記事
「検索結果」の検索結果
(50件)
-
自由ページ
2023年6月19日a:34:{s:9:"post_type";s:8:"freepage";s:22:"advanced_configuration";b:1;s:13:"import_source";s:0:"";s:11:"import_date";s:0:"";s:6:"labels";a:33:{s:4:"name";s:15:"自由ページ";s:13:"singular_name";s:15:"自由ページ";s:9:"menu_name";s:15:"自由ページ";s:9:"all_items";s:19:"All 自由ページ";s:9:"edit_item";s:20:"Edit 自由ページ";s:9:"view_item";s:20:"View 自由ページ";s:10:"view_items";s:20:"View 自由ページ";s:12:"add_new_item";s:23:"Add New 自由ページ";s:7:"add_new";s:0:"";s:8:"new_item";s:19:"New 自由ページ";s:17:"parent_item_colon";s:23:"Parent 自由ページ:";s:12:"search_items";s:22:"Search 自由ページ";s:9:"not_found";s:24:"No 自由ページ found";s:18:"not_found_in_trash";s:33:"No 自由ページ found in Trash";s:8:"archives";s:24:"自由ページ Archives";s:10:"attributes";s:26:"自由ページ Attributes";s:14:"featured_image";s:0:"";s:18:"set_featured_image";s:0:"";s:21:"remove_featured_image";s:0:"";s:18:"use_featured_image";s:0:"";s:16:"insert_into_item";s:27:"Insert into 自由ページ";s:21:"uploaded_to_this_item";s:32:"Uploaded to this 自由ページ";s:17:"filter_items_list";s:27:"Filter 自由ページ list";s:14:"filter_by_date";s:30:"Filter 自由ページ by date";s:21:"items_list_navigation";s:31:"自由ページ list navigation";s:10:"items_list";s:20:"自由ページ list";s:14:"item_published";s:26:"自由ページ published.";s:24:"item_published_privately";s:36:"自由ページ published privately.";s:22:"item_reverted_to_draft";s:34:"自由ページ reverted to draft.";s:14:"item_scheduled";s:26:"自由ページ scheduled.";s:12:"item_updated";s:24:"自由ページ updated.";s:9:"item_link";s:20:"自由ページ Link";s:21:"item_link_description";s:28:"A link to a 自由ページ.";}s:11:"description";s:0:"";s:6:"public";b:1;s:12:"hierarchical";b:0;s:19:"exclude_from_search";b:0;s:18:"publicly_queryable";b:1;s:7:"show_ui";b:1;s:12:"show_in_menu";b:1;s:17:"admin_menu_parent";s:0:"";s:17:"show_in_admin_bar";b:1;s:17:"show_in_nav_menus";b:1;s:12:"show_in_rest";b:1;s:9:"rest_base";s:0:"";s:14:"rest_namespace";s:5:"wp/v2";s:21:"rest_controller_class";s:24:"WP_REST_Posts_Controller";s:13:"menu_position";s:0:"";s:9:"menu_icon";s:0:"";s:19:"rename_capabilities";b:0;s:24:"singular_capability_name";s:4:"post";s:22:"plural_capability_name";s:5:"posts";s:8:"supports";a:3:{i:0;s:5:"title";i:1;s:6:"editor";i:2;s:9:"thumbnail";}s:10:"taxonomies";s:0:"";s:11:"has_archive";b:1;s:16:"has_archive_slug";s:0:"";s:7:"rewrite";a:4:{s:17:"permalink_rewrite";s:13:"post_type_key";s:10:"with_front";s:1:"1";s:5:"feeds";s:1:"0";s:5:"pages";s:1:"1";}s:9:"query_var";s:13:"post_type_key";s:14:"query_var_name";s:0:"";s:10:"can_export";b:1;s:16:"delete_with_user";b:0;s:20:"register_meta_box_cb";s:0:"";} -
ル・コルビュジエが設計し、2016年に世界文化遺産に登録された上野の国立西洋美術館。その舞台裏に迫ったドキュメンタリー「わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~」が、7月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。俳優の井浦新がナレーションを担当した予告編、ならびに識者のコメントが到着した。 2013年から2018年まで司会を務めたNHK『日曜美術館』をはじめ数々の美術番組に出演し、ガイドブックや展覧会グッズの制作にも関わるなど、美術愛の深さで知られる井浦が《知られざる美術館の舞台裏》へ誘う。 モネやルノワールの名画、ロダンの彫刻などが出迎える常設展示から一転。リニューアル工事のため休館となった日々をカメラは追っていく。前庭の工事、収蔵庫、展覧会の打ち合わせ、購入作品を決める会議など、一般には見られないシーンが次々と登場。さらに関係者が、美術館の危機的状況を語る。 井浦新 コメント 西洋美術は印象派が好きで、なかでも日本美術、浮世絵の影響を受けたゴッホとスーラに惹かれます。ゴッホの「星月夜」の渦巻きも大好きだし、見ているとワクワクする。スーラはすっと品が良いのですが、よく見ると狂気を感じる。どちらの作家にも強烈な魅力を感じます。 ありがたいことに、今まで美術にまつわるお仕事をたくさん頂いて、展覧会に関わらせて頂いたことも何度かありますが、僕がずっと感じてきたことは、何百年も前の芸術が目の前にあることは当たり前ではない、ということ。絵画をどう守っていくか、修復が必要なものは如何に昔の状態に戻すか、経年変化をどうやって緩やかにしていくか。展覧会を作っていく学芸員の方たちがチームを組んで、本当にすごいことをやっている。やはり“人”なんですよね。 絵画を見て、その絵を描いた作家を感じるように、美術館に行くと、学芸員や研究者の方々、美術館をきれいに保ってくれている掃除の方たちまで、美を守ろうとする多くの方たち、人の想いを感じる。それが美術館の魅力だと思います。 美術館で働く人々のことは、お客さんは知らなくても良いかもしれない。だけど、知ってから美術館に行って美術を見ると、もっと楽しくなる。この映画を見て、国立西洋美術館に行ったら、見る前とは国立西洋美術館の見方や過ごし方がきっと変わる。映画を見てから美術館に行くのもいいし、行ってから映画を見ても、どっちも楽しい。無機質に感じるかもしれない美術館も、実は生き物なんです。 〈識者コメント〉(敬称略・順不同) 日本の美術館が置かれている経済的にきわめて厳しい状況がよくわかった。一方でしかし、素晴らしい名画がこんなに多く所蔵されていること、また学芸員やスタッフたちの優秀さや芸術への熱い思いが伝わってきて、未来は決して暗くないと希望が持てた。 ──中野京子(「怖い絵」著者・ドイツ文学者) 大学に移ってからは、作品点検や展示作業から離れてしまいましたが、国立西洋美術館での経験は、今でも美術作品を見るときの重要な軸となっています。映画を観ているうちに、私も一研究員に戻り、作品の運搬中に事故が起きないよう緊張したほどです。この映画が、国立西洋美術館の仕事を正しく記録しているからでしょう。 ──佐藤直樹(「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」著者・東京藝術大学 美術学部教授) 世界の美術館界はいま、多様性、包摂性、持続可能性を重視する方向へ大きく舵を切りつつある。アジア各地では大型美術館が設立されている。国立西洋美術館をはじめ、すでに様々な歴史を刻んできた我が国の国立美術館は、いままさに岐路に立たされている。これは複雑に絡み合う多様な問いを、実にタイムリーに「わたしたち」に投げかける映画だ。 ──片岡真実(森美術館 館長 国立アートリサーチセンター センター長) 国立西洋美術館にはもう長い間、特別展開催のための予算がつけられていない。そのようなものとして、「わたしたち」の選んだ政府が、「わたしたち」の文化行政を設計してきた。美術に無私の奉仕を捧げる「わたし」。この映画や美術に無関心の「わたし」。あらゆる「わたし」を包摂する「わたしたち」のために、文化や美術はどのようなかたちで存在するべきなのか、いま一度考えたい。 ──橋本麻里(ライター、エディター) 学生時代初めて自らの意思で訪れた国立西洋美術館。それから30年以上に渡り何百回と足を運んでいる馴染み深い美術館ですが、この映画を観るまで内情がこれほど複雑で仕事も多岐に渡っていることを知り得ませんでした。また資金面で困窮し単独で展覧会を開けないといった実情も赤裸々に語られておりまさに驚きの連続でした。 ──中村剛士(アートブログ『青い日記帳』主宰) このドキュメンタリーが示すのは博物館学的技術の詳細なドキュメントだけでなく本来の保存業務を果たしながら変動する時代の要請に可能な限り応えようとする美術館の姿であり、どの分野においても正解が定まらない中で他の美術館のモデルとならなければならないという責務を必死に果たそうという人々の証言である。 ──伊東順二(美術評論家、プロジェクト・プランナー、プロデューサー) ©大墻敦 配給:マジックアワー ▶︎ 美を守る人々の活動に迫る。「わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~」
-
菊地凛子と熊切和嘉監督が「空の穴」(01)以来のタッグを組み、ロスジェネ世代の女性の東北縦断旅を描いた「658km、陽子の旅」(7月28日よりユーロスペース、テアトル新宿ほかで全国順次公開)が、第25回上海国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞を受賞した。 [caption id="attachment_26290" align="aligncenter" width="850"] 左から主演の菊地凛子、熊切和嘉監督、脚本の室井孝介(敬称略)[/caption] 授賞式で、脚本を執筆した室井孝介は「私は映画祭の経験というのがないものですから、このような華やかな場は夢のような場所です。この場にお呼びいただき、大変光栄ですし、賞をいただけると思っていなかったので、本当に嬉しいです。ありがとうございました」とコメント。 熊切和嘉監督は「このような素晴らしい賞をいただきまして、大変光栄に思います。(脚本にクレジットされている)〈浪子想〉と言いますのは、私、熊切和嘉と妻の熊切智子の共同のペンネームでして、今回もちろん室井さんの脚本が素晴らしかったのですが、そこからさらに妻の力で、主人公の女性を深く掘り下げて描けたのかなと思っています。妻にこの場を借りて、感謝をしたいと思います。ありがとうございます」と思いを伝えた。 最優秀女優賞に輝いた菊地凛子は「まさか、初めて上海国際映画祭というこの素敵な映画祭に呼んでいただき、このような素敵な賞をいただいて本当に嬉しいです。20年前に自分を拾ってくれた熊切監督の作品で、こうして賞をいただけて大変嬉しく思います」と述べた。 また、MCから「中国でも、知名度のある菊地凛子さん。中国の映画監督と一緒に映画を作りたいと思ったことはありますか? 旦那さん(染谷将太)は、中国のチェン・カイコー監督の映画で主演したことがありますが、ご自身はどう思われますか? この会場にいる素敵な中国の俳優や監督と一緒に中国で映画を作りたいと思いますか?」と問われ、「是非。自分が子どもの頃から中国の映画を見て育ってきましたし、本当に出演してみたいんですけど、中国語の挨拶すら難しくて。今から勉強します!」とアピール。 最優秀作品賞を受賞し、3人は再び壇上へ。 熊切監督は「まさかこんなに賞をいただけるなんて全然思ってもいなかったので本当に嬉しく思います。ありがとうございます。」、菊地は「3つも賞をいただけるとは思ってもおらず、本当にありがとうございます。主人とは『獲りました』『おめでとう』とメールで会話しました。主人にも感謝したいと思います」と喜んだ。 〈受賞後インタビュー〉 Q 熊切和嘉監督、最優秀作品賞という大きな賞をもらった感想をお願いします。 熊切 菊地さんといつかまた仕事したいと、20年間思っていて、それが叶ったので、撮影中から夢の中にいるようでした。それが、まだ続いているような気持ちです。 Q 室井孝介さん、今回の脚本は、作りやすいストーリーではないと思います。難しいと思ったこともあるかと思いますがいかがですか? 室井 本作は、私の実体験が入っています。母親を16年前に亡くしました。事故があった日に、病院から電話が掛かってきました。