「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」のストーリー

1882年に創設され、125年以上もの伝統を誇るベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(=ベルリン・フィル)。ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、クラウディオ・アバドら錚々たる指揮者が歴代主席指揮者を務め、完璧なアンサンブルと輝かしいサウンドで世界中の音楽ファンを魅了してきた世界最高のオーケストラである。映画はその入団試験の様子から始まる。ベルリン・フィルでは入団試験に合格しても即採用とはならない。本採用前に試用期間があり、その後、指揮者ではなくメンバーたち自身が新人の合否を決めるのだ。こうして厳しい関門を潜り抜け、晴れてベルリン・フィルのメンバーとなった団員126名によるアジア6都市を巡るコンサートツアーが開催されたのは2005年。音楽監督は主席指揮者のサー・サイモン・ラトル。訪問地は北京、ソウル、上海、香港、台北、東京。26年ぶりの再訪となる北京。大掛かりなテレビ中継が待ち受ける上海。数万人の聴衆がパブリックビューイングに押し寄せる台北。そして、カラヤンの時代から数々の名演を残してきた東京。各地で繰り広げられるラトルの妥協を許さない厳しいリハーサル、一糸乱れぬアンサンブルから生まれる本番演奏の模様を、余すところなくカメラは捉える。その一方で、ツアーの合間を縫って実施されたメンバーへの個別インタビュー。最高のハーモニーを追い求める苦労と情熱。伝統の重みとプライド。私生活の犠牲も厭わぬ献身的なプロ意識。クラシック音楽の頂点に位置するエリート集団の内幕が、メンバー自身の口から赤裸々に語られてゆく。