解説
南紀・白浜の別荘でおきた殺人事件をもとに、女の愛憎のドラマを描く。アガサ・クリスティー原作「ホロー荘の殺人」の映画化で、脚本は竹内銃一郎と「ねずみ小僧怪盗伝」の古田求の共同執筆。監督は同作の野村芳太郎、撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
ネットで調べると野村芳太郎の最後の監督作品らしい。といっても製作は彼がまだ60代中盤だから、まだまだ頑張れる年だ。野村芳太郎は1970年代中盤から松竹の中で巨匠の部類に入ってきて、なかなか力のある作品を作り続けてきた。その野村芳太郎がこんな映画かよ。2時間単発テレビドラマじゃないかよ。それも中程度の質の。
役者もかなり豪華に揃えていて、出演料だけでかなりお金かけているのに。小沢栄太郎なんか、こんな誰でも出来るような役ではなく、もっとアクのある役にすれば良かったのに。もったいない。日色ともゑや加藤嘉なんかももったいない使い方しているよなあ。大竹しのぶがいくら頑張ってもなあ。
大体、事件の凶器となるピストルがモデルガンも含めて小さい子どもが収集している、というところから無理があるよな。そして改造拳銃を簡単に子どもに渡す、というのも、よくこんな脚本書くな。映画の出だしからこんなんだから、トイレの個室にモデルガンを忘れて、それをその個室に入った人に取ってもらうなんて、もう、そこで事件でしょうが。ミステリーの解き明かしも不十分だし、動機も良くわからない。そんなことで殺すの?と。藤真利子の登場もとってつけたようだし。その後もあんまり話に絡んでこないし。せめておっぱいくらい見せてくれれば良かったのに。バーで歌う場面も不自然だし。
北林谷栄さんだけが元気で良い演技を魅せてくれたことが救いかな。彼女はおばあさんの役しか知らないので、こんな若く元気な役は初めてかもしれない。
「危険な女たち」のストーリー
南紀・白浜の絹村健一郎の別荘。健一郎の妻ハナは朝からジッとしていられなかった。今日から三日間、ハナが子供の頃から可愛がっていた藤井冴子、水野美智子、升森弘、また、健一郎の病院の院長代行の棚瀬秀雄・紀子夫妻が別荘に滞在するからだ。隣の別荘の住人でミステリー作家の枇杷坂周平と小児端息の療養のため、別荘に来ている棚瀬夫妻の息子・守も加わってにぎやかに夜会が始まった。枇杷坂が帰った後、最近落ち目の歌手、橋まゆみという女性が鉢植えを手に現われた。自分の借りた別荘の電気がつかなくて困っているという。彼女を見て秀雄は驚いた。二人は十年前恋人同士だったのだ。そして、秀雄が別荘の電気の具合を見に行くことになった。それぞれの部屋に皆が引きあげたあと、弘は水割りを飲んでいた。彼はまゆみが現われる直前、秀雄と冴子が抱き合っているのを見てしまった。弘は冴子に結婚を申し込んで断わられていたのだ。現われた美智子に、彼は突然結婚を申し込む。弘を愛していた美智子はヤケ酒の勢いでプロポーズされて悲しかった。久久の逢瀬から秀雄がもどったのは、皆が寝静まった深夜だった。常に彼に対し献身的で従順な紀子は、夫に、不満も言わず眠ってしまう。翌朝、皆は海へ釣りに出かけた。それぞれの場所で釣りを楽しんでいる時、一発の銃声が響きわたった。その音で集まってきた皆が見たのは、血を流して倒れている秀雄とその傍で拳銃を握り、ぼう然と立ちつくしている紀子の姿だった。秀雄は「冴子……」と言うなり、息絶えた。警察の捜査が始まり、訪ねてきた堂園警部に、ハナは不器用な紀子にあんなことができるわけがないと告げる。紀子も何となく傍に落ちていた拳銃を拾ってしまったと答えた。冴子が海中に投げ捨てた拳銃が発見された。が、それはモデルガンで、捜査の目は他の人間にも向けられるようになる。枇杷坂はこの事件をもとに小説を書き始めた。数日後、冴子、美智子、弘、紀子は別荘を後に帰宅した。枇杷坂は書きあげた小説をハナに読んでもらおうと別荘を訪ねる。それを読んだハナは震えた。ハナからの電話で事の仔細を知った冴子は紀子を訪ねた。そして、枇杷坂の小説のこと、秀雄が撃たれた時、紀子が拳銃を岩陰に隠すのを見て、二つの拳銃のトリックに気がついたことを告げる。紀子は秀雄がまゆみのことで自分を裏切ったから殺したのだと告白した。その晩、冴子が帰宅すると紀子が待っていた。彼女は秀雄の持っていた合鍵で部屋に入ったのだ。紀子は秀雄が最後に冴子の名を呼んだのは、冴子を愛していたからだと慟哭する。そこに杷枕坂が訪ねてきた。冴子の言葉で、秀雄に一番愛されていたのは自分だと気づいた紀子は毒の入ったコーヒーを飲みほし、その場で絶命した。
「危険な女たち」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「危険な女たち」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ サスペンス・ミステリー |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1985 |
公開年月日 | 1985年5月25日 |
上映時間 | 122分 |
製作会社 | 松竹=クラップボード |
配給 | 松竹 |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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