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人間が“兵器”となる国境の真実。アグニエシュカ・ホランド監督「人間の境界」
2024年3月1日ベラルーシ政府がEUを混乱させる狙いで難民をポーランド国境へ送る策略〈人間兵器〉を題材に、シリア人難民家族、支援活動家、国境警備隊員など翻弄される人々の運命を描き、2023年ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞したアグニエシュカ・ホランド監督作「人間の境界」が、5月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国順次公開。ポスタービジュアルが到着した。 難民問題を追っていたアグニエシュカ・ホランドは、国境付近の立ち入り禁止令で情報が断たれた2021年に「国境に行けなくても、私は映画を作ることができる。政府が隠そうとしたものを、映画で明かそう」と決意。政府や右派勢力の攻撃を避けるため、撮影の日程と場所を伏せ、24日間のスピード撮影を敢行した。 大量のインタビューや資料を下敷きに、実際に難民だった俳優、支援活動家だった俳優を起用してリアリティ豊かに描いた本作は、国際的評価を獲得。一方でポーランド政府は激しく非難し、公開劇場に「この映画は事実と異なる」という政府作成のPR動画を併映するよう命じるなど異例の攻撃に出た。だがほとんどの独立系映画館は命令を拒み、ヨーロッパ映画監督連盟(FERA)をはじめ多くの映画人がホランド監督の支持を表明、政府vs映画の闘いに発展する。そして監督が訴訟を示唆する一方で身の危険を覚えるほど論争が激化する中、ポーランドで公開されると2週連続で観客動員トップのヒットを記録した。 壊れゆく世界に問う、衝撃のヒューマンドラマを見届けたい。 Story 「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入れる」という情報を信じ、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した一家。しかし国境の森に辿り着くと、武装した警備隊に非人道的な扱いを受けてベラルーシへ送り返され、さらにベラルーシからは再びポーランドへ強制移送される。両国の難民押し付けにより、一家は暴力的で終わりの見えない過酷な日々を送ることに……。 「人間の境界」 監督:アグニエシュカ・ホランド 出演:ジャラル・アルタウィル、マヤ・オスタシェフスカ 2023年/ポーランド、フランス、チェコ、ベルギー/ポーランド語、アラビア語、英語、フランス語/152分/G/ビスタ/カラー・モノクロ/5.1ch/原題:Zielona Granica/英題:Green Border/日本語字幕:額賀深雪/配給:トランスフォーマー ©2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Česká televize, Mazovia Institute of Culture 公式サイト:https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/ -
同性愛者の長い孤独な日々、そして訪れた変化──。「94歳のゲイ」
2024年2月29日同性愛は異常性欲・変態性欲であり、治療可能な精神疾患だとされた時代より孤独に生きてきた一人の同性愛者に密着し、この国の同性愛史を紐解くドキュメンタリー「94歳のゲイ」が、4月20日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと予告編が到着した。 ゲイであることを誰にも打ち明けず、好きな男性ができても告白できずに生きてきた長谷忠さん。唯一の拠り所は文学・詩作で、1963年には現代詩手帖賞を受賞。選者の谷川俊太郎に高く評価され、複数の著作を刊行、94歳となった今も短歌を詠む。 かつて“同性愛は病気である”と公然と語られたが、今や同性愛者を取り巻く環境は大きく変わった。そんな中でカミングアウトを果たし、理解あるケアマネージャーに支えられ、逞しく生きる長谷さんだったが……。 https://www.youtube.com/watch?v=EIJtJdW0BUw 「笑っておくれ、人の弱みを」という長谷さんの短歌の一節で締め括られる予告編。長谷さんが90歳を越えて経験する“出会い”と“別れ”、その思いを見つめたい。 「94歳のゲイ」 語り:小松由佳 監督:吉川元基 プロデューサー:奥田雅治 撮影:南埜耕司 編集:八木万葉実 録音:西川友貴 音響効果:佐藤公彦 タイトル:平大介 配給:MouPro. 製作:MBS/TBS 製作幹事:TBS 2024年/日本/90分/ PG12/ステレオ/16:9 ©MBS/TBS 公式サイト:www.94sai.jp -
井浦新がカウボーイに!? 人生を見つめ直すアメリカ出張「東京カウボーイ」
