「恋人のいる街」のストーリー

サンドウィッチマンのバクさんは、本名谷中禄太郎、生来のお人好しで近隣の人たちに親まれていた。喫茶店の看板娘よし江はキャバレー・オリオンの支配人倉石道太の恋人。焼鳥屋の源さんはバクさんがいつもおかずを買う馴染の店。バクさんの向いの二階には踊子春子が住んでいる。バクさんは春子にたのまれ、よし江のお父さん多平とストリップ劇場のサクラをつとめて、美事に失敗。キャバレーではマダムの寺島聖子が客に愛嬌をふりまいているが、倉石は昔の悪い仲間から、喫茶店と焼鳥屋を立退かせろとおどかされて憂欝。バクさんの家へは掻払いのくせに純情な娘由美がころげ込んだり、捨児を背負い込んだりで、生活がいささか複雑化してきた。競輪好きの多平が立退料の手附金を受取つて使い込んだので、喫茶店と焼鳥屋は強制立退の危機にさらされるが、マダム聖子から金を借りて倉石がこれを救った。そのため彼はやくざ仲間の報復を受けた。漸く可愛くなった赤ん坊は中年の夫婦にひきとられ、バクさんの純粋さに感激した由美は優しい娘に立ちかえり、いさぎよく刑事にひかれて行った。倉石は傷が治ってよし江さんと結婚するため故郷へ帰り、バクさんは由美の帰りを待って今日も相変らずプラカードを持って街を歩いている。その背には第二の捨児がくくりつけられている。