない身近な交通インフラの一つである地下鉄が、恐怖と惨劇の舞台となる本作。劇中では、開通直前に計画中止となって途中放棄された、一般的には知られていない未開通路線の工事現場や、システムの老朽化および新路線開発を優先する会社の方針などによりトラブルが多発している地下鉄路線が登場。その過密かつ複雑な地下鉄網は、都心に暮らす人々なら誰でも身近に感じることだろう。東京でも地下鉄の旧新橋駅ホームなどが有名だが、現在は使用されていない駅や諸事情で未開業となった路線工事跡などは、どこにあってもおかしくない。そんな場所に迷いこんでしまっただけでも怖いが、そこで未知の怪物に襲われるというのは、想像を絶する恐怖を感じる。 列車事故により閉鎖空間に取り残された乗客たちが、怪物に襲われる恐怖と戦いながら生き残ろうとする脱出劇に、愛する我が子を命がけで守ろうとする親子愛も絡めて描かれる本作。地下の下水道に巣くう両生類のような未知の怪物に襲われる2006年の韓国映画「グエムル 漢江の怪物」と、高速鉄道車内が恐怖の舞台となる2016年の韓国映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」を融合させたような作品ともいえ、モンスター、サバイバル、パニック、アクション、ホラーなど、様々なジャンルの娯楽要素を詰め込んだ作品ともなっている。 心を揺さぶられる二組の親子愛と極限状態の人間模様 親子愛の物語については、シングルマザーの主人公とその息子だけでなく、もう一組のある父と娘の物語も綴られる。シングルマザーの主人公が、息子を救うために過去のトラウマを乗り越えて命がけで怪物に挑む姿と、会社のしがらみに囚われていた父親が、娘のために何もかも投げうつ姿は、心を揺さぶられるだろう。また、クライマックスでは、冒頭で語られていることなどが物語の鍵を握る伏線回収もあるし、極限状態や危機的状況に追い込まれた乗客と地下鉄運営会社の社員たちの人間模様も、見どころとなっている。 監督のJ.D.チュアは、「ヒート」(1995)「インサイダー」(1999)「コラテラル」(2004)などの巨匠マイケル・マン監督に師事していたという。そんなJ.D.チュアによるハリウッド仕込みの洗練された視覚効果やデザインも活かされ、シンガポール映画としては初の本格的な長編クリーチャー映画を生み出した。そのクリーチャー造形も、この作品の大きな見どころの一つだ。また、オリジナル言語は中国語だが、吹替版で見ると日本の地下鉄で撮ったかのような臨場感を味わえそう。80分ノンストップで駆け抜け、見る者を釘付けにするエンタメ作となっている。 文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社   『グアイウ 地下鉄の怪物』 ●10月13日(金)レンタルリリース(セル:11月8日) ●2023年/シンガポール/本編80分 ●監督:J.D.チュア ●出演:ジェセカ・リウ、ピーター・ユー、アンディ・チェン、パトリック・ペイシュー・リー ●発売・販売元:ツイン © 2021 TAIPAN FILMS & MM2 ENTERTAINMENT
  • 「全米が吐いた!?」という強烈すぎるキャッチコピーで話題になり、超残酷描写の連続からR18+(18歳未満入場・鑑賞禁止)に指定されたにもかかわらず、劇場にはホラー映画マニアだけでなく、一部、若い女性やカップルまでが怖いもの見たさでやって来た問題作『テリファー 終わらない惨劇』のBlu-ray&DVDが10月13日にレンタル・セル同時リリース。忌み嫌われてもおかしくないアンチモラルでグロテスクな殺人鬼が新たなホラーアイコンになった理由とは──。 脳天串刺し、内蔵引き出し、目玉えぐり…… ひたすらグロいシーンが続く。直視できな人体破壊でスクリーンは鮮血色に染まりっぱなしだ。『テリファー 終わらない惨劇』は今年公開されたホラー映画の中でも残酷度では群を抜く。百戦錬磨のホラー映画通さえ、「これはやりすぎでは」という声もあった。しかし多くのホラー映画ファンが、この極度にむごたらしい映画を観るために劇場に並んだ。 ある年のハロウィンの夜、9人の市民が殺される凶悪事件が起きる。前作「テリファー」で描かれた“マイルズ郡大虐殺“と呼ばれた事件だ。本作はその直後から始まる。ピエロの姿をした殺人鬼は死亡したが、その遺体が忽然と消える。 それから1年後のハロウィンの夜、死んだはずのピエロが再び街に現れ、はしゃぐ人々を無差別に殺し始める。前作と同様、ピエロは神出鬼没、おどけた仕草を見せながら出会った市民を無差別に惨殺する。ある女性は生きたまま頭の皮を剥がれ、手足も無惨に折られて人間生け花のようになる。ある者は釘を打ち込んだバットでズガーンとノックされ、顔面が穴だらけに。