記事
「検索結果」の検索結果
(50件)
-
同じ日を繰り返す復讐者の運命は? 荒木伸二監督 × 若葉竜也主演「ペナルティループ」
2023年4月27日長編デビュー作「人数の町」が国内外で注目された荒木伸二監督が、若葉竜也を主演に迎え、自身のオリジナル脚本で描くタイムループ・サスペンス「ペナルティループ」が、2024年3月より新宿武蔵野館ほかで全国公開される。 恋人の唯を素性不明の男・溝口に殺された岩森淳(若葉竜也)は、綿密な計画を立て、完璧な復讐を実行した──はずだったが、翌朝目覚めると、周囲の様子は昨日のまま。殺したはずの溝口も生きている。そう、時間が昨日に戻っているのだ。困惑しながら何度も復讐を繰り返す岩森だったが、それでも翌朝は訪れない。なぜ彼はループに捕らわれたのか、そして溝口が唯を殺した目的とは? 〈コメント〉 若葉竜也(主演) 荒木監督とお会いしたのは確か、2022年1月の真ん中あたりでした。そこから監督、プロデューサー、スタッフと話し合いを何度も重ねて脚本を組み立てはバラシ、組み立てはバラシ、一年以上かけてやっと撮影まで辿り着きました。はしゃぐことなく、粛々と向き合いたいと思います。しっかりと血の通った映画にします。 荒木伸二(脚本・監督) 私の身体の中に蠢く情念や思想を一本の映画にしようとした時にループものにするのはどうだろうとある日、思いつきました。数あるループものの傑作のどれとも異なりどれよりも面白い一本をつくれないだろうかと。そんな気概で脚本開発に臨み仲間を巻き込み湯水のように時間を使って決定稿に辿り着きました。若葉竜也さんを始めとした豊かな表現者たちと共にこれからこの映画を撮影することが楽しみで仕方ありません。次の桜が咲く頃に公開予定です。絶対見てください。 「ペナルティループ」 脚本・監督:荒木伸二 出演:若葉竜也 配給:キノフィルムズ 製作:木下グループ 公式Twitter(@PenaltyLoopfilm):https://twitter.com/PenaltyLoopfilm -
レア・セドゥ主演でシングルマザーの揺れる心模様を繊細に綴り、第75回カンヌ国際映画祭でヨーロッパ・シネマ・レーベル賞に輝いたミア・ハンセン=ラブ新作「それでも私は生きていく」が、5月5日(金・祝)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。3種のアザービジュアルと著名人のコメントが到着した。 アザービジュアルは、どれもレア・セドゥ演じる主人公サンドラを据えたもの。記憶力と視力の低下によりドアを開けられない父を優しく促すシーン、頬杖をついたひと時(視線の先には慕っている祖母がいる)、父を見舞った後に屋上で物思いにふける姿をそれぞれ捉えている。 自身の父が病を患う中で脚本を執筆し、自伝的作品に仕上げたミア・ハンセン=ラブは「誰かが生きているうちから、哀悼の気持ちを感じるのがどんなことかを、この映画で伝えようとしました。ゲオルグはもうサンドラの知っている父親ではなくなっているけど、まだ生きている。精神が消えてしまっていても、彼の感性、存在といった部分は残っている。消失と存在が同時にあり得るという矛盾した動きは、私の心を大いに揺さぶる源であり、それを皆さんに感じてもらいたかったんです」と語っている。 〈著名人コメント〉(順不同・敬称略) YOU(タレント) 人生とはきっと遠くで眺めると それぞれが放物線を描きながら送る時間のことで その線に関わる幾つもの点こそが記憶となって 人の心を動かすのだろう どこにいる誰にとっても 容易い線などないのだから 誰もが肉体と魂を持て余すんだ 柴門ふみ(漫画家) 抑制的なヒロインが、突発的に流す涙にやられました。 恋するシングルマザーの繊細で複雑な感情を見事に表現するレア・セドゥのなんと魅力的な事か。 人生ってそうなんだよなあと、大人を唸らせる映画です。 三宅唱(映画監督) 冒頭、レア・セドゥが道の向こうからやってくる。 その時点でもう、彼女はすでに人生でいくつかの嵐をくぐり抜けてきたように見える。 映画が始まる以前から、私もあなたもあの人も、もうたっぷりとこの世の理不尽を吸い込んでいる。 戦いはもうとっくに始まっている。それをゼロから誰かに説明したり糾弾するために映画を作る監督もいるし、そんな現実の延長線上で自分たちが今後どうやって生きていくかを試してみるように映画を作る監督もいる。 ミア・ハンセン=ラブは後者の監督の一人だと思う。 岩井志麻子(作家) 主人公の憂鬱な表情が素敵だなと思った。 憂鬱は分類すれば“幸福ではない”という状態だが、 “幸福を求めている”状態でもある。 