「味 Dream Cuisine」のストーリー

23歳まで中国で暮らし、中国料理の源流と言われる魯菜=山東料理を習得した佐藤孟江さん。山東省より正宗魯菜伝人の認定を受けている唯一の日本人女性である彼女は、「砂糖、化学調味料、ラードを一切使わない」と言う伝統を守り、東京で魯菜の専門店「済南賓館」を夫の浩六さんと経営しているが、最近、齢78を迎え、体力的な問題から店の存続に頭を悩ませている。孟江さんの希望としては、故郷の済南に戻り、客員教授の資格を持つ東方美食学院で文化大革命以降廃れつつある本当の魯菜を生徒たちに教えたいと考えているが、東京生まれの浩六さんはそれに反対だ。しかし2002年秋、彼女は遂に浩六さんを伴って済南へと旅立つ。ところが、高度経済成長の中国にあって、学院長の劉氏は伝統を顧みず新魯菜を提唱する有り様。そんな彼と対立した孟江さんは、彼女に感化され一緒に中国に骨を埋める覚悟をした浩六さんと一緒に自分の料理教室を開くことを決意するのだが、東京へ戻った際、浩六さんが脚を痛めてしまう。夫婦合わせて150歳になるふたり、直面する現実は厳しい。