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オリヴィエ・アサイヤス新作。パンデミックの日々に人生を見つめ直す「季節はこのまま」
2025年3月21日名匠オリヴィエ・アサイヤス監督が、パンデミックによりすべてが止まった日々の中で人生を見つめ直していく2組のカップルを描き、第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された「季節はこのまま」が、5月9日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。 新型コロナウイルスのパンデミックにより外出が制限された2020年の春。映画監督の兄・ポールと音楽ジャーナリストの弟・エティエンヌは、それぞれ交際を始めたばかりのモルガンおよびキャロルと共に、彼らが育った郊外の家で過ごすことに。懐かしい風景、新たな生活様式への戸惑い、世界から切り離された感覚、同居して初めて知る互いのこと……。止まってしまった時間の中で、ポールたちは不安を抱えながらもゆっくりと、確かにそこにある光、愛と人生の新たな側面を見つけていく──。 アサイヤスが実際に子ども時代とロックダウン期間を過ごした両親の家で撮影するなど、実体験を多分に含み「これまでの作品の中で最もパーソナルで親密」に仕上がったという本作。キャストには、アサイヤスと3度目のタッグとなるヴァンサン・マケーニュ、監督の近作に欠かせないノラ・アムザウィ、舞台でも活躍するミシャ・レスコー、伝説的モデル/デザイナーのイネス・ド・ラ・フレサンジュの娘でありディオールのモデルとしても活躍する新星ナイン・ドゥルソを迎えた。撮影のエリック・ゴーティエ(「そして僕は恋をする」「ポーラX」「新世紀ロマンティクス」)、編集のマリオン・モニエ(「サマーフィーリング」「それでも私は生きていく」)らスタッフも充実。 さらにアサイヤスは、制作のきっかけが敬愛する画家デイヴィッド・ホックニーの言葉だったことを明かし、「ホックニーがロックダウン中にiPadで、本作の舞台と同じノルマンディーの風景を描いたように、自分はこの映画『季節はこのまま』を撮ったのだ」と述べている。心に触れるロマンス・コメディに注目したい。 [caption id="attachment_48100" align="aligncenter" width="850"] ©Carole Bethuel[/caption] 「季節はこのまま」 監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス 撮影:エリック・ゴーティエ 編集:マリオン・モニエ 出演:ヴァンサン・マケーニュ、ミシャ・レスコー、ナイン・ドゥルソ、ノラ・アムザウィ 2024年/フランス/105分/1.85:1/5.1ch 原題:Hors du temps 英題:Suspended Time 字幕翻訳:手束紀子 配給:Bunkamura 画像クレジット:©Carole Bethuel 公式サイト:https://kisetsufilm.com -
老女が抱えた秘密とは? フランソワ・オゾンが描く人生ドラマ「秋が来るとき」
2025年3月21日名匠フランソワ・オゾン監督がブルゴーニュに暮らす老女を主人公に、娘と孫の来訪が不測の事態を引き起こしていくさまを描いた「秋が来るとき」が、5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開される。場面写真と監督のメッセージ動画が到着した。 パリからブルゴーニュの田舎に移住した80歳のミシェル。秋の休暇を利用して訪れた娘と孫に、キノコ料理を振る舞うが、それが引き金で各々の過去が紐解かれる。人生の最後を豊かに過ごすため、ミシェルはある秘密を守り抜こうと決意するが……。 ミシェル役にエレーヌ・ヴァンサン、親友役にジョジアーヌ・バラスコ、その息子役にピエール・ロタンと、オゾン作品「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(2019)のキャストが再結集。さらにミシェルの娘役でオゾン作品「スイミング・プール」(2003)のリュディヴィ−ヌ・サニエが出演。新旧オゾン・ファミリーがアンサンブルを奏でる。 映画は2024年サン・セバスティアン映画祭で脚本賞と助演俳優賞(ピエール・ロタン)を受賞し、日本では一般公開に先駆けて横浜フランス映画祭2025で上映。サスペンス要素も交えた豊かなドラマに注目したい。 https://www.youtube.com/shorts/bLaWzEbyDNM 「秋が来るとき」 監督・脚本:フランソワ・オゾン 共同脚本:フィリップ・ピアッツォ 出演:エレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコ、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン 2024年/フランス/フランス語/103分/ビスタ/カラー/5.1ch 日本語字幕:丸山垂穂 原題:Quand vient l'automne 配給:ロングライド、マーチ © 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME 公式サイト:https://longride.jp/lineup/akikuru -
