解説
「さすらい(1957)」の監督ミケランジェロ・アントニオーニが自らシナリオを書き、監督して愛のうつりかわりを描いた作品。脚本は同監督の他にトニーノ・グエッラ、エリオ・バルトリーニが共同で担当している。撮影はアルド・スカヴァルダ。音楽は「太陽の誘惑」のジョヴァンニ・フスコ。出演者は「三月生れ」のガブリエレ・フェルゼッティ、新人モニカ・ヴィッティ、「狂った情事」のレア・マッサリの他、ドミニク・ブランシャール、ジェームズ・アダムス、レンツォ・リッチなど。
ユーザーレビュー
「情事(1960)」のストーリー
ローマの上流階級のひとり娘アンナ(レア・マッサリ)には若い建築家のサンドロ(ガブリエレ・フェルゼッティ)という恋人がある。そのサンドロは都会の頽癈と倦怠にむしばまれて、すでに芸術的な意欲を失い、アンナへの愛すらも不安定なものになっていた。アンナの不安と焦燥感は実はそこに原因があった。ある夏の終り、二人は上流階級の友人たちに招かれて、数日間、シチリア島の近くにあるエオリエ群島へヨット旅行に出かけた。アンナはその旅行に親友のクラウディァ(モニカ・ヴィッティ)をさそった。三人は何となく気まずい零囲気の中で、ヨット旅行を続けたが、とある無人島に上陸したとき、突然アンナの姿が、かき消すようになくなったのである。ヨットに乗り合わせていた友人たちとともに、サンドロとクラウディアは必死にアンナを探したが、彼女の姿は沓として消えたままだった。あくる日も荒涼たる島の中を一同は手わけして探しまわったが、やはりアンナの姿はどこにも見つからなかった。事故で溺死したのだとしても、死体も見当らない。捜査は打ちきられた。しかし、サンドロとクラウディアは生きているかもしれないアンナを求めて捜索の旅に出た。アンナの失跡によって結びつけられたこの二人は、何者かにおびえるような不安の中で、だんだんとはなれ難くなって行った。情事の旅を続けながらアンナのイメージは二人の念頭から薄らいで行った。いうまでもなく、他の友人たちの間ではもうアンナの事はすっかり忘れられていた。あるパーティの夜。友人たちは当然のようにこの新しいカップルをむかえた。その夜、酔ったサンドロは見知らぬ女を抱いた。不安の一夜を明かしたクラウディアはそんなサンドロの姿を発見して絶望した。が、サンドロの方もその気持は同じだったにちがいない。サンドロは逃れ出て戸外のベンチで一人男泣きに泣いた。その肩をうしろから、おいかけてきてそっと抱いたのはクラウディアであった。
「情事(1960)」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「情事(1960)」のスペック
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