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  •   「世界の果ての通学路」の製作チームが、それぞれの僻地で明るい未来に向けて奮闘する3人の先生と、学びに目覚めていく子どもたちを捉えたドキュメンタリー「世界のはしっこ、ちいさな教室」が、7月21日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開。ポスタービジュアルが到着した。     識字率アップを国家として目指すブルキナファソの新人教師であり、2人の子どもの母であるサンドリーヌ。バングラデシュ北部のボートスクールで、子どもや女性の権利を守るために戦う若きフェミニストのタスリマ。広大なシベリアに暮らす遊牧民族エヴェンキの伝統消滅を危惧するスヴェトラーナ。 個性も環境も直面する困難も三者三様だが、子どもたちに広い世界を知ってほしいという願いは皆同じ。親に反対され、離ればなれになっても、信じる道を行く。そんな使命感あふれる先生たちと、学びの楽しさを知って笑顔を見せる子どもたちの姿に、胸が熱くなる感動のドキュメンタリーだ。   「世界のはしっこ、ちいさな教室」 監督:エミリー・テロン 製作:バーセルミー・フォージェア ナレーション:カリン・ヴィアール 出演:サンドリーヌ・ゾンゴ、スヴェトラーナ・ヴァシレヴァ、タスリマ・アクテル 2021年/フランス映画/仏語・露語・ベンガル語/82分/原題:Être prof/英題:Teach me If you can/字幕翻訳:星加久実 後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ 提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム © Winds - France 2 Cinéma - Daisy G. Nichols Productions LLC - Chapka - Vendôme Production hashikko-movie.com
  •   アウシュヴィッツ強制収容所から生還した男の衝撃的な半生を、息子による伝記を基に映画化したバリー・レヴィンソン監督作「アウシュヴィッツの生還者」が、8月11日(金・祝)より新宿武蔵野館ほかで公開。ポスタービジュアルが到着した。     主人公ハリー・ハフトを演じるのは、「疑惑のチャンピオン」「最後の追跡」のベン・フォスター。アウシュヴィッツ時代を演じるために28kg落とした体重を、戦後シーンの撮影では元に戻すという過酷な役作りで臨んだ。 婚約者を戦争で亡くし、ハリーに心を寄せるミリアム役は、「ファントム・スレッド」「彼女のいない部屋」のヴィッキー・クリープス。さらにピーター・サースガード、ジョン・レグイザモ、ダニー・デヴィートらが共演する。音楽は、バリー・レヴィンソンとは「レインマン」で組んだおなじみハンス・ジマー。 第二次世界大戦中、終戦後、1960年代という3つの時代を行き来しながら、人間の崇高さと恐ろしさに容赦なく迫りゆく物語に注目したい。   Story 1949年。アウシュビッツ強制収容所を生き延びたハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを探していた。そして、自身の生存をレアに知らせようと記者に受けた取材で、「自分が生き延びた理由は、ナチスが主催する賭けボクシングで、同胞のユダヤ人と闘って勝ち続けたからだ」と告白し、一躍時の人となる。 だがレアは見つからず、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年、ハリーは別の女性と新たな人生を歩んでいたが、彼女にすら打ち明けられないさらなる秘密に心をかき乱されていた。そんな中、レアが生きているという報せが届く──。   「アウシュヴィッツの生還者」 監督:バリー・レヴィンソン 出演:ベン・フォスター、ヴィッキー・クリープス、ビリー・マグヌッセン、ピーター・サースガード、ダル・ズーゾフスキー、ジョン・レグイザモ、ダニー・デヴィート 2021/カナダ・ハンガリー・アメリカ/英語・ドイツ語・イディッシュ語/129分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:THE SURVIVOR/字幕翻訳:大西公子/映倫区分:G 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ © 2022 HEAVYWEIGHT HOLDINGS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 公式サイト:sv-movie.jp
