「白い嵐」のストーリー
独自の教育方針で知られる海洋学校、オーシャン・アカデミーに入学した17歳のチャック(スコット・ウルフ)は、航海訓練生として、憧れの帆船アルバトロス号に11人の少年と乗り込み、南米を半周する船旅に出発した。期待と不安を抱いた若者たちと共に旅に出たベテラン・クルーは、船上教師のマックレア(ジョン・サヴェージ)とコックのジラルド(フリオ・メチョソ)、船長のスキッパーことシェルダン(ジェフ・ブリッジス)、彼の妻で船医の資格を持つアリス(キャロライン・グッドール)の4人。船長は早速、若い船乗りたちに「海を甘く見ることなく、海を制する者になれ。団結は力だ」と訓示を与える。訓練が始まって間もなくトラブルが発生。帆を下ろそうとしたチャックの首にロープが巻きつき、窒息死寸前の事態に。近くにいたギル(ライアン・フィリッペ)は彼を助けようとするが、最愛の兄を転落死で失った忌まわしい記憶から、マストに登ることができない。すんでのところで船長が助けに入り、一命を取り留めたが、彼はギルを非難し、恐怖心を克服させるためマストにまぼるよう命じる。しかし、ギルは怖さのあまり失禁し、泣きだす始末。周りには不穏な空気が流れ、船長に対する不信感が少年たちの心に芽生える。船長は、その後続いたシケの時も厳しい態度を崩さない。しかし、度重なる困難と危機を前に的確な対処を見せる彼の姿に、チャックは次第に憧れを抱くようになる。少年たちは交代で舵を取ったり帆走技術を習うかたわら、一般過程の勉学にも励んだ。実力テストの時、チャックとギルは、不良を気取るディーン(エリック・マイケル・コール)がカンニングをしていることを発見。詰め寄る2人に、彼はついに泣きながら自分の学力にコンプレックスを持っていることを明かす。その意外な一面に驚きながらも、一緒に頑張ろうと励ます2人。その時、ディーンと反目し合っていたフランク(ジェレミー・シスト)が現れ、自分も力を貸そうと申し出る。互いを受け入れることとで仲間としての絆を結んだ少年たちは、たくましく成長していった。次の停泊地では、一緒になったオランダ娘と楽しいひと時を過ごす幸運に恵まれた。そこへ突然、フランクの父親フランシス(デイヴィッド・セルビー)が息子の様子を見に訪れた。実業家の父は厳格で、その重圧に苛まれたフランクはやけを起こすが、ダンス・パーティに出掛けていた少年たちが彼をなだめた。何とか平常心を取り戻したかのように見えたが、彼は海で遭遇したイルカをスピア・ガンで撃ってしまう。瀕死のイルカを死なせてやった船長は、唖然とする一同を前に次の港でフランクを家に送り返すことを決定。皆の熱意ある抵抗も虚しく、彼は船を降ろされ、高所恐怖症だったギルがマストに登って別れの鐘を鳴らした。目的地まであと一歩という時、船は海上でキューバ船に発見され、砲弾を浴びる。キューバ兵たちは傍若無人な態度で船を捜索するが、船長は毅然とした態度で彼らを追い返し、少年たちの賞賛を得る。船長と船員が一体となり、固い団結で結ばれた船は、一路ガラパゴス諸島へ。出発から3ヶ月後、目的地に到着したクルーは、溶岩で覆われた荒々しい大地を踏みしめた。美しく壮大な島を後に、懐かしい故郷へ帰ろうとした矢先、突如、風が吹き荒れ、静かだった海が荒れ狂い始めた。そして、大きな落雷と共にホワイト・スコールと呼ばれる伝説の巨大な白い嵐が彼らを襲った。船は横倒しになり、やがて沈み始めた。白い嵐はアリスとジラルド、ギルら4人の少年たちの命を奪って去った。息子を失った親やマスコミは、こぞって船長を非難。裁判で難破の原因を問い詰められ、自ら免許を返上しようとした船長の前に、生還した少年たちが立ちはだかる。彼らは船長に対する感情を吐露し、法廷の人々に訴えた。その声は、遠い海の底からの叫びでもあった。