真舘晴子(The Wisely Brothers・ミュージシャン) 室外に出た時と、室内に入った時の音響にエリック・ロメールを感じた。 自分の外側の人に向ける目と、内側の人に向ける目について考える。 冷たくしているわけではなく、父親を1人の人間として接しようとしているサンドラの強さが、美しい。 私も、父の書いた字を久しぶりに読みたくなった。 彼が好きだったものを、それを愛していた1人の人間の姿を忘れたくないと改めて思う。 伊藤さとり(映画パーソナリティ) 母親であれ、娘であれ、女であることを諦める必要はない。 自分より人のことで忙しい人生を歩んでいる人は、 それだけ他者の痛みを知っていて、愛を知っているから。 レア・セドゥの眼差しが忘れられない。 視線の先には、愛を手にする人だけが見える過去と未来が広がっていた。 山崎まどか(コラムニスト) どんなに辛い話でも、ミア・ハンセン=ラブの映画は光を内包している。 小さな希望をステップにしながら、日々を重ねていく。 そんな普通の女性の困難を描いたこの作品で、今まで一番柔らかくて優しいレア・セドゥに会えた。 それだけで救われた気がした。 小柳帝(ライター・編集者) ミア・ハンセン=ラブの映画が、すべからく彼女の自伝映画だとするならば、作品の順番だけでなく、時系列的にも前作『ベルイマン島にて』の次に来るのがこの作品だ。この頃の彼女の人生は、映画で描かれているように厳しい時期だったはずだが、彼女はそれを映画にすることで乗り越えようとしているかのようだ。そして、その先には、柔らかな光差す新しい朝が待っている。 今祥枝(ライター・編集者) どこにでもいるような女性の物語の中に、 等身大のミア・ハンセン=ラブ、等身大のレア・セドゥが感じられることの豊かさがある。 日常の風景が、特別な輝きを放つ至福のひととき。 坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任) 場所から場所、人から人へと移動する彼女の姿は、 孤独と出会いの中で織り成される生のリズムをしっかりと刻んでゆく。 井戸沼紀美(上映と執筆・肌蹴る光線) レトルトのスパゲッティを食べながら 部屋で一人、ぼろぼろ泣いていた。 合理的な世界が壊れても春の陽は眩しく、 愛が完全に消え去ることはないと 映画が信じさせてくれたから。 ミア・ハンセン=ラブ、 いつだってあなただけが。 Story 通訳として働きながら、パリの小さなアパートで8歳の娘リンと暮らすシングルマザーのサンドラ。哲学教師だった父のゲオルグは病を患い、視力と記憶を失いつつある。別居する母フランソワーズと共に頻繁に父を訪ねるサンドラだったが、変わりゆく姿に直面しては無力感を覚えている。仕事、子育て、介護に明け暮れる日々。そんな中、旧友のクレマンと偶然再会した彼女は、自然と恋に落ちる。そうして父へのやるせなさと、新たなときめきを同時に抱えるが……。 配給:アンプラグド ▶︎ レア・セドゥが心揺れるヒロインに。ミア・ハンセン=ラブ新作「それでも私は生きていく」
-
映画界の伝説となったジャン=リュック・ゴダールの作家人生を紐解くドキュメンタリー「GODARD CINEMA」(英題)が、9月22日(金)より新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開。海外版ポスタービジュアルが到着した。 監督・編集は、ドキュメンタリーの編集を数多く手掛けてきたシリル・ルティ。本編には「勝手にしやがれ」(60)「女と男のいる舗道」(62)「気狂いピエロ」(65)「彼女について私が知っている二、三の出来事」(67)「中国女」(67)、そして〈ジガ・ヴェルトフ集団〉時代から「ゴダールの映画史」(88〜98)まで、数々のゴダール作品の映像が登場。さらに家族や友人、元パートナーたちの証言、ならびに女優マーシャ・メリル、ジュリー・デルピー、ナタリー・バイ、ハンナ・シグラ、映画監督ロマン・グーピル、批評家ティエリー・ジュスらの新たなインタビューを交え、たゆまぬ自己改革を行いつつ避けがたく自己破壊に向かっていく芸術家の肖像を描いていく。2022年9月13日にゴダールが91歳で自らこの世を去る直前、本作は第79回ヴェネチア国際映画祭ノンフィクション・クラシック部門で上映された。 時に戯画化された神話のクリシェを超えて、見かけより感傷的で、自らの芸術に宿り、時に凌駕されたゴダールの実像に出会える注目作だ。 [caption id="attachment_24177" align="aligncenter" width="850"] 「勝手にしやがれ」©1960 STUDIOCANAL – Societe Nouvelle de Cinematographie – ALL RIGHTS RESERVED.