“セルフプロデュースの達人”マリリンの魅力を再発見「マリリン・モンロー 私の愛しかた」
2025年3月21日《セックスシンボル》として時代を超えて愛され、近年は抜群のコメディセンスを持った《女優》として、20世紀を代表する《ファッションアイコン》として、さらに自身のイメージを巧みにプロデュースした《ビジネスウーマン》としても評価が高まっているマリリン・モンロー。その人生に迫ったドキュメンタリー「マリリン・モンロー 私の愛しかた」が、5月30日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国で公開される。“両A面”ビジュアルが到着した。 親の愛に恵まれず、性的虐待を受けた子ども時代。モデルのキャリアをスタートさせ、女優を夢見た若き日。典型的なセクシーブロンドのイメージを払拭できずに苦悩した大スター時代。そしてスキャンダラスな私生活と、謎多き死の真相──。若い頃に恋人だったトニー・カーティス、バックダンサーとして撮影に参加したジョージ・チャキリス、「紳士は金髪がお好き」で共演したジェーン・ラッセル、俳優でコメディアンのジェリー・ルイスといったスターならびに近親者の証言を集め、さらに伝記作家や心理学の専門家の分析を加えて、孤独な少女〈ノーマ・ジーン〉(本名)から大スター〈マリリン・モンロー〉に至る歩みを描き出す。 映画スタジオの意向やメディアの影響力とともにセクシーアイコンの地位を確立しながらも、本当は愛されて尊敬される演技派女優になりたかったマリリン。その才能と魅力を新たに発見したい。 「マリリン・モンロー 私の愛しかた」 監督・脚本・編集:イアン・エアーズ プロデューサー:エリック・エレナ 出演:マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジェリー・ルイス、ジョージ・チャキリス、ジェーン・ラッセル 2022/フランス/英語・フランス語/ワイド/120分/ステレオ/映倫:G 原題:DREAM GIRL: THE MAKING OF MARILYN MONROE 字幕翻訳:星加久実 字幕監修:田村千穂 配給:彩プロ ©2023-FRENCH CONNECTION FILMS 公式サイト:http://marilynmonroe.ayapro.ne.jp -
かつて裏社会で名を馳せた伝説の殺し屋ジョン・ウィックの終わりなき『復讐と報復』の戦いを描いたキアヌ・リーブス主演「ジョン・ウィック」シリーズ。そのシリーズを継ぐ「バレリーナ:The World of John Wick」の日本公開が8月に決定、ティザービジュアルが解禁された。 「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のアナ・デ・アルマスが、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がるヒロイン・イヴを演じるほか、ノーマン・リーダスらが参戦。一貫してシリーズを監督してきたチャド・スタエルスキは製作にまわり、監督には「ダイ・ハード4.0」のレン・ワイズマンを起用。そして、キアヌ・リーブス演じるジョン・ウィックをはじめ、イアン・マクシェーン演じるコンチネンタルホテルNYの支配人・ウィンストンや、本作が遺作となるランス・レディックのコンシェルジュ・シャロンなど、お馴染みのキャラクターも登場する。彼らが新たな復讐の女神・イヴの物語にどのように関わっていくかにも注目だ。 解禁となったティザービジュアルには、ジョン・ウィック同様、背中一面をタトゥーで覆い銃を構えるイヴの姿が映し出されている。背中にラテン語で彫られた〈Lux In Tenebris〉の文字は、日本語では〈暗闇の中の光〉という意味。『復讐は伝播する』と添えられたキャッチコピーも含め本作に注目が集まる。 Story 孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織:ルスカ・ロマ。裏社会に轟く伝説の殺し屋:ジョン・ウィックを生み出した組織で殺しのテクニックを磨いたイヴは、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がる。しかし、裏社会の掟を破った彼女の前に、あの伝説の殺し屋が現れる……。 「バレリーナ:The World of John Wick」 監督:レン・ワイズマン 製作:チャド・スタエルスキ 出演:アナ・デ・アルマス、ノーマン・リーダス、アンジェリカ・ヒューストン、ガブリエル・バーン、キアヌ・リーブスほか 提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ 2025/アメリカ/原題:From the World of John Wick: Ballerina ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
