「アダムとイヴ」のストーリー
神ははじめに天地を創り昼夜を分けた。二日目には水を、三日目には植物を、四日目には光を……。そして六日目に家畜、昆虫、獣類を創ったのち、これら総てのものを治めさせるために、自らの形に似せて人間を創造した。そして七日目を一日、安息の日と定めたのである。かくて、最初の人間アダム(カルロス・バエナ)は、土の塵から、神の手によってこの世に生み出された。眼を開いた彼は、初めて見る世界に驚くばかりである。手や足の役目や、衣をまとうということも知らない。しかし、やがて彼も楽園にみのる果実を食べることをはじめ、いろいろのことを覚えはじめ、泉にうつる自分の姿から自己の存在ということを知った。ある時、彼が木かげに眠っていると、神はその左の胸に光をあてて、肋骨を一本とってイヴ(クリスチャン・マルテル)を創造した。目をさましたアダムは、彼女に、彼が今までに知ったいろいろのことを教え、こうして地上最初の男女は、楽園に楽しくくらした。けれども、イヴが、禁断の木の実であるリンゴを、狡猾な蛇の誘惑によって、とって食べてしまった時に、神の怒りがやってきた。二人は禁を被った瞬間から、羞恥を意識し、自分たちが裸であることを知って、イチジクの葉をとって各々の腰につけた。こうした二人を神は怒って、地震を起し、遂に二人は、楽園から荒涼たる砂漠に追われてしまった。今までとは違って、水もなく、食料もなく、照りつける太陽の激しい光のもとを、苦痛にのたうちながらさまよった二人は、かつての楽しかった生活を夢見ながら、ふたたび楽園の入口にたどりついた。しかし、神の怒りは解けず、その門をもう一度くぐることは出来ない。二人は自分たちの手によって、罪を背おいながら、生きていくために働き、生活を作りあげていかねばならぬことになったのである。