  •   エリック・クラプトンが1990~91年にロイヤル・アルバート・ホールで行った42回の公演より、名パフォーマンスを厳選収録した「エリック・クラプトン アクロス24ナイツ」が、6月9日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷とアップリンク吉祥寺、6月16日(金)より角川シネマ有楽町ほかで全国順次公開。予告編が到着した。     クラプトンはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、1990年1月18日から2月10日まで18回のライブ・シリーズを実施。4人編成からホーンセクションの入った13人編成、オーケストラとの共演まで趣向を凝らし、記念碑的なものとなる。 そして翌91年2月5日からの公演では、4人編成、ホーンなしの9人編成、敬愛するアルバート・コリンズやバディ・ガイらをゲストに招いたブルース・ナイト、マイケル・ケイメン指揮のロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラを配した夜など、3月9日のフィナーレまで24回もの連続公演を成功させた。 それから約30年、全42公演からベストパフォーマンスを選び抜き、4Kで作り上げたのが本作だ。 収録された全17曲のうち、『いとしのレイラ』をモチーフにしたオーケストラのプロローグを含めると、なんと13曲が初公開。アルコール問題などを抱えつつ試行錯誤した80年代を経て、ステージで繰り広げる吹っ切れたギタープレイは、まさにクラプトンの真骨頂といえる。 なお、クラプトンが1991年に発表したライブ作品『24ナイツ』の決定版『ザ・ディフィニティヴ・24ナイツ』が6月23日に発売されることも決定(完全生産限定のスーパー・デラックス・ボックス・セットは6CD+3Blu-rayに全47曲・約6時間の演奏を収録。ロック/ブルース/オーケストラという演奏形態別の2CD+DVDも同時発売)。併せて期待したい。     〈劇中楽曲リスト〉 1 前奏 2 Crossroads クロスロード 3 I Shot The Sheriff アイ・ショット・ザ・シェリフ 4 White Room ホワイト・ルーム 5 Knocking on Heaven’s Door 天国への扉 6 Lay Down Sally レイ・ダウン・サリー 7 All Your Love オール・ユア・ラヴ 8 Black Cat Bone ブラック・キャット・ボーン 9 My Time After A While マイ・タイム・アフター・ア・ホワイル 10 Edge of Darkness エッジ・オブ・ダークネス 11 Holy Mother ホリー・マザー 12 Tearing Us Apart ティアリング・アス・アパート 13 Cocaine コカイン 14 Wonderful Tonight ワンダフル・トゥナイト 15 A Remark You made ア・リマーク・ユー・メイド 16 Layla いとしのレイラ 17 Sunshine of Your Love サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ   「エリック・クラプトン アクロス24ナイツ」 出演:エリック・クラプトン、マイケル・ケイメン、フィル・コリンズ、アルバート・コリンズ、バディ・ガイ 監督:デヴィッド・バーナード 原題:Eric Clapton - Across 24 Nights 2023年/115分/1.83:1/イギリス/ドルビー・アトモス(対応劇場のみ)/字幕(歌詞全訳):小泉真祐 配給:オンリー・ハーツ ©2023 Bushbranch Studios Ltd 公式URL:http://clapton.onlyhearts.co.jp
  • インドの格差社会の高い壁に果敢に挑み、貧しい家庭の子供たちに学びの機会と喜びを与える革新的な教育プログラムを考案し、世界から賞賛を浴びた教育者アーナンド・クマール。その半生を実話を元に描いた、「スーパー30 アーナンド先生の教室」のBlu-ray&DVDが4月28日に発売された。本作が製作されたインドの熾烈な教育現場の現状と合わせ、作品の魅力に迫った。 スケールの大きな娯楽作の南インド映画に、人々の機微を描く北インド映画 インド映画「RRR」(2021)が日本で公開されたのは昨年10月21日。それから約半年となる今もなお、全国での上映が続きヒット中だ。