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高崎映画祭邦画ベストセレクションに選出された、谷健二監督による「追想ジャーニー」(2022)の第2弾、「追想ジャーニー リエナクト」(2024)が3月21日より「Amazon prime video」「U-NEXT」などにて配信となる。前作と同じく舞台を主人公の人生と捉え、過去と現在の自分が会話しながら、ステージ上で展開する独自の表現方法は今回も健在。演じる松田凌、渡辺いっけいを中心に、新たな追想の旅が始まる。 還暦の脚本家が退行睡眠のよって、30年前の自分に会いに行く! 主人公は次回作の筆が、一向に進まない脚本家の横田雄二(渡辺いっけい)。彼は『退行睡眠 失った記憶を取り戻し、現代人のストレスをなくします』というメールを受け取り、催眠術師による退行睡眠によって、30年前の自分と会いにいく。30歳の雄二(松田凌)は、演劇仲間の峯井(樋口幸平)や中村(福松凜)との舞台公演を控えていたが、初日前日なのに脚本が書き上がらない。そこへ30年後の横田がやってきて、ここが人生の大事なポイントだと話しかける。自分と同じ道を歩むなという横田のアドバイスに従って、雄二は彼の演劇のファンである麻美(新谷ゆづみ)と付き合い始める。その後の雄二は、横田の人生と違った世界線をたどり始める。新たな選択をしたことで、横田は未来を変えることが出来るのか? 違った未来を歩む主人公の、新たな人生の選択とは? 前作「追想ジャーニー」ではスターになるという夢を追い求めながら、48歳になっても売れない役者をやっている主人公が、高校生だった18歳の自分に退行睡眠で会いに行った。二人はいくつかの人生の分岐点へと追想の旅を続け、自分の選択の何がいけなかったのかを話し合いながら検証していった。今回の脚本家・横田雄二も30年前の自分と会うのは同じだが、現在と過去の雄二は60歳と30歳で、前回よりも人生経験を踏んでいる。それだけに大人が若者に考えを押し付ける感じがあった前作よりも、対等な立場で二人の雄二が描かれていく。特に現在の横田が、過去の雄二に麻美と結婚するという、自分が知らない未来を選ばせてからの展開は、二人にとって未知の世界線でドラマが展開していき、彼らは様々な人生の選択を密に話し合って決めていくことになる。 友人への思いが込められた、再会の場面が感動を呼ぶ また今回は横田雄二ひとりだけではなく、峯井と中村という二人の友人が、彼の人生に大きくかかわってくる。若い頃に三人は互いの才能を認め合っていて、特に峯井は自分がメジャーになって雄二の作品を世に広めると約束していた。しかし実際の峯井は、その数年後に病死した。執筆にかかりきりで、峯井の死に目に会えなかったことが横田には今も心残りで、若い雄二に峯井の見舞いに行けと助言する。峯井は自分が横田のために何もできなかったことを申し訳なく思い、病状が悪化しても彼に知らせなかったのだ。この果たせなかった友人との約束が、作品の大きなテーマになっている。現在の横田が死の床にある峯井と会う場面は、演じた渡辺いっけいの熱演もあって感動を呼ぶ名シーンだ。 芝居経験豊富な俳優陣が、舞台と映画の世界を表現! 映画でありながら、舞台上で横田の精神世界を表現しながら彼の人生が語られていくだけに、演じる主演俳優にも舞台経験豊富な手練れが揃った。30歳の雄二を演じるのは、初舞台の『ミュージカル 薄桜鬼』(2012)に初主演し、その後は舞台『刀剣乱舞』シリーズや『進撃の巨人─the Musical─』のリヴァイ役など、数々の舞台で活躍する松田凌。60歳の横田に扮するのは、状況劇場に参加していた若い頃から現在まで多くの舞台に出演し、映画やテレビでも圧倒的な存在感が光る、名バイプレイヤーの渡辺いっけい。また峯井をテレビの『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022)に主演して注目を集め、最近では映画「ネムルバカ」(2025)にも出演している樋口幸平、中村を『ガラパゴス』(2023)や『下剋上球児』(2023)などのテレビドラマで人気を集めた福松凜、麻美を元アイドルグーループ『さくら学院』のメンバーで、現在は女優として活躍する新谷ゆづみが演じている。さらに成長した雄二と麻美の息子・零士役で、ダンス&ボーカルグループ『BUDDiiS』の高尾楓弥が登場するのも見どころだ。 監督は前作に続いて、「映画 政見放送」(2023)でも知られる谷健二が担当。脚本を演劇バトル『演劇ドラフトグランプリ2023』で優勝を果たした劇団『恋のぼり』の作・演出を担当している私オムが、舞台と映像の見せ方を効果的に使って執筆。一瞬で時空を飛び越える演劇の面白さと、演じ手のリアルな人間性を映し出す映画の特性を見事に融合させた作品に仕上げている。 この作品は現在から過去へ人間の体が移動するタイムスリップものとは違い、人生に後悔の念を持つ主人公が、精神世界の中で過去を振り帰っていくことで、これから自分が生きていくための希望を手に入れるのが魅力。その物語のフォーマットと、人生を舞台に見立てた表現方法は、まだまだ続編を作れる可能性があると見た。第1作は売れない役者、今回は執筆に悩む脚本家。とすれば次は、スランプに陥った映画監督あたりが主人公になるのではないか。そんな今後への期待も膨らむ、異色のインナーワールド・エンタテインメントである。 文=金澤誠 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=CfNgyf1cxCg&t=1s 「追想ジャーニー リエナクト」 ★3⽉21⽇より「Amazon prime video」「U-NEXT」などにて配信 詳細はこちら⇒https://www.journey-movie.net/ 2024年/日本/66分 監督:谷 健二 脚本:私オム 主題歌「表紙絵 -samune-」(岸 洋佑) 出演:松田 凌、樋口幸平、福松 凜、新谷ゆづみ、⾼尾楓弥(BUDDiiS)、宮下貴浩、根本正勝 / 渡辺いっけい © 映画『追想ジャーニー リエナクト』製作委員会