お決まりのディスコ抜け出しカップルの男性は、大事な場所をスッパリと……。脳天を串刺しにする、皮膚を燃やす、内蔵を引き出す、目玉をえぐる。生殺しにされて血糊にまみれる被害者たち。痛い、熱い、苦しい……、とても見ていられない最低最悪の殺人ショー。 だが、この映画は不思議とホラー映画ファン以外の観客にも受け入れられた。そればかりでなく、主役の残虐な殺人ピエロ、アート・ザ・クラウンは新時代のホラーアイコンとして注目され、フィギュアまで発売された。映画サイトのユーザーレビューには「アート・ザ・クラウンかわいい!」といった投稿も見られた。実に不思議な現象だ。殺人ピエロはなぜ人気者になれたのだろう。 アート・ザ・クラウンはなぜ人気アイコンになったのか いわゆるモダンホラーと呼ばれる1970年代以降の恐怖映画から人気アイコンになったキャラは数多い。『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス、『13日の金曜日』のジェイソン、『ハロウィン』のブギーマン、『エルム街の悪夢』のフレディ……多くのキャラクターがホラー人気を盛り上げたが、彼らには共通するものがある。 1)見た目がグロテスクすぎない。シンプルな怖さを感じる外見 2)適度にコミカルな仕草。時に「可愛さ」さえも見せる残酷とのコントラスト 3)大げさで、やり過ぎさえ感じる暴力、残酷行為。   以上の3点を兼ね備えた時、キャラクターは人気アイコンになれるのだ。アート・ザ・クラウンはこの3つの要素を持っている。トランプに描かれたシンプルなジョーカーのような外見。かぎ鼻や白黒ツートンの地味な衣装。それらは懐かしさすら感じさせるルックだ。また演じる俳優が徹底的に訓練したというピエロのしぐさも重要だ。サーカスや大道芸で見かける一瞬で人の心をつかむアクションは、残酷殺人との落差を際立たせつつ、観客をクスリとさせる。そして特殊メイクアーティストでもある監督ダミアン・レオーネの凝りに凝った被害者たちの死体造形や大量の血糊。それらはグロテクスでありながらもリアルすぎない。映像の質感も70~80年代のフィルムに近づけ、レトロ感を強調する。そのせいで観客は「これは映画だ」と割り切って見ていられる。フィクションとしてのテイストが強調されているからこそ、本作はマニア以外にも受け入れられたのではないか。見ていて嫌な気持ちになる実録犯罪映画などとの決定的な違いがそこにある。 続編は?「テリファー」シリーズが大化けする可能性 加えて本作は映画にファンタジー的な要素を加えたことも効果的だった。ファイナル・ガール(最後まで生き残るヒロイン)シエナの美しく勇敢な姿、最終局面で立ち直る意外性はファンタジーRPGに慣れた若者の指向にフィットした。さらにアート・ザ・クラウンの妹的キャラ、リトル・ペイル・ガールの登場などはホラー一色ではない、別次元の楽しさを映画に加えている。リトル・ペイル・ガールは不気味ないでたちでありながら、現実のハロウイン・イベントでコスプレできそうなキュートさと親近感がある。   前作「テリファー」は予算が35000ドル(約520万円)の自主映画で、日本では当初、DVDストレートだった。しかし口コミで人気になり、2作目の本作はクラウド・ファンディングに25万ドル(約3700万円)もの資金が集まり、全米で劇場公開され1500万ドルの興収をあげた。日本でもダミアン・レオーネ監督作品の劇場初公開となり、続けて前作「テリファー」もスクリーン上映されている。   本作を最後まで観れば、監督が続編に意欲満々とわかるだろう。3作目は、さらに大きな予算で製作され、メジャースタジオが関与するシリーズとして大化けする可能性もある。ホラーはマニアックなジャンルでもあるが、自主制作から下剋上するポテンシャルも秘めていると本作は教える。映画はどうすれば成功するのか、その秘訣を探るためBlu-rayなどのメディアで繰り返し鑑賞、研究してほしい“テキスト”でもある。 文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社   https://www.youtube.com/watch?v=plCTkN_1QZM 『テリファー 終わらない惨劇』 ●10月13日(金)レンタルリリース(セルも同日) ●2022年/アメリカ/本編138分 ●監督・脚本・VFX・特殊効果:ダミアン・レオーネ ●撮影:ジョージ・ステューバー ●プロデューサー:フィル・ファルコーン ●出演:ジェナ・カネル、ローラン・ラベラ、デイヴィッド・ハワード・ソーントン ●レンタル 発売・販売元:プル―ク  ●セル 発売元:プルーク/販売元:アメイジングD.C. © 2022 DARK AGE CINEMA LLC. ALL RIGHTS RESERVED