解説
写真集出版の準備を進める写真家が回想する、亡き妻との日々を綴った純愛ドラマ。監督は「119」の竹中直人。写真家・荒木経惟とその妻・陽子による写真&エッセイ集『東京日和』をベースに、岩松了が脚本を執筆。撮影を「大統領のクリスマスツリー」の佐々木原保志が担当している。主演は「HAPPY PEOPLE」の竹中直人と「Love Letter」の中山美穂。97年度キネマ旬報ベスト・テン第9位。
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「東京日和」のストーリー
亡き妻・ヨーコに捧げる写真集の出版の準備をしている写真家・島津巳喜男は、在りし日のヨーコのことを想い出していた。だが、甦ってくるのはふたりにとって最悪の日々だった頃のことばかりである。まず想い出されるのは、ホームパーティの時にヨーコが客である水谷の名前を呼び間違えたことを気に病んで、勤め先には巳喜男が交通事故で入院したと嘘をつき、3日間家を飛び出してしまったことだった。巳喜男は心配してあちこちを探し歩いたが、彼の気持ちをよそに、ヨーコはふらりと家に戻ってくる。どことなく当たり前の夫婦のように振る舞えないふたりは、何気ないことで気づまりな思いをすることも多く、巳喜男は、優しすぎるとヨーコに責められることさえあった。ある時のヨーコは、同じマンションに住むカギっ子の少年に自分のことをおばあちゃんと呼ばせた上、彼に女の子の恰好をさせようとする。また、実際は飛んでいない蚊が自分の周りを飛ぶように感じる飛蚊症を患ったりもした。しかし、嫌なことばかりではない。ジョギングの最中に偶然見つけたピアノ型の大きな石で、ともに雨に打たれながらピアノ演奏ごっこに興じたこともあれば、東京駅のステーションホテルで恋人同士のようなデートをしたこともあった。だが一方で、会社の無断欠勤が続いたり、カギっ子少年を遅くまで連れ出して騒動を起こしたりの奇行が増えたことも事実である。結婚記念日に出かけた福岡の柳川では、新婚旅行と同じ旅館に泊まり、川下りを満喫したかと思えば、またも突然行方をくらませたりして、そのたびに巳喜男を心配させた。旅行から帰った翌日、猫をもらう約束をしたヨーコは、待ち合わせに向かう途中で車に跳ねられ骨折してしまう。だが、そんなヨーコが巻き起こした事件のひとつひとつが、今の巳喜男の仕事に大きな影響を与えていたのだ。回想にふける巳喜男は、あの時、水谷の名を呼び間違えた原因を今さらに発見して、あふれる涙をこらえ切れなくなった。巳喜男は、自分の写真人生がヨーコとの出会いから始まったことを改めて感じている。
「東京日和」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「東京日和」のスペック
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