解説
子母沢寛の原作を、「赤い天使」の笠原良三が脚色、「殺人者」の安田公義が監督した“座頭市”シリーズ第十五作目。撮影は「兵隊やくざ大脱走」の武田千吉郎。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
いやぁ、やっぱり座頭市映画は楽しい。座頭市映画はどれをとっても面白い。座頭市映画は、大体、北関東を舞台にしているが、今回は足利。
座頭市の出身は千葉の笠間(映画では)となっている。そういえば木枯し紋次郎は上州新田郡の出身。北関東はヤクザの出身地か。(そういえば、映画「暴力の街」の舞台は埼玉の本庄市で、北関東は荒くれ者たちの多い地域、となっていた。)
今回は、座頭市の仕込杖がピンチ。それを助けるのが刀鍛冶の東野英治郎。東野英治郎は悪役かと思っていたら、良い役でした。座頭市は関八州のお役人も相手に大活劇。いや、それはちょっと、というシーンもご愛敬で、それでこの映画が崩れることはない。最後の大立ち回りで何人殺しているのでしょう。50人くらいはゆうに殺しているのでは。
この頃の邦画は2本立てで、併映は「陸軍中野学校 竜三号指令」だって。勝新と雷蔵の2本立てなんて、なんて贅沢な組み合わせだ。
「座頭市鉄火旅」のストーリー
行方定めぬ旅の途中、座頭市は偶然、何者かに斬られた足利の親分庄太郎の最期を看取り、旅芸人の一行と共に足利にやってきた。庄太郎亡きあと、県の岩五郎の暴虐に足利の人は難渋していたが、市は岩五郎の賭場に現われ、イカサマの裏をかいて大金をせしめた。ただでは帰さぬと追う子分を見事な居合で斬った市は、居合わせた鍛冶屋の仙造の世話になることにした。元刀工の仙造は市の刀が師匠の作であること、そして刀の寿命が尽きていることを告げた。市は愕然とした。自分の命を守ってきた仕込みが、すでに折れかかっているというからだ。これを機会に堅気になれという仙造の勧めどおり、市は旅篭下野屋で働くことになった。そこには庄太郎の息子清吉と姉のお志津がいたが、実はお志津は仙造の実の娘で、庄太郎の養女だったのである。そのお志津に好色な関八州見廻役桑山が目をつけ、お志津の望みである庄太郎一家の再興を餌に近づいてきた。一方、仙造は一世一代の名刀を作ることを悲願に、二十年ぶりに鋼を鍛えていたが、桑山はそれにも目をつけ、岩五郎に密かに狙わせていた。ある日、岩五郎の子分は仙造を殺し刀を奪っていってしまった。そのうえ、庄太郎一家を再興されては困る岩五郎は、清吉をも殺してしまった。しかも、お志津は桑山の許に連れていかれた。市は仙造の家に預けてあった仕込みを手にすると、桑山の屋敷に駈けつけ、桑山を斬ってお志津を救い出したが、その時、仙造が殺される前に、新刀を市の仕込みにすり替えていたのを知った。市は亡き仙造の心に感謝し、待ち受けるやくざ共を斬りまくり、岩五郎をも斬った。翌朝、誰にも告げずに、再び旅に発った市の手には、新刀の仕込みが握られていたのである。
「座頭市鉄火旅」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「座頭市鉄火旅」のスペック
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