2024年2月29日井浦新が主演にしてアメリカ映画デビュー。東京でキャリアを重ねる効率至上主義のビジネスマンが、出張先のモンタナ州の牧場でカウボーイ文化に触れて変わっていく姿を描く「東京カウボーイ」が、6月7日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかで全国順次公開される。 メガホンを執るのは、かつて山田洋次監督に弟子入りを志願し、「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」で山田組の海外現場に参加したマーク・マリオット。脚本は『忍びの家 House of Ninjas』のデイヴ・ボイルと女優の藤谷文子が共作。藤谷は井浦扮する主人公の上司かつ恋人の役で出演もする。 さらに和牛の専門家役で國村隼、牧場の人々としてアメリカのテレビドラマでおなじみのゴヤ・ロブレスやロビン・ワイガートらが登場。プロデューサーは「ジャングル・ブック」をはじめハリウッド大作を多数手掛けてきたブリガム・テイラーで、今回が初のインディペンデント映画となる。 3月1日に始まる第19回大阪アジアン映画祭でのクロージング上映も決定。異文化遭遇のヒューマンドラマに注目したい。 井浦新コメント 「あなたの出演している映画を観てきて、一緒に仕事がしたいとずっと想っていた」。 世界中がまだCOVID-19の不安の中にあった頃、オンラインで初めてマーク・マリオット監督と話した時にいただいた言葉。 具体的に自分の芝居の特徴や感じたことなど、言葉でたくさん伝えてくれた。 作品への取り組み方や役へのアプローチの仕方、俳優としてどのような道を歩んできたのかなどにも興味を持ってくれていて語らい合った。 マーク監督始めプロデューサーのブリガム・テイラーと脚本チームの藤谷文子さんとデイヴ・ボイル。 そこにいるマーク組の皆さんはちゃんと観てくれていて、必要としてくれているのを感じました。とても嬉しかった。 その想いに応えたい!一緒に映画づくりがしたい!ここから私の『東京カウボーイ』が始まりました。 アメリカのモンタナ州の壮大な大自然の中と東京の街とで撮影されたハートウォーミングなこの映画が、皆さんの心に優しく響き、楽しんでいただけたら幸いです。 「東京カウボーイ」 出演:井浦新、ゴヤ・ロブレス、藤谷文子、ロビン・ワイガート、國村隼 監督:マーク・マリオット 脚本:デイヴ・ボイル、藤谷文子 プロデューサー:ブリガム・テイラー 2023/アメリカ/英語、日本語/2.35:1/5.1ch/118分/原題:TOKYO COWBOY 公式サイト:www.magichour.co.jp/tokyocowboy -
新鋭・奥山大史監督×池松壮亮出演。雪の街に少年の成長を紡ぐ「ぼくのお日さま」
2024年2月29日大学在学中に制作した初⻑編「僕はイエス様が嫌い」(2019)で注目された奥山大史監督の商業デビュー作「ぼくのお日さま」が、今秋にテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほかで全国公開。雪の街を舞台に、吃音をもつホッケー少年タクヤとフィギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手で今はさくらのコーチを務める荒川(池松壮亮が演じる)の3人による物語を紡ぐ。 [caption id="attachment_35697" align="aligncenter" width="850"] 左から奥山大史監督、池松壮亮、ハンバート ハンバート[/caption] 「雪が降り始めてから雪が解けるまでの少年の成長を描きたい」と企画をスタートさせた奥山監督。プロットを考える中で、ハンバート ハンバートの楽曲『ぼくのお日さま』と出会ったことで、「主人公の少年の姿がはっきり浮かび、物語がするすると動きだした」という。同曲は映画の主題歌となる。 そして、奥山が総監督を務めたエルメスのドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEY ―それは、創造を巡る旅。―』で撮影を共にした池松壮亮が、《夢に破れた元フィギュアスケート選手のコーチ》役で大人の視線をもたらす。 釜山国際映画祭2022で行われた世界40ヵ国288企画からなる〈Asian Project Market(APM)2022〉で、本作はARRI アワードを受賞。濱口竜介監督や三宅唱監督らの作品を世界へ紹介してきたフランスの会社・シャレードによる海外セールスも決まり、黒沢清監督や深田晃司監督の作品を扱ってきたアートハウス・フィルムズの配給による11月のフランス公開も予定されている。タクヤ役とさくら役は後日発表。 〈コメント〉 池松壮亮 奥山大史という凄まじい才能に出会い、対話を繰り返し、共感し合い、共犯できた全ての時間に感謝しています。 この世界の光の粒のような二人の才能に出会えたことにも感謝しています。 今作を共に創り上げたスタッフキャストと共に、この素晴らしい作品を届けることができることを幸せに思います。 この世界の雪解けを予感させてくれるような、あまりにもピュアで、心に響く映画になりました。 是非楽しみにしていてください。 ハンバート ハンバート 佐藤良成 奥山監督から最初手紙をいただきました。今作ろうとしている映画は、私の曲の中の「ぼく」から物語がふくらんだもので、主題歌にもその曲「ぼくのお日さま」を使いたいと。脚本や前作も拝見して、彼と是非仕事したいと思い快諾しました。出来上がった作品は、どのシーンのどのカットも実に美しい光と色で、こんな絵を撮る奥山監督は恐ろしい人だなと思います。