「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995)が1998年に打ち立てた興収4億円強という記録を2ヶ月で抜き、「RRR」の興収は4月初旬には16億円を超えたという。娯楽要素満載で、派手な展開が観客を魅了するのは南インドで作られた両作品に共通する特徴だが、「ムトゥ」の四半世紀後に作られた「RRR」はCGとVFXを駆使し、よりスケールの大きな娯楽作品となっている。 (※南インド映画の中でも「RRR」はテルグ語映画=トリウッド、「ムトゥ」はタミル語映画=コリウッド) このスケールの大きな娯楽作、という点では、北インドのボリウッド映画ことヒンディー語映画は、南インドの大作に遅れを取っている。しかしながら、エモーショナルな表現や心にしみるストーリーテリングのうまさは、やはりボリウッド映画に軍配が上がる。特に今世紀に入ってから、ボリウッド映画は実在の人物を主人公にした作品を多く作るようになった。日本でも好評だった「パッドマン 5億人の女性を救った男」(2018)のように、市井の人がヒーローとして脚光を浴びる作品が増えたのである。今回ご紹介する「スーパー30 アーナンド先生の教室」(2019)も、そんな1本だ。 貧困から学業を断念した失意の天才数学者 舞台は北インド、ビハール州の州都パトナ。アーナンド・クマール(リティク・ローシャン)の家は父が郵便配達員で、母と弟との一家4人の生活は厳しい。数学の天才であるアーナンドは、ラーマーヌジャン賞(ラーマーヌジャンは1920年に32歳で没したインドの天才数学者。2016年のイギリス映画「奇蹟がくれた数式」の主人公)を授与されたりするものの、貧困ゆえの苦労がつきまとう。イギリスの数学専門誌を読むにも、列車の屋根に無賃乗車してベナレスの名門大BHU(ベナレス・ヒンドゥー大学)の図書館にもぐり込んで読んでいるのだ。 そんな中、図書館の事務員から、「自分の論文が掲載されれば専門誌は毎号送ってもらえる」と教えられ、見事に論文掲載を実現させたアーナンドの所には、ケンブリッジ大学からの入学許可証も届く。ところが旅費が工面できず、アーナンドは留学を断念。追い打ちをかけるように父が亡くなり、大黒柱を失った母子3人の生活は益々困窮する。恋人のスプリヤー(ムルナール・タークル)とも会えず、失意のアーナンドはパーパル(米粉せんべい)を売り歩いていたが、ある日、進学塾の経営者として金儲けに走るラッランから、彼の塾の講師に誘われる。アーナンドはたちまち人気講師となり、高額の謝礼で生活も潤った。そんな時アーナンドは、夜の宴会場の外で数学の問題を解く貧しい少年に出会う。下働きの仕事の合間に、寸暇を惜しんで数学に取り組む彼──それは少し前のアーナンドの姿だった……。 私財を投じ貧しい子供のためのプログラムを開設 アーナンドはラッランの塾を辞め、貧しい子供たちのために無料の塾を開設する。応募者の中から選抜した優秀な30名に宿泊場所と食事を提供、このプログラムを「スーパー30」と命名して彼らを鍛えていく。彼らが目指すのは、インド随一の難関大学IIT(インド工科大)。「IITに落ちたから仕方なくMIT(マサチューセッツ工科大)に行く」と言われるほどの優秀な大学だ。 インド全土にIITは23校あるのだが、マドラス校は2022年まで数年間全インド国立大ランキング第1位をキープ、ボンベイ校とデリー校もそれぞれ3位と4位が定位置だ。これら上位の大学に入学するには、幼稚園から一貫して英語ミディアム(インドでは、主に英語を用いて授業する学校=英語ミディアム校と、ヒンディー語、タミル語、ベンガル語など地元の言語を用いる学校=現地語ミディアム校とに分かれる)の名門校で学び、進学塾にもお金を掛けられる金持ちの子弟でないと無理である。アーナンドの挑戦は無謀でしかないが、その結果は!?──本作をご覧になってのお楽しみ、である。 日本や韓国以上の受験戦争社会であるインドの姿に驚かれると思うが、さらに自分の進学塾の利益を守るため、ラッランがアーナンドの命を狙うなど、信じられないような展開も登場する。しかしながら、実在のアーナンド・クマール氏によると、本作の「90%は私の経験にもとづいています。作品に描かれているように、教育をビジネスにする人々からライバル視され、“予備校マフィア”から攻撃を受けて同僚が刺されたことがありました。私自身も暴力を受けて何度もケガをし、今は護衛を付けています」(本作の劇場用パンフレットより)という。決して話を面白くするために挿入されたシーンではないのだ。 実は、本作でアーナンドを演じているリティク・ローシャンは、その身体能力の高さから、アクションとダンスはボリウッド随一として、絶大な人気を誇っているスターだ。日本では2020年7月に公開された「WAR ウォー!!」