「くたばれヤンキース」のストーリー
野球狂の実業家ジョー・ボイド(ボブ・シェイファー)は大のワシントン・セネタースのファンである。今日もニューヨーク・ヤンキースにごひいきチームが負けそうなのをテレビで見て、気がきではない。妻メグの心配をよそに、「俺がホームラン王になれたらなあ、たとえ魂を売っても…」と1人ごとを言った。すると悪魔のアプルゲイト(レイ・ウォルストン)が忽然と登場した。ヤンキースの馬鹿げた強さに反感をもつこの悪魔は、ジョーを中年から青年にもどして、ホームラン王にしてやろうというのだ。9月24日に彼が望めば元の姿にもどれるとういう条件つきで、若返ったジョーは名もジョー・ハーディ(タブ・ハンター)と改めて、たちまちセネタースと契約した。彼の猛打によってセネタースは全勝への道を突進して、ヤンキースをおびやかすようになった。しかし、球場ではヒーローになったジョーも、家庭をもたぬ淋しさから、元の自分の家に下宿して、妻と話をするのを楽しみにした。この契約違反に怒ったアプルゲイトは、179歳の妖女ローラ(グウェン・ヴァードン)を美しい娘にしてジョーを誘惑させた。ところがローラはかえってジョーにすっかり参ってしまった。ますます怒ったアプルゲイトは約束の条件により9月24日深夜にジョーを元にもどすと宣言した。ところが、その翌日の25日の試合に勝てば、セネタースは優勝する機運にあるのだ。ローラはアプルゲイトに睡眠剤をのませるというトリックを用いた。アプルゲイトが眼を覚した時、試合は9回の裏、1対0でセネタースがヤンキースをリード中だった。ヤンキース打手がフライを放ち、ジョーがバックした瞬間、アプルゲイトがジョーを元の中年にもどした。しかし、変った肉体条件によろめきながら、ジョーの一心は球を見事にキャッチした。セネタース優勝決定の一瞬、顔をかくすようにしたジョーはダッグアウトから姿を消した。久しぶりの夫をメグは喜んで迎えた。悪魔のアプルゲイトが、またジョーを栄光の世界にさそいにきたが、しっかり抱きあった2人の姿には、退散のほかなかった。