「アニタ 背徳のダンサー」のストーリー

一九二〇年代。絢爛と退廃のベルリンでは、アニタ・エルバー(ロッティ・フーバー)というダンサーが、“エクスタシー”“恐怖”“背徳”といったダンスを裸で踊って表現し、話題を集めていた。バイセクシャルであることを公言し、常にスキャンダルをふりまいていた彼女は、多量のコカイン常用と結核のために二九歳の若さでこの世を去る。そして現代、ベルリンの目抜き通りクーダムで、一人の老女(エヴ・クルツ)が自分はダンサーのアニタ・ベルバーだと叫び、服を脱ぎ出す。彼女は捕らえられ、病院に閉じ込められる。老女は精神病院のモノクロの現実の中で、アニタの短くも激しかった人生を荒々しい原色の幻覚の世界に見出す。本当の記憶なのか、老女の幻覚なのか分からぬまま、老女の主治医はアニタのダンス・パートナー、セバスチャン・ドロステ(ミカエル・ホネッソー)へ、看護婦(ハンネレーネ・リンバッハ)は若かりし頃のアニタ(イナ・ブルーム)へと姿を変えていくが、突然、老女に死が訪れる。医師は死体解剖しようとするが、老女は起き上がり消えてしまう。