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「いつか読書する日」のストーリー
50歳、独身。牛乳配達とスーパーのパートで生計を立てている大場美奈子には、秘かに想い続けている男性がいた。市役所の児童福祉課に勤務する高梨槐多である。中学時代、親同士の不倫が発覚し疎遠になってしまったが、あれから30数年、彼への気持ちは未だ変わらない。そして、そのことは誰にも知られてはならない――筈だった。ところがある日、その想いを綴った美奈子の、匿名で出した葉書がラジオ番組で読まれ、それを偶然耳にした槐多の妻で末期癌に侵された容子に全てを悟られてしまう。しかし、彼女は美奈子に意外な願いを託すのだった。「私が死んだら夫と一緒になって欲しい」と。それから1ヵ月後、容子が他界した。残されたふたりは、もう一度、出会うところから始める決意をする。だが、愛を確かめ合った翌朝、槐多は雨で増水した川で溺れている少年を助けようとして、帰らぬ人となるのであった。美奈子の恋は終わった。彼女は、彼女を心配する亡母の友人の敏子に今後のことを問われ、「これから本でも読みます」と答えた。