自分の曲がこんなにも素晴らしい映画となって生まれ変わるなんて、本当に幸せです。 ハンバート ハンバート 佐野遊穂 とにかく映像の美しさが印象的でした。どこを切り取っても儚さが漂っていて、監督のキャラクターがそこに一番現れてるように感じました。この楽曲の「ぼく」や、タクヤ、荒川コーチ、それぞれに小さな救いがあったように、この映画がまた誰かのお日さまになれば嬉しい事だと思います。 奥山大史監督 いつの日か、子どもの頃に習っていたフィギュアスケートの映画を作りたいと思っていました。でもなかなか作れずにいました。ただ思い出を映像にするだけでは映画にならない、と頭を抱える日々でした。 そんな時、「ぼくのお日さま」という楽曲に出会い、惹かれるまま毎日聴くうちに、全く新しい物語が動き始め、時を同じくして、池松さんに出会い、この方の魅力を映し出すことができたら、映画になると確信できました。 この作品で商業映画に初挑戦できたこと、嬉しく思います。どうぞご期待ください。 「ぼくのお日さま」 監督・撮影・脚本・編集:奥山大史 出演:池松壮亮 主題歌:ハンバート ハンバート 配給:東京テアトル © 2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 公式サイト:bokunoohisama.com -
「息の跡」「二重のまち/交代地のうたを編む」の小森はるか監督が、福島県の復興公営住宅で行われている一風変わった被災地支援活動を追った「ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ」が、4月12日(金)よりフォーラム福島で先行上映、4月27日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと予告編が到着した。 2011年の原発事故により浪江・双葉・大熊・富岡町から避難した人々が暮らす、いわき市の復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地。 そこで2016年より続くのが、住民たちのまちの思い出と馴染み深い曲をもとに、ラジオ番組風CDを制作して届けるプロジェクト〈ラジオ下神白〉だ。2019年にはそれらの曲を演奏する〈伴奏型支援バンド〉が結成され、生演奏での歌声喫茶やミュージックビデオの制作など、音楽を通じた被災地支援活動が行われてきた。 文化活動家のアサダワタルを中心とした活動に、2018年から小森監督が記録担当で加わることで本作は生まれた。歌う速度に合わせる伴奏型支援バンドの演奏は、支援・伴走(奏)とは何かを観る者に問いかける。《支援する/される》では割り切れない豊かな関係が、ここにある。 https://www.youtube.com/watch?v=fo5wzXKvsO0 〈コメント〉 その人のペースに合わせて、隣を歩こうとするあたたかさ。 誰かに寄り添ってもらった経験は、これから進む道の先を、明るく照らしてくれる。 ──植本一子(写真家) あの震災を、こんなふうに描くことができるのか。そう驚かされた。かけがえのないふるさと、そして思い出。それをつなぐのが歌であった。 本作は、人と記憶、歌とふるさとをめぐる物語である。福島の物語であり、「わたし」の物語でもあった。 ──小松理虔(地域活動家) 人が話し、笑い、歌う姿は、それぞれこんなにも異なるのだ。そんな当たり前のことを、この映画を見て初めて知った。その事実がこれほど心を打つのだ、ということも。 映画に出てくる一人一人の名前をたとえ忘れてしまっても、こうやって話していた人、あんなふうに歌っていた人、あの歌を好きだと笑っていた人、という記憶だけはいつまでも残るだろう。 ──月永理絵(ライター/編集者) 映画は「二人の恋は 清かった 神様だけが ご存知よ*」という歌声ではじまる。この声は人の心を裏返したような声で頭から離れない。 ラジオを通して、電波に乗って明かされるもう一つの団地、もう一つの世界。想いの世界。 歌の記憶と声の記憶は、永遠に流されることはない。 *柳水巴『天国へ結ぶ恋』(1932年)より ──イリナ・グリゴレ(人類学者) ききながら、かつて歌った歌を思い出す人。歌いながら、歌うことを思い出す人。わたしたちは、ただ歌をきくのではなく、いま歌を思い出しつつある人の声をきく。歌が思い出される時間を生々しくとらえた、かつてない映画。 ──細馬宏通(行動学者) 「ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ」 監督・撮影・編集:小森はるか 出演:下神白団地の住民さん、アサダワタル、榊裕美、鈴木詩織、江尻浩二郎、伴奏型支援バンド(池崎浩士・鶴田真菜・野崎真理子・小杉真実・岡野恵未子・上原久栄)ほか 編集・整音:福原悠介 ミュージックビデオ撮影・録音協力:齊藤勇樹、長崎由幹、福原悠介 企画:アサダワタル デザイン:高木市之助 広報物編集:川村庸子 宣伝協力:植田さやか(プンクテ) 協力:一般社団法人Teco、県営下神白団地自治会、市営永崎団地自治会 製作・宣伝・配給:ラジオ下神白 2023年/日本/70分 ©︎KOMORI Haruka + Radio Shimo-Kajiro 公式サイト:https://www.radioshimokajiromovie.com/