「ココナッツ」のストーリー
フルリダの海岸にあるココナッツ荘園の持ち主で至極呑気者のハンマーという男が経営するホテルは一向に繁盛せずボーイの給料すら払えなかったがハンマーは平気なものだった。滞在客の1人で金持ちのポッター未亡人は同じ滞在客でボストンの資産家の息子だと称するハーベイという男の言葉を信用して自分の娘ポリーと結婚させようと考える。だがハーベイはその実、資産家のわけでもなんでもなくポッター未亡人の財産を狙う不良青年であり、未亡人の娘ポリーはホテルの事務員ポップと恋仲であった。同宿のペネロープというモガはハーベイに入れ知恵してポッター未亡人が大切にしている首飾りを盗み出させこれを種にポリーとポップの仲を割こうとした。そしてもしことがバレかかった場合には折柄現れた2人の浮浪人チコーとハルポーに罪をきせてしまおうと考えた。仕事はうまく行って盗み出された首飾りは荘園の切株の空洞へ隠された。呑気者のハンマーも苦しくなってココナッツ荘園の地所を競売することになった。せり売は予めチコーがサクラとなって値段をせり上げる仕掛けとなっていたが、首飾りの隠された地所の番になった時ポップがこれを買い落とした。そこへポッター未亡人が駆け込んで来て首飾り紛失の件を話し発見者には1000ドルの賞金が附せられことになった。するとチコーがそれを探し出して来た。探偵はポップが何もかも承知の上でその地所を買ったのだというハーベイの言葉を信じポップを嫌疑者として引渡した。一方ポッター未亡人はポリーとハーベイの婚約披露宴をホテルでひらき一同を招待することになったがチコーとハルポーはひそかにポップを牢から救い出し宴会の席へ連れて来る。宴会に招待されたお客が思い思いの服装で出席し、いろいろ隠し芸をやるが、その最中ハーベイは突然姿を晦ましてしまう。首飾りを盗んだのはこれでハーベイの仕業であったということが判明した。そこでポリーとハーベイの婚約披露宴はたちまち一変してポリーとポップの結婚式となる。おまけにかねてココナッツ荘園の発展を計画していたポップの設計が大事業家に採用されることになってポップとポリーの夢はいよいよ実現に近ずき一同は揃って「空はいつでも青空よ」の唄を合唱するのである。