その電話に出たのですが、その時には、「とにかく病院に来てくれ」というだけで、容体を教えてくれない訳です。なので、病院に向かいました。その時に、母の容体のことや、これからのこと、これまでのことなどを考えてわずか1時間かからない道のりが、すごく長い時間に感じられて、その時の圧倒的な時間というのを、何かドラマにできないかな、と思い、この物語になりました。 Q 初めての主演女優賞受賞、今のお気持ちをお聞かせください。 菊地 本当に光栄です。まさか自分がとると思っていなかったので、油断して気を抜いていたら名前を呼ばれたので、驚きとその事実を受け入れるのに時間がかかりました。国際映画祭に初めて呼んでいただいたこの上海で、皆さんに温かく迎えていただき、女優賞、脚本賞、作品賞をいただけるとは思ってもいなかったです。役者をやっていて、心からよかったと思います。ここからの役者人生、また身が引き締まる思いです。 20年前に熊切監督に拾っていただいたことも、こうしてまた新しい作品で監督に感謝できる環境にこられたことは、何よりも自分の宝物です。この作品を愛していますし、多くの方にこの作品が届くことが幸せです。審査員の方に舞台裏で「審査員みんながあなたに決めたのよ」と言われ、映画にも感動したと言っていただいた。その言葉がとても嬉しかったです。(そう話してくださったのは)インドの審査員の方で、こうやって国際映画祭に参加することで、国境関係なく、1本の映画で心を揺さぶられるということが自分の身に起こるんだということは幸せだなと思います。またいただいた役を真摯にひとつずつやっていこうと、心に誓いました。 [caption id="attachment_26293" align="aligncenter" width="850"] 上映後のQ&Aにて[/caption] 〈審査員講評・受賞理由〉 ★作品賞講評:「この映画は、ロードムービーを創造的な方法で探求し、昨今の日本で暮らす平凡な人々の平凡な日常を描くなかで、ヒロインが自分自身を発見するプロセスを目撃させます。審査員は満場一致で本作が唯一無二の作品だと評価しました」 ★脚本賞講評:「これが人生・社会・希望と絶望の旅についての深遠な物語であり、更にそれ以上に自己発見についての物語であると評価したため、最優秀脚本賞を授与します」 ★女優賞講評:「映画の中の菊地凛子の表情豊かな目と震える手は審査員たちの心を捉え、キャラクターを内面化する彼女の演技力は“俳優”の存在を忘れさせます。彼女の演技はキャラクターに命を吹き込みました」 Story 東京で夢破れて人生を諦め、なんとなく過ごしてきた就職氷河期世代の独身フリーター・陽子(菊地凛子)は、夢への挑戦を反対されてから20年以上も断絶していた父が亡くなったと知らされる。そして従兄である茂(竹原ピストル)の一家の車で、渋々ながら弘前へ帰郷することに。ところがサービスエリアで、トラブルを起こした子どもに気を取られた茂に置き去りにされ、所持金のない陽子はヒッチハイクするはめに。果たして明日正午の出棺までに到着できるか? 毒舌のシングルマザー(黒沢あすか)、人懐こい女の子(見上愛)、怪しいライター(浜野謙太)、温かな夫婦(吉澤健と風吹ジュン)、そして若き父の幻(オダギリジョー)──さまざまな出会いが、陽子の凍った心を溶かしていく。 ©2022「658km、陽子の旅」製作委員会 配給:カルチュア・パブリッシャーズ ▶︎ 菊地凛子と熊切和嘉監督が20年ぶりタッグ。東北縦断ロードムービー「658km、陽子の旅」 ▶︎ 凍えた陽子が荒波に見るものは──菊地凛子 × 熊切和嘉監督「658km、陽子の旅」、豪華コメント入り特報公開
-
「モロッコ、彼女たちの朝」のマリヤム・トゥザニ監督が、伝統衣装カフタンの仕立て屋である夫婦の愛と決断の物語を描き、2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞、2023年アカデミー賞国際長編映画賞モロッコ代表作に選ばれた「青いカフタンの仕立て屋」が、6月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開。監督のメッセージ動画とインタビューが到着した。 ──制作のきっかけ マリヤム・トゥザニ監督 前作のロケハン中に、サレのメディナで美容室を営む男性と知り合ったことがインスピレーションになっています。彼と話しているうちに、心の奥に隠す本当の自分と外に見せる自分を使い分けていると気づきました。残念ながらモロッコでは、同性間の性的逸脱行為は刑法489条で罰せられ、6ヵ月から最高3年の禁錮刑が課されます。同性愛がタブーであるだけでなく、刑事犯罪とみなされる社会なのです。異性愛者でないだけでひっそりと生きなくてはいけないのです。私もあえてその点には触れないようにしました。でも、彼が隠す“何か”は本作の核になりました。