解説
藤原惟二監督の昇進第一回作品。魔子を中心としたズベ公たちの自由で衝動的な行動を描く。脚本は黒木三郎と藤井鷹史。撮影は「流血の抗争」の山崎善行がそれぞれ担当。なお、「八月の濡れた砂」と共に、この作品は、日活がダイニチ映配に提供する最後の作品になる。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
珍しいダイニチ映配のオープニングロゴで始まった。
1971年の映画で、当時のダンスホールを撮していて、若者達がキレキレのダンスを踊っている。なかでも夏純子はキレッキレであんなに激しく踊っていたら脳震盪で倒れちゃうんじゃないかと思ってしまうほど頭を振り回していた。
藤竜也と宍戸錠がクレジットに出ていて、藤竜也はすぐに魔子(夏純子)の兄の田辺役として登場してくるけど、宍戸錠がなかなか出てこない。で、見進めるうちに兄の田辺が所属する安岡組の組長として出てくる。迫力ネー。小野寺昭がチンピラの役で、映画の中で大事な役を演じている。あんまり上手いとは言えないけど。
映画のストーリーは刹那的に生きている若い女性グループ(バックに安岡組がついている)と、チンピラの男達のグループがいて、2つのグループが最初は対立していたが、そのうち仲良くなり、安岡組を裏切ろうとする。だまし合いと裏切りと当時の時代の刹那性を描いているのは、やっぱり脚本の長谷部安春の味が出ているのであろうか。
カメラも渋谷の町中を手持ちで撮っている。下手くそな映画なりにストーリーはきちんとしている。
主演の夏純子さんて、ウェキおじさんによると若松孝二の「犯された白衣」と「続日本暗黒暴行史 暴虐魔」に出ていたんだって。両方とも見ているけど、こんなきれいな人出ていたかなあ。
この映画が日活の一般映画の最後の作品と言うこと(以後日活ロマンポルノに切り替わる)だけど、まだ、宍戸錠や藤竜也はいたんだ。この映画の併映があの名作、藤田敏八の「八月の濡れた砂」なんだね。
「不良少女魔子」のストーリー
この町を仕切る安岡組に籍を置く兄貴田辺の顔もあって、魔子は、ユリ、春美、カズミ、早苗などを引き連れて相手かまわず吊し上げてその日を送っていた。ある日、魔子たちは、ゴーゴークラブで、秀夫、徹、洋次、サブたちのグループに近ずき、秀夫を表に連れだし脅迫した。翌日、この決着をつけるために、秀夫たちは魔子を捕らえ、彼らのアジトである自動車修理工場に連れ込んだ。しかし、秀夫は全裸にした魔子をだまって見逃した。魔子が秀夫たちにさらわれたと聞いた田辺たち安岡組組員たちは、洋次の足を刺した。秀夫は、安岡組への復讐のため組の資金源である売春婦をさらい、さらにマリワナを横取りした。そのため、嫌疑は、マリワナの運び屋をしている魔子にかかり、安岡組のリンチによって、魔子は仕方なく秀夫たちのしわざだと口を割ってしまった。その結果、マリワナを金に替えるために町にやってきた秀夫と徹は捕えられ、魔子たちと同じように、マリワナの運び屋をすれば今までのことは水に流してやると脅され、徹はこの脅しに屈服した。秀夫たちは、仲間を裏切った徹をグループからはずし魔子たちを連れて町を去り、近くのキャンプ場にアジトを作って、安岡組への対抗計画を練った。そして、マリワナを安岡組へ流している外国人を襲撃したが、徹の口からアジトがばれてしまい、秀夫の留守に組員たちによって女たちは手ごめにされ、ナナが殺されてしまった。さらに数日後、秀夫も殺されてしまった。魔子は、暴力団に身を売り、かつての仲間を死に追いやった徹に激しい怒りを覚えた。異常な眼つきで徹を捜し歩く魔子の姿を見た兄田辺は、これ以上組にたてついても無駄だと説得したが、魔子の気持は変らなかった。争いの末、魔子は田辺の匕首を奪い刺してしまった。田辺は魔子の名前を呼びながら静かに息を引きとった。翌日、プールサイドでマリワナをさばいている徹の背後にナイフをかくし持った魔子の姿があった。
「不良少女魔子」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「不良少女魔子」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1971 |
公開年月日 | 1971年8月25日 |
上映時間 | 83分 |
製作会社 | 日活 |
配給 | ダイニチ映配 |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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