「ルッツ 海に生きる」のストーリー

地中海の島国マルタ。26 歳のジェスマークは「ルッツ」という美しい船に乗っている。色鮮やかなその木造船は、この地の漁師が先祖から受け継ぎ、それぞれの家族が大切に守ってきた伝統の船。ジェスマークも曾祖父の代から修理を繰り返して「ルッツ」で漁に出てきた。ある日、ジェスマークは漁に出るが、魚があまり捕れず、ルッツの船底に水漏れを見つける。修理をしなければ、大事な商売道具が使えなくなってしまうが、修理には金がかかる。不漁が続き、思うように収入を得ることができないなか、生まれて間もない息子の発育不良がわかり、治療にも費用がかかることになってしまう。動揺して裕福な実家を頼ろうとする妻デニスと、夫婦二人で乗り越えたいジェスマーク。夫婦の間には徐々に不協和音が生じ始める。親友のデイヴィッドの手伝いもあり、ルッツの水漏れを直すことはできた。しかし、漁師である以上、安定した収入を常に得ることができないことを痛感したジェスマークは、漁師としてやってはならないことに手を染めてしまう。ルッツの漁師という職業に誇りをもって生きてきたジェスマークだったが、妻と息子を養っていくためには金を稼がなければならない。このままルッツで漁を続けるのか、安定した収入を得るために別の仕事に就くべきなのか。人生の選択を迫られることになる。