「バルテルミーの大虐殺」のストーリー

一五七二年八月二十四日ルウヴル宮でシャルル九世の妹マルゴ王女(ジャンヌ・モロー)と新教徒のナヴァル公アンリとの結婚式が行われた。これは十二年にわたる新旧両教徒の争いに終止符を打つべき政略結婚であり、更に宮廷の実権を握る太后カトリイヌ(フランソワーズ・ロゼー)は、ひそかに新教徒大虐殺を計画していた。パリのナヴァル公へ危険を告げる密書を携えて馬を急がせる青年貴族ド・ラ・モオル伯(アルマンド・フランチオーリ)は、やはりパリの旧教派の首魁ド・ギイズ公の許へ急ぐ貴族ココナスと知り合った。パリへ着いたド・ラ・モオルは新教徒の大物コリニを狙撃しようとする犯人を追って城内に入り、偶然、ひそかに慕っていたマルゴ王女に会った。しかし、ド・ラ・モオルは彼の用件を聞いた王女がナヴァル公を呼びに行っている間に旧教派一味に捕えられ密書を奪われてしまった。太后カトリイヌは息子シャルル九世やド・ギイズ公らと計って聖バルテルミイの夜新教徒虐殺の命を下し、城の内外は修羅の巷と化した。牢を脱れたド・ラ・モオルは群がる敵を相手に奮戦したがココナスのために重傷を負い、危ういところをマルゴ王女の寝室にかくまわれた。ド・ラ・モオルに愛を感じるようになったマルゴは、彼をかくれ家へ送って養生させたが、ここには王女の侍女アンリエットに助けられたココナスも来ており、二人は宗教を超えて無二の親友となった。ある夜、黒いマスクをした二人の遊女がかくれ家を訪れたが、実は遊女に身をやつしたマルゴと侍女で、この夜マルゴとド・ラ・モオルはかわらぬ愛を契った。一方、新教徒ナヴァル公を暗殺しようとする太后は砒素をしみこませた本を彼に贈ったが本は誤って太后の息シャルル九世の手に渡った。ナヴァル公は身の危険を感じ、シャルル九世の催した狩猟を利用して脱出しようとしたが失敗、応援にかけつけたド・ラ・モナルとココナスは逮捕された。砒素の毒に冒されたシャルル九世は死の直前に正義に目ざめ、後事をナヴァル公に托して逝去した。ド・ラ・モオルとココナスはマルゴ必死の努力も空しく遂に断頭台上の露と消えた--。マルゴ王女を伴って一旦都を離れたナヴァル公は数年後即位してアンリ四世となった。