[/caption] [caption id="attachment_24178" align="aligncenter" width="850"] 「女と男のいる舗道」©1962.LES FILMS DE LA PLEIADE.Paris[/caption] [caption id="attachment_24179" align="aligncenter" width="850"] 「気狂いピエロ」©1962 STUDIOCANAL / SOCIETE NOUVELLE DE CINEMATOGRAPHIE / DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAPHICA, S.P.A. (ROME). ALL RIGHTS RESERVED.[/caption] [caption id="attachment_24180" align="aligncenter" width="850"] 「彼女について私が知っている二、三の出来事」©10.7 productions/ARTE France/INA – 2022[/caption] [caption id="attachment_24181" align="aligncenter" width="850"] 「中国女」©10.7 productions/ARTE France/INA – 2022[/caption] 「GODARD CINEMA」(英題) 監督:シリル・ルティ 出演:マーシャ・メリル、ティエリー・ジュス、アラン・ベルガラ、マリナ・ヴラディ、ロマン・グーピル、デヴィッド・ファルー、ジュリー・デルピー、ダニエル・コーン=ベンディット、ジェラール・マルタン、ナタリー・バイ、ハンナ・シグラ、ドミニク・パイーニ 2022年/フランス/フランス語/100分/カラー・モノクロ 原題:Godard seul le cinéma 英題:Godard Cinema 提供:シネゴドー、ミモザフィルムズ 配給:ミモザフィルムズ ©10.7 productions/ARTE France/INA – 2022
-
20年以上もインド映画をメインにアジア映画を探求してきた特定非営利活動法人〈インド映画同好会〉が、言語も文化もそれぞれ異なるヒンディー映画、タミル映画、マラヤーラム映画などから“他の追随を許さない”作品を揃えて贈る〈インド大映画祭 IDE 2023 in K’s cinema〉が、6月17日(土)~7月7日(金)に新宿K’s cinemaで開催。チラシビジュアルが到着した。 【日本初公開】は、「愛と勇気のヒーロー チェンナイエクスプレス」の監督ローヒト・シェッティとランヴィール・シン&ディーピカー・パードゥコーン夫妻が出演する「サーカス」、「ヴィクラムとヴェーダー」(タミル版)のヴィジャイ・セードゥパティが主演する「ラストファーマー」、学校教師が父の恥ずべき容疑を晴らそうと奔走するヒューマンドラマ「ガルギ 正義の女神」の3本。 【プレミア先行上映】は、「バンバン!」「WAR ウォー!!」と主演作の日本公開が続くリティク・ローシャンの最新作「ヴィクラムとヴェーダ」(ヒンディ版)、第78回ゴールデングローブ賞最優秀外国映画部門候補のインド映画10本に選出された「ただ空高く舞え」の2本。 【クラシック枠】は、若き日のヴィジャイを堪能できる爽やかな学園ドラマ「サチン」。【スポットライト枠】は、夫が妻に手を上げたことが予期せぬ結果を招く「ひとかけらの愛」。【衝撃枠】は、美しい音楽の数々に彩られたサイコサスペンス「野獣一匹Ⅱ」。 そして、話題を呼んだ犯罪ドラマ「ヴィクラムとヴェーダー」(タミル版)、スマホがきっかけで事件に巻き込まれる心理サスペンス「隠された顔」、「スルターン」のカールティが主演した「若き獅子」、名作「スルターン」も上映。さらに3つの【シークレット枠】が用意され、開催近くまで作品名は明かされない。 期間中には「ヴィクラムとヴェーダ」(ヒンディ版)の応援上映と「スルターン」のマサラ上映、週末のトークイベントなども予定している。色とりどりの映画世界に血が騒ぐこと間違いなし。 〈上映作品〉 【日本初公開】「サーカス」「ラストファーマー」「ガルギ 正義の女神」 【プレミア先行上映】「ヴィクラムとヴェーダ」(ヒンディ版)「ただ空高く舞え」 【クラシック枠】「サチン」 【スポットライト枠】「ひとかけらの愛」 【衝撃枠】「野獣一匹Ⅱ」 【その他】「ヴィクラムとヴェーダー」(タミル版)「隠された顔」「若き獅子」「スルターン」 【シークレット枠】3本 主催:特定非営利活動法人インド映画同好会 https://idemovie.org