この映画には“善人”も“悪人”も登場しませんが、私はどんな形でも批判を招かないように細心の注意を払って脚本を書き進めました。 ──ハリムの職業を美容師からカフタンの仕立屋に変えた理由 監督 カフタンは大人の女性の象徴で、少女時代の私にとって憧れでした。成人して初めて母から受け継いだカフタンをまとった時、これは次の世代へと物語を繋ぐ、貴重な品だと気づきました。1枚のカフタンが完成するまでに職人は数ヵ月を費やします。そうして完成したカフタンからは、着る人の心に職人の魂と完成までの物語が届くのです。この物語には手間暇かけて作られるカフタンがふさわしいと思いました。残念ながらモロッコではカフタン作りは衰退の一途を辿っています。技術の取得に長い時間がかかるのも原因のひとつでしょう。私が思うに、伝統工芸とは自分が何者かを教えてくれるDNAの一部であり、次世代に伝えるべき宝物です。速さが優先される現代社会ですが、私は伝統の手仕事を守る人々を見つめ、尊敬の念を作品で表現したかった。そんな理由から、本作の舞台を美容室からカフタンの仕立屋にしたのです。 ──前作同様に共同脚本を手掛けた夫のナビール・アユーシュについて 監督 執筆中は旅のようで、彼の視点を得られたのも幸運でした。人生だけでなく情熱も共有している存在です。彼はいつも鋭く知的な眼差しで脚本にコメントしてくれるので、私は自分自身とより深く向き合い、キャラクターやストーリーに厚みを持たせることができたのです。 ──モロッコで作るには勇気が必要だった? 監督 表現しなくてはいけないこと、語るべきことがあるなら、勇気は関係ありません。欲望や愛は、タブーやスキャンダルの対象ではないのです。他の国々と同じように、モロッコも同性愛を禁ずる法律を廃止するために立ち上がらなくては。モロッコでの劇場公開(2023/6/7公開)は必ずしも確約されていたわけではなかったのでとても嬉しく思います。本作はアカデミー賞のモロッコ代表であり、国の助成金を得て完成させることができました。マラケシュ映画祭では審査員賞を受賞し、観客もポジティブな反応でした。そのとき、タブー視されて通常は語られないことを、アートを通してもっと話し合いたいという強い欲求があるのだと感じました。アート、シネマを通して、こうした扉を開き、それがこれから先の一歩に繋がっていくのだと思います。 ──本作は性的指向をめぐる人々の見方を変えられるか 監督 そうであってほしいと願っています。ハリムやユーセフの物語を通して異性愛者でない人々の存在を知り、理解を深めることで、人々の視線が変わるかもしれません。そうなれば社会も法律も変わっていくでしょう。ハリムのような人々の声を伝えていくことが重要です。これは男女を問わず、ありのままの姿で人を愛する自由についての物語、真の愛についての映画なのです。 Story モロッコの海沿いの街、サレ。旧市街の路地裏でミナとハリムの夫婦は、母から娘へと世代を超えて受け継がれるカフタンの仕立て屋を営んでいる。ハリムは伝統を守る仕事を愛しながらも、自身は伝統からはじかれた存在だと苦悩している。そんな夫を誰よりも理解し支えてきたミナは、病に侵されて余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、人知れず孤独を抱えていた3人は、青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。そしてミナの最期が刻一刻と迫る中、夫婦は“ある決断”をする──。 © Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe 配給:ロングライド ▶︎ モロッコ旧市街に紡ぐ夫婦の愛と決断。マリヤム・トゥザニ監督「青いカフタンの仕立て屋」
-
11歳のソフィが父と過ごした夏休みを、20年後、当時の父と同じ年齢になった彼女の視点で綴り、2022年カンヌ国際映画祭批評家週間での上映を皮切りに世界中で評判を呼んだ新星シャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作「aftersun/アフターサン」が、5月26日(金)より全国公開中。6月14日(水)にヒューマントラストシネマ渋谷で、映画評論家の森直人氏と映画・音楽パーソナリティの奥浜レイラ氏を招いて行われたトークイベントのレポートが到着した。 客席にはリピーターも目立ち、森は「大好きな作品がヒットして、こうして皆さんの心に刺さっているということが非常に嬉しいです」と喜ぶ。 そして「『フェイブルマンズ』のスティーブン・スピルバーグといった大物から新人監督まで、いまオートフィクションと呼ばれる、監督自身の実体験をもとに作られた作品というのがたくさんあって、私(わたくし)性という血と肉が生々しく映画に通うという意味で一様に強度が高いと思いますが、なかでも『aftersun/アフターサン』は最もパーソナルな感触を与える、語り方の独自性が群を抜いていると思います」と、ウェルズ監督の心情が主人公のソフィに投影された映画を絶賛。 