解説
フェデリコ・フェリーニとトゥリオ・ピネリの原案を、この二人とエンニオ・フライアーノ、ブルネロ・ロンディら、「甘い生活」「81/2」などフェリーニの諸作に協力しているグループの共同脚色、「81/2」についで製作されたフェリーニ監督初めてのカラー作品である。撮影は「81/2」の故ジャンニ・ディ・ヴェナンツォで、これが彼の最後の作品。音楽はフェリーニとは名コンビのニーノ・ロータが担当した。出演は「カビリアの夜」のジュリエッタ・マシーナ、「81/2」のサンドラ・ミーロ、「イスタンブール」のシルヴァ・コシナ、「81/2」のマリオ・ピス、「女ともだち(1956)」のヴァレンティナ・コルテーゼなど。製作はアンジェロ・リッツォーリ。
ユーザーレビュー
「魂のジュリエッタ」のストーリー
ローマ郊外の閑静な住宅地に住む中年の夫婦ジョルジョ(M・ピス)とジュリエッタ(G・マシーナ)の結婚記念日。ジュリエッタは着飾って、夫の帰宅を待ちわびていた。夫婦だけで静かにすごしたいと考えていたジュリエッタだったが、夫は招かざる多勢の客をつれて帰ってきた。彼女はあたりの賑やかさとはうらはらに、だんだん気が滅入っていく自分をどうすることもできなかった。ジュリエッタは献身的で貞淑な妻だった。夫に対する気持は、結婚当座と少しも変ってはいなかったが、その夜の気持は、いつもと少し変っていた。もうあまり若くない自分。初めて、あせりのようなものを感じた。そして、もかしたら、夫に愛人がいるのではないか……などとさえ考えた。彼女は鏡にむかい、自分の顔と対話しているうちに、いつしかとめどない妄想が拡がっていく。そして夢幻の世界をさまよい、子供の頃の記憶がよみがえり、時に寓話の世界が現出する。その幻は、夫を誘惑するであろう色々のタイプの女性の姿をとるときもある。それは残酷で脅迫的だったり、あるものは、荒唐無稽だったり、異常ですらあった。そして、ふとわれにかえる時、夫への疑惑は耐え難いほどにふくれ上り、心の傷はますます深くなっていった。彼女は心霊術師を訪ねて悩みをうちあけ、興信所に夫の素行調査をたのんだりした。一方彼女は、女ともだちのスージイを訪ね、男性遍歴が生き甲斐だという彼女から、浮気のお膳立てを、ととのえてもらったりした。しかし、浮気のできるジュリエッタではない。興信所の調査で、夫の不貞の証拠をみせられたジュリエッタは、完全に見捨てられたことを感じた。彼女にとっては、夫の愛がすべてだったのだから。夫が出張で出かける日、ジュリエッタは涙をいっぱいうかべて、見送った。これが最後かもしれない。ジュリエッタは再び幻想の世界へ入る。しかし誰も彼女を救ってくれはしない。そして幻との対話をやめた時、傷ついたジュリエッタの心の中に、かすかな希望がよみがえってくるのだった。
「魂のジュリエッタ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「魂のジュリエッタ」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | イタリア |
製作年 | 1964 |
公開年月日 | 1966年11月19日 |
上映時間 | 138分 |
製作会社 | チネリス |
配給 | 東和=ATG |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1966年11月上旬号 | 新作グラビア 魂のジュリエッタ |
1966年11月下旬号 |
日本映画紹介 けんかえれじい 旬報試写室 魂のジュリエッタ 外国映画紹介 魂のジュリエッタ |
1967年1月上旬新年特別号 |
旬報試写室 続 黄金の七人 レインボー作戦 外国映画紹介 続 黄金の七人レインボー作戦 日本映画批評 けんかえれじい 新作グラビア 夕陽のガンマン 外国映画批評 魂のジュリエッタ |