座頭市物語
ざとういちものがたり Life and Opinion of Masseur Ichi
解説
子母沢寛の随筆集「ふところ手帖」から「色の道教えます 夢三夜」の犬塚稔が脚色、「銭形平次捕物控 美人蜘蛛」の三隅研次が監督した遊侠もの。撮影は「蝙蝠屋敷」の牧浦地志。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
まずは三隅ワールドへようこそ。これまで観た座頭市映画と違って、正統派時代劇の味がする。三隅監督は見る度に新しい映像を見せてくれる。今回の映画も構図も決まっているし、効果音などを廃して静かな映像にしている。例えば、座頭市と平手造酒(天知茂)が二人並んで釣りをするシーン、鳥のさえずりなど池の周りの音だけでそのほかの音、会話もなく続いていく。最後の決闘のシーンも効果音を全く入れていない。助五郎一家と繁造一家の出入りシーンは集団時代劇の名シーンと言っても良いだろう。三隅監督は正統派時代劇としてこの映画を作りたかったのだろうな。ちょっとドキュメンタリータッチのシーンもあった。
設定が飯岡助五郎や平手造酒、笹川繁造など実在した人物、舞台を設定しながら、そこに座頭市を絡ませてくる。天保水滸伝の話だ。そして飯岡助五郎も笹川繁造も小悪党として描いている。普通の映画ならどちらかを義侠心に富む人物として描くが、この映画はヤクザのくだらなさを描いている。そして平手造酒、かっこよく肺病で酒飲みとして描いている。座頭市と平手造酒の交流も面白い。
平手造酒役の天知茂がすごかったなあ。鬼気迫るところがある。「東海道四谷怪談」の伊右衛門と並ぶんじゃないかと思うくらい良かった。勝新を喰っていた。万里昌代さん、やっぱりきれいだ。役者で残っていてほしかったなあ。
「座頭市物語」のストーリー
下総飯岡の貸元助五郎の所へ草鞋を脱いだ異風なやくざは、坊主で盲目で人呼んで座頭市。ツボ振りでも居合抜きでも目明きの及ばぬ市の腕を見込んだ助五郎は、彼を客分扱いにし乾分蓼吉を世話係につけた。やくざ嫌いでやくざの飯を食う市は、釣で逢った病身の浪人平手造酒と心をふれ合う思いをしたが、その造酒は助五郎とは犬猿の仲の笹川親分の食客となった。助五郎は新興勢力の笹川一家を叩き潰す機会を狙っているが、その時は市と造酒の面白い勝負が見られると乾分たちにうそぶいた。その頃、身投げしたか落されたか蓼吉の女お咲が水死体となって溜池に浮かんだ。何気なくそこを訪れた市は再び造酒と逢い、その夜二人は酒をくみかわした。お互いに相手の剣に興味を持ったが、やくざの喧嘩に巻込まれて斬り合うのは御免だと笑い合った。この時造酒を訪れた笹川の繁造は、市が飯岡の客分と知り乾分に市を斬るよう命じた。帰り途、市を襲った乾分は市の刀に一たまりもなかった。市の腕前に驚いた繁造は、造酒に喧嘩の助勢を頼んだが造酒は頭から断った。一方、市は昨夜の答礼に酒を贈ろうと思い蓼吉にその使いを頼んだが、代りに行った弟分の猪助は間もなく無惨な死体となって飯岡の鉄火場で発見された。笹川は、この機会を利用して喧嘩を売る決意をしたがそんな時、造酒が血を吐いて倒れてしまった。それを知った助五郎は好機到来とばかり喧嘩支度にかかった。笹川の繁造は、飯岡勢を笹川宿場の迷路へさそい込み座頭市は鉄砲でうちとる策略を立てた。それを知った病床の造酒は鉄砲をうつことだけはやめてくれ、その代り自分が働くと繁造に頼むのだった。そこへ造酒を訪ねた市は、彼が友情のため死を決して喧嘩に加わったことを知った。笹川の作戦は功を奏し飯岡方は苦戦に陥った。血をはきながら斬りまくる造酒。その行手には座頭市が立っていた。ついに二人の宿命的な対決の時が来たのであった。座頭市の剣に造酒は倒れた。そしてこれに勢いづいた飯岡勢が勝利することとなった。市は造酒の弔いを寺の小僧に頼む。そして仕込み杖も一緒に埋めさせるのだった。市を慕うおたねは川沿いの道で彼を待っていたが、市は裏道を独り下総を去っていくのだった。
「座頭市物語」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「座頭市物語」のスペック
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