-
少子高齢化社会が一層進んだ近い将来の日本で、75歳から生死の選択権を与える架空の社会制度<プラン75>を媒介に、「生きる」という究極のテーマを問いかけた衝撃の社会派ドラマ「PLAN 75」。新鋭の早川千絵が長篇初監督作ながら2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品、カメラドール特別表彰という快挙を成し遂げた本作のBlu-ray&DVDが、4月26日に発売された。 リリースにあたり、主にジェンダーやフェミニズムをテーマにインタビューやコラムを多数執筆するライタ-の羽佐田瑶子さんに本作について語っていただいた。 不寛容な社会に生きる“私”と「PLAN 75」の出会い 冒頭、高齢者は「社会にとって役に立たない」と優生学的な思想で事件を起こす青年が、この先の日本を暗示しているようで苦しくなる。マスクで覆われた長い時間によって、私たちはうっすらと膜を張り、自己責任と無関心が強まってしまったように思う。 社会と個人の接続が歪み、差別的な発言をした政治家たちは情報の流れの早さに身を隠している。怒りを忘れないようにSNSでログを残すけれど、あまりに数が増えて、自分のタイムラインでも流れてしまう。不寛容な社会に、私にできることはなにか。そう思い悩んでいたときに出合ったのが映画「PLAN 75」だった。 カメラを射抜く倍賞千恵子の視線から浮かび上がる思い 早川千絵監督による映画「PLAN 75」の舞台は、少子高齢化が一層進み、75歳以上の人は自らの死を選択できる国家制度が施行された日本。清掃の仕事をしてきた78歳のミチ(倍賞千恵子)は年齢を理由に突如解雇されてしまい、制度への加入を考える。 「社会の役に立つ/立たないという尺度で人の命の価値が測られる考え方は、すでに社会に蔓延しているのではないか」という監督の危機感が、力強いメッセージとして伝わってくる本作。 出演者の磯村勇斗さんと河合優実さんも言葉を濁すことなく、映画での気付きを映像特典で語った。大きな学びの一つとして、自己責任ではなく制度に問題があると気づき、社会に疑問と関心を向けられる点にあると思う。「対個人に怒りが向きがちだけど、構造やシステムに翻弄されている事実がある。個人でなにかできないかと思います」と切実に語っていた河合さん。 カメラを射抜く倍賞千恵子の視線に思わず目を逸らしそうになったのは、自身も無自覚でも制度に加担している可能性があると気付かされたからだ。自らを省みて、社会の風潮に意識的になろうという願いを受け取った。 文学作品を起点に、ケアをめぐる現代の事象について論じた書籍『ケアする惑星』(小川公代、講談社)が年頭に発売された。本著でも、個人と社会の問題の混在、想像力を働かせて見えなくされている存在の声に耳を傾けるべきではないか、といった「PLAN 75」に通じるまなざしが綴られている。 諦めかけていた自分が、もう一度起き上がる。自助ではなく共生する視点でこの国をとらえたい。社会の根幹が変わらなければ個人の苦しみは救われないのだから、署名や発信など小さな行動でも関心を持つ周囲を巻き込み、体力がないときは対話するだけでも誰か一人につながることが大切かもしれない。 映像がソフト化し、また新たな論者がきっと現れ、連帯する作品たちに力をもらいながら私にできる一歩を見つめ続けたい。 文=羽佐田瑶子 制作=キネマ旬報社 https://youtu.be/VkQPf7RyVic 「PLAN 75」 ●4月26日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同日) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray:5,500円(税込)、DVD:4,400円(税込) 【映像特典】 ・公開記念ナビ番組(ストーリー編/キャスト×監督 スペシャルトーク) ・本予告(30秒/90秒) ●2022年/日本、フランス、フィリピン、カタール/本編112分 ●出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美 ●脚本・監督:早川千絵 ●脚本協力:Jason Gray ●撮影:浦田秀穂 ●照明:常谷良男 ●録音:臼井勝 ●美術:塩川節子 ●発売元/ハピネットファントム・スタジオ 販売元/ハピネット・メディアマーケティング ©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee