解説
ジェラール・ウーリー、マルセル・ジュリアン、ダニエル・トンプソンのシナリオを、「大追跡」「大進撃」のジェラール・ウーリーが監督したコミカル・アクション。撮影はウラジミール・イバノフ、音楽はジョルジュ・ドルリューが担当した。出演は「素敵な年頃」のデイヴィッド・ニーヴン、「オー!」のジャン・ポール・ベルモンド、「モンテカルロ・ラリー」のアンドレ・ブールビル、「マッケンナの黄金」のイーライ・ウォラックほか。製作はアラン・ポワレ。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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89bubble93
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ミャーノフ大佐
列車強盗の筋がピーター・イェーツの「大列車強盗団」と同じなので、これって本当にあった話?と思って調べたら、イギリスで実際にあった話とのことだ。その実話を元にして、話を作り上げていく。映画の最初からコメディタッチで描かれている。映画のタイトル「大頭脳」(原題:The Brain)で何のことかと思うと、イギリスで犯罪を犯したマシューズ大佐(デヴィッド・ニーヴン)が天才なので脳が重い、という意味らしい。フランスのコメディによくある終始ドタバタの映画ではないけど、ちょっとドタバタ感を出しつつ面白く描いている。このくらいのドタバタ感なら許せるかな。映画はイギリスの泥棒、フランスの泥棒、そしてイタリアのマフィアが出てくるので3カ国語映画だけど、英語とイタリア語はフランス語の字幕が出るのでフランス映画でしょう。他愛ない映画なので軽く楽しめば良い。
映画の出だし、フランスのパリ?の街頭の風景や人々のファッションがいかにもあの時代らしくて、ああ、あの頃ね、と思わせてくれる。ジャン=ポール・ベルモンドはアクションは全て自分で演じている、というので、アパートの5階までよじ登るのは本当にやっているんでしょう。さすがに列車のシーンは違うよな。フランスのアパート、高級アパートなんだけど、当時は割と安普請なんだな。上の階の音が簡単に舌に響いたりしている。
特に取り立ててはないんだけど、ベルモンドの相方アナトール(ブールヴィル)のとぼけた演技が面白く、この映画をより楽しませてくれた。
「大頭脳」のストーリー
グラスゴーとロンドン間の列車強盗事件の首謀者ブレイン(D・ニブン)のことが、センセーショナルに報道されているパリ。タクシーの運転手アナトール(アンドレ・ブールビル)は、かつての相棒アルトゥール(J・P・ベルモンド)を、刑期満了の四日前に脱獄させた。というのは二日後には、一世一代の大仕事が待っていたからだ。その仕事というのは、NATOが、パリからブリュセルへ運ぶ秘密軍事資金をいただこうというのだ。ところがなんと、ブレインも、その資金を狙っていた。彼は、その名も頭脳というほどのキレ者。自らの脳ミソの重さで、時々、首が曲がってしまうくらいである。この二組が、同じ日、同じ時間、同じ場所で列車襲撃を計画したのだから、これはまた、なんたる偶然。しかも、かつてブレインの共犯者でシシリーのマフィアのボス、スキャナピエコ(I・ウォーラック)も加わった。彼にはソフィアという美しい妹があり、彼女を病的なほどに愛している。その彼女にブレインが恋をしてしまったのを知り、嫉妬心も手伝って、ブレインに一杯喰わそうという算段だ。さて決行の日。まず、金袋はアナトールとアルトゥール組の手に渡った。だがそこはチンピラの悲しさ、ブレインの頭脳にはかなわない。かくして大金は、パリからベルギーへ、さらにロンドンからシシリーを通ってニューヨークまで行ってしまった。大西洋上の豪華船の船上に札束は舞い、すべて元の木阿弥。三巴の勝負は引き分けとなった。しかしながらブレインはアナトールとアルトゥールの敵ながら、あっぱれの働きに目を細め、次の大仕事には手を組もうと持ちかけるのだった。
「大頭脳」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「大頭脳」のスペック
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