解説
2人のどうしようもない中年男の日常を通じて、人間の聖性と俗性を静かに見つめた一作。「人生は長く静かな河」などで知られるフランスの中堅俳優パトリック・ブシテーが、監督・脚本・出演の3役をこなした処女長編。94年3月に他界したビート作家チャールズ・ブコウスキーの短編小説『人魚との交尾』(新潮社『町でいちばんの美女』に所収)を元にブシテーが90年に映画化した短編(長編と同題)がリュック・ベッソンの目に止まり、長編に再映画化するにあたって別の短編小説『バッテリーの故障』のエッセンスも取り入れた。製作はベッソンとアンドレ・マルティネス。脚本はブシテーとジャッキー・ベロワイエ。撮影はジャン・ジャック・ブオン、音楽はディディエ・ロックウッドで、プロコル・ハルム、ジミ・ヘンドリックス、キンクスの曲が全編に流れる。共演は「パッション(1982)」のジャン・フランソワ・ステヴナンほか。
ユーザーレビュー
「つめたく冷えた月」のストーリー
デデ(パトリック・ブシテー)とシモン(ジャン・フランソワ・ステヴナン)はともに40歳になろうとしているのに、いまだに不良少年のような生活を送っている。定職にも就かず妹夫婦の家に転がり込み、ジミ・ヘンのギターとアメリカにいかれている脳天気なデデ。夜勤の職にこそ就いているが昼間はデデとつるんで酔っぱらっている寡黙で内気なシモン。2人の性格は正反対だが、なぜかうまがあう。酔っぱらい、女をからかい、ケンカをし、娼婦と抱き合う馬鹿騒ぎの毎日に、シモンは小さな不安を覚える。実は彼らには人に言えない秘密があった……。彼らにはある夜、病院から若い女の死体を盗んで交代で死姦をしたという過去があった。だが、シモンは哀れで美しい死体に恋してしまう。彼らは月光の輝く海に死体を運び、シモンは彼女を抱えて波間に流す。一瞬、彼には人魚になった彼女が見えた気がした。
「つめたく冷えた月」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「つめたく冷えた月」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 1991 |
公開年月日 | 1994年4月16日 |
製作会社 | レ・フィルム・デュ・ドーファン=ステューディオ・ラバボ |
配給 | 巴里映画=ギャガ |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | モノクロ/ビスタ |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1994年5月上旬号 | グラビア 《New Release》(新作映画紹介) つめたく冷えた月 |
1994年5月下旬号 | KINEJUN CRITIQUE つめたく冷えた月 |
1994年6月下旬号 | 外国映画紹介 つめたく冷えた月 |