解説
長髪に膝の抜けたズボン、一見刑事には見えないが実は蟷螂拳の名手という異色刑事と聾唖者の娘の人間的な絆を通して、男のやさしさを描く。片山蒼(武田鉄矢のペンネーム=サンリオ刊)の原作を「新宿馬鹿物語」の渡辺祐介と武田自身が脚本化、監督は渡辺祐介、撮影はTV出身の矢田行男がそれぞれ担当。
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「刑事物語」のストーリー
七月、山笠祭りの暑い夜、博多署はあるソープランドを管理売春の容疑で不意打ち捜査した。刑事の片山元はそこで聾唖者の風俗嬢三沢ひさ子と出会った。翌朝、ガサ入れ失敗をマスコミは書きたてた。そのとばっちりが片山にまわってきて、沼津転勤が決まった。東京行きのブルートレインに片山とひさ子が乗っていた。ひさ子の悲惨な過去に同情した片山が身柄を引き取ったのだ。二人は兄妹ということで、市内の花園荘に住むことになった。そんな二人をじっと見ている二人がいた。村上努と秋吉一人だった。片山は早速、南沼津署に出勤し、連続殺人事件班に組み入れられた。ある日、信用金庫で強盗事件が起きた。片山は得意の蟷螂拳で犯人を取り押さえ、その男が連続殺人事件と繋がっていることをつきとめた。男は女性を売春組織に送り込む周旋屋だったのだ。さらに片山は九州時代の知り合いの老ヤクザ工藤からソープランドを根城にした大がかりな売春ルートの情報を入手、捜査班はソープランド「徳川」への強制捜査に踏み切った。だが、片山はそこで、重要参考人のクリーニング店「白美社」の店員を死亡させるというミスを犯してしまった。ひさ子の様子が変わったのはその頃だった。片山の問いに彼女は「スキナヒトガイル」と答えた。ひさ子に指一本ふれていない片山はショックだった。ある夜、片山は正体不明の三人組に襲われ、工藤の勧めで沢木と共にひさ子の身辺を見張ることにした。二日目、「白美社」の車が花園荘に近づき、ひさ子を連れ去った。売春組織の元締めである「白美社」が口封じのため、不要になった女たちを次々に殺していった。それが連続殺人事件の真相だった。怒った片山は組織の巣窟である「白美社」に乗り込み、一味の黒幕・秋吉と対峙、大乱闘の末一味全員を逮捕した。翌日、刑事課の喜びとは別に、威嚇とはいえ秋吉相手に実弾六発を射った片山はまたも転勤を命じられた。今度は青森である。片山と入れ替えに、北海道から三上刑事が沼津署にやってきた。表に出た片山を待っていたのは、ひさ子と村上努という、ひさ子と同じ境遇の工員だった。奈落から救ってくれた片山に感謝しつつも、懸命に逆境に生きる村上を愛さずにはいられなかったのだ。村上は、ひさ子を倖せにすると約束し、片山に許しをこうのだった。数日後、上野駅から一人淋しく青森行きの夜行列車に乗り込む片山の姿があった。
「刑事物語」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「刑事物語」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1982 |
公開年月日 | 1982年4月17日 |
上映時間 | 110分 |
製作会社 | キネマ旬報社 |
配給 | 東宝 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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