(2019)では、素晴らしいダンスとアクションの数々を披露して観客をうっとりさせた。しかし本作では、その身体能力を封印し、さらにイケメンの二枚目スターという姿も封印、無精ヒゲに覆われた陽に焼けた顔と粗末な衣服で、アーナンド・クマールその人になり切っている。 代わりに踊るのは“スーパー30“に選ばれた子供たちで、英語コンプレックスをなくすためにアーナンド先生から「明日は春の祭りホーリー祭だ。大手進学塾前の広場で、20分間英語を使って芝居をしろ。一言でもヒンディー語をしゃべったら村に帰らせる」と言われて人々の前で踊ることになる。子供たちは、全員が見たことのあるヒンディー語の大ヒット映画「ショーレー(炎)」(1975)のクライマックスシーンを演じ、盗賊に捕らえられた恋人の命を助けるために踊るヒロイン、バサンティに、「バサンティ、ノー・ダンス(踊るな)」と言いながらステップを踏んでいく。本作中一番の、ハイライトシーンである。 そして、前半にある恋人スプリヤーとのシーンはボリウッド映画の面目躍如、甘く麗しいシーンが登場する。スプリヤーは金持ちの娘という設定から、カタック・ダンス(北インドの宮廷で発達した優雅な古典舞踊)のクラスで踊るシーンなどが登場するのだが、さすが女性の自立を描いた作品「クイーン 旅立つわたしのハネムーン」(2014)をヒットさせたヴィカース・バハル監督、後半に彼女の活躍する場を用意していて、思わず拍手したくなる。   「王になれるのは王の子供だけ」という身分社会、階級社会インドに風穴を開ける、「王になるのは能力のある者だ」という当たり前の主張を実践したアーナンド・クマール。その闘いの目撃者になれる秀作である。 文=松岡環 制作=キネマ旬報社   https://youtu.be/I11TvYMObxM   「スーパー30 アーナンド先生の教室」 ●4月28日(金)リリース (レンタルDVD同日リリース) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら  ●Blu-ray:5,280円(税込)、DVD:4,290円(税込) 【映像特典】 ・日本版予告 ●2019年/インド/本篇154分 ●監督:ヴィカース・バハル ●脚本:サンジーヴ・ダッタ ●出演:リティク・ローシャン、ムルナール・タークル、ナンディーシュ・シン、アーディティヤー・シュリーワースタウ、パンカジ・トリパーティー ●発売元:フルモテルモ 販売元:ハピネット・メディアマーケティング ©Reliance Entertainment ©HRX Films ©Nadiadwala Grandson Entertainment ©Phantom Films
  • 半世紀もの歴史のある「ロマンポルノ」が女性も楽しめるエロスを目指し、レーベル50周年記念企画として誕生した「ROMAN PORNO NOW」。三人の監督が競作し、令和のロマンポルノとして話題となった三作品をまとめたBlu-ray BOXが、4月28日にリリースされた。女性の欲望に焦点を当てた各作品の魅力に迫った。 女性も楽しめるエロスを目指して 1971年に日活が立ち上げた「日活ロマンポルノ」。ロマンポルノ開始当初は、〈10分に一度エロティックな描写を入れる〉〈尺数は70分程度〉などのルールがあり、それを守りさえすれば何を撮ってもOKという条件のもと、多くの若手監督や演技者がこのレーベルに集い、才能を開花させた。昨年のヴェネチア国際映画祭では田中登監督の「㊙色情めす市場 4Kデジタル復元版」(74)がクラシック部門に選出され、話題を呼んだのも記憶に新しい。しかしながらエロスが男性のものであったあの時代、当然ながら鑑賞者は圧倒的に男性たちだった。  男性だけでなく女性も楽しめるようなエロスを生みだすプロジェクトが2016年より始動し、昨年はレーベル50周年を記念した企画「ROMAN PORNO NOW」が誕生。【私の“好き”の物語。】というキャッチコピーが表しているように、女性たちに焦点を当てた三作品が競作された。 緩急巧みな性描写で自然に観せる──「手」(松居大悟監督) 「ちょっと思い出しただけ」(22)など意欲作を連発する松居大悟監督が、山崎ナオコーラの同名小説を映画化した「手」。中年男性を隠し撮りする趣味を持つ25歳のさわ子(福永朱梨)は、部長(津田寛治)とデートをしつつ同年代の同僚・森(金子大地)とも親しくなっていく──。  10分に一度エロを入れるというセオリーには、作り手の力量が如実にあらわれる。不自然であれば失笑を買うし、ストーリーの流れも削ぐ。その点で本作のエロスは実にナチュラルだ。昔のBFとのカラオケボックスセックスや、プレジャーグッズを使っての自慰。