さらにオートフィクションを「シンガーソングライター的な映画ではないかと思うんですよ」とし、監督が影響を受けたというシャンタル・アケルマンに絡めて見解を述べた。「アケルマンもオートフィクションに近い、ルポルタージュ的要素を含む作品を作っていますが、例えば『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地』や『アンナの出会い』が、70年代のキャロル・キングやジョニ・ミッチェルのようなピアノやギターを弾きながら私(わたくし)を歌うというソリッドな形だとしたら、ビリー・アイリッシュやコナン・グレイといった現在のシンガーソングライターは、自宅で色んな機材を使いながらベッドルームで私(わたくし)の想いを普遍的な表現に昇華するというスタイルだと思うんですが、ウェルズ監督のアフターサンも、ハンディカムのビデオ映像やフィルムカメラなど多様な映像素材を組み合わせて私の心情をフィクションに昇華するという、感情と映像を繊細に結びつける有機的な作業が新しい映画言語を立ち上げている。それは、音響や音の感触を感情と結びつける作業とすごく似てるなと思ったんです」 これに奥浜は「ビデオテープを再生する音で始まる冒頭から、なるほどこれは音の映画なんだな、と」と応じ、「ポール・メスカル演じるカラムがベッドで眠る呼吸音が印象的に出てきますが、ウェルズ監督は呼吸音も音楽の一部と捉えていて、そこもシャンタル・アケルマン監督作にインスピレーションを受けたと話していましたね」と振り返る。 アケルマンといえば、今回のトーク会場となったヒューマントラストシネマ渋谷で〈シャンタル・アケルマン映画祭2023〉が開催されていた時期に、初来日したウェルズ監督が舞台挨拶を行うという喜ばしい偶然が重なっていた。その際に進行を務めた奥浜は「舞台挨拶前に監督にアケルマンの話を聞いたところ、普段は言葉数の少ない監督がその話になった途端に饒舌になられたんですよ」とエピソードを披露、笑いを誘った。 続けて森は、「共通の体験がなくてもこの作品が心に刺さる人が多いのは、音楽や歌が持つ波及力と近いと思うんです」「音楽は、シンガーソングライターがその人自身を主体に“私(わたくし)”を歌いますが、聴く側も“私(わたくし)”としてそれを受け取るじゃないですか。アフターサンも自分の物語になってしまうんですよね。そこのインタラクティブな交換が出来る映画でもあるんです」と分析。 また「ソフィとカラムが過ごすバカンスという設定・記録から、ソフィの主観・想像、つまり記憶へと接続されるその飛び方にグッときました。例えば子どものころに親のよくわからない姿を見て、なぜああいう顔をしていたのかそのときは分からなかった、でも今ならわかるというあの感じが映像になっている、そこに涙腺をつかれました」と明かした。 奥浜も「親は立派なものと思い育ってきましたが、10代のころに自分の親の未熟さを感じる出来事が私にもあって、性別を問わず親の未熟さというものを目の当たりにするとどうしても昔の自分の感覚を思い出してしまうことがありますね」と同調。 最後に森は、「いまはわかりやすくて説明しやすい、答え合わせができる作品が求められる風潮にありますが、受け手がどれだけ想像力を働かせるかという相互作用が大事だと思うんですよね。『aftersun/アフターサン』は観客の解釈を断定するような作品ではないし、こうした作品が日本でヒットしているということはとても勇気づけられます」とコメント。奥浜は「この作品がヒットしたことで、今後日本で上映される作品の道が開けたというか。分かりやすさというところから揺り戻しがきて、こうした作品が評価されるというのは素晴らしいなと思います」と述べ、イベントを締め括った。 Story 思春期真っ只中のソフィは、離れて暮らす父親のカラムとトルコのひなびたリゾート地にやってきた。 太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを向け合い、ふたりは親密な時間を過ごす。 20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィ。ローファイな映像を振り返り、大好きだった父の当時は知らなかった一面を見出してゆく……。 © Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022 配給:ハピネットファントム・スタジオ ▶︎ かつての少女が、父との夏を巻き戻す。新星シャーロット・ウェルズのまばゆい初長編監督作「aftersun/アフターサン」 ▶︎ “まるで鮮烈な短編小説”。ビデオに残る少女と父の眩い夏「aftersun/アフターサン」、コメント到着