いくつかのジャブ的な短いHを入れたのち、森との行為に及ぶ場面ではじっくり、丹念に撮っている。性描写に緩急があるので、こうしたジャンルになじみのない人でも自然に観ることができるだろう。  原作では、さわ子が〝おじさん〞を観察するのには「ロリコン文化の批評」という意味あいがあった。映画ではそれを「お父さんが大好き」ゆえの行為と変えている点に、男性観客(それもロマンポルノを積極的に観ようという世代。すなわちさわ子の父親と重なる世代)の心情を慰撫しようとする作り手からの目くばせを感じる。  特典ではさわ子と森が自室で「会議室プレイ」をする場面のロングバージョンが味わい深い。いい濡れ場も惜しげなく刈り込んで、ドラマの精度を上げていたことがよく分かる。  SM(緊迫)シーンの妖艶さに息を呑む──「愛してる!」(白石晃士監督) 鬼才にして異才、白石晃士監督が得意とするフェイクドキュメンタリーの形式で、SMの世界に足を踏み入れる地下アイドルの冒険と成長を描いた「愛してる!」も快作だ。  オーディションで選ばれた川瀬知佐子扮する主人公ミサが、SMの女王様カノン(鳥之海凪紗)に最初は反発し、やがて尊敬し、ついには恋慕を抱くようになる。オーディオコメンタリーで監督が「SMに対するダークでエグいイメージをぶっとばすものにしたかった」と語るとおり、カノンに認められる女王様になろうと邁進するミサの姿は、どこまでも明るくポジティブだ。それでいて、SM(ここでは緊縛が主)場面の妖艶さには息を呑ませるものがある。  緊縛師の蒼月流氏がSM監修を務め、舞台となるSMクラブ「椿」のシーンにはSM界の本職や関係者の人々が出演しているのもリアリティを添えている。 健康的な肉体美と陽性のキャラクターであるミサと、スレンダーでミステリアスなカノン。カノンがミサの目を見つめながら縛り、なぶるように導くように極めさせる緊縛シーンの数々は性交以上のなまめかしさに充ちている。「縛りで大切なのは所作」「SMを否定しない世界観が嬉しかった」など、コメンタリーでの蒼月氏の発言の一つ一つが印象に残る。 コーディネーターの参加が生み出す美しき性愛──「百合の雨音」(金子修介監督) 「百合の雨音」は、三監督中で唯一オリジナルのロマンポルノ経験者である金子修介監督が、「OL百合族19歳」( 84 )でも扱った女性同士の性愛を描いたもの。出版社を舞台に、夫の不倫に悩む栞(花澄)と、そんな彼女に想いを寄せる部下の葉月(小宮一葉)。雨の夜に二人は一線を越え、互いの身体に溺れていく──。  インティマシーコーディネーターが参加して撮ったセックスシーンの美しさは、三本の中で突出している。コメンタリーでは主演の二人が「(コーディネーターの方が)いてくれてとても心強かった」と語る。同性同士のセックスでリードする側の大変さや、不自然にならないよう、かつきれいに見えるような角度や体位を監督、コーディネーターと共に生みだしていったと明かしている。  金子監督にとっても本企画は大いに刺激になったようで、「濡れ場の撮り方が昔とは変わった自分に気がついた」とのこと。かつてはフィルム撮りというのもあって、セックスシーンではたくさんカットを割っていた。今回はデジタル撮影だったので、長回しで存分に性交を描き抜くことができ、非常に得るものがあったという。そんな作り手の歓び(あるいは本気度)が映像から如実に伝わってくるのも、エロスものの特徴である。  三者三様の個性と癖へきが存分にあらわれ、かつ今の時代のエロスが照射された三作品だ。 文=皆川ちか 制作=キネマ旬報社   「ロマンポルノ・ナウ BDコンプリートBOX」 ●4月28日(金)リリース ▶Blu-rayの詳細情報はこちら  ●定価:14,850円(税込) 【映像特典】3作品共に ・メイキング映像/舞台挨拶/未公開シーン(「手」「愛してる!」のみ)/予告篇 【音声特典】 オーディオコメンタリー 【仕様特典】 ・ブックレット(24P) ・豪華BOX ※仕様は変更になる場合があります。 「手」 ●2022年/日本/本篇99分 ●監督:松居大悟 ●脚本:舘そらみ ●原作/山崎ナオコーラ「手」(『お父さん大好き』文春文庫) ●出演/福永朱梨、金子大地、津田寛治、大渕夏子、田村健太郎、岩本晟夢、宮田早苗、金田明夫 「愛してる!」 ●2022年/日本/本篇94分 ●監督・脚本・編集:白石晃士 ●脚本:谷口恒平   ●出演:川瀬知佐子、鳥之海凪紗、乙葉あい、ryuchell、髙嶋政宏 「百合の雨音」 ●2022年/日本/本篇84分 ●監督:金子修介 ●脚本:高橋美幸  ●出演:小宮一葉、花澄、百合沙、行平あい佳、大宮二郎、宮崎吐夢 ●発売元:日活 販売元:ハピネット・メディアマーケティング ©2022日活