浮き雲(1996)
うきぐも Kauas pilvet karkaavat/Drifting Clouds- 上映日
- 1997年7月19日
- 製作国
- フィンランド
- 制作年
- 1996
- 上映時間
- 96分
- レーティング
- 一般映画
- ジャンル
- ドラマ
解説
失職した夫婦が苦節の末、希望を見いだすまでを、簡潔ながら豊かなタッチで描いた一編。監督・製作・脚本・編集は、「マッチ工場の少女」「愛しのタチアナ」などのフィンランドの異才、アキ・カウリスマキ。撮影のティモ・サルミネン、美術のマルック・ペティレとユッカ・サルミ、録音のヨウコ・ルッメ、衣裳のトゥーラ・ヒルカモらはカウリスマキ組の常連。出演も、カティ・オウティネン(「マッチ工場の少女」)、カリ・ヴァーナネン(「ラヴィ・ド・ボエーム」)ほかカウリスマキ組の常連。なお、本作は、前作までカウリスマキ作品の顔だったマッティ・ペロンパー(95年死去、本作ではポートレートの写真で特別出演)に捧げられている。97年キネマ旬報外国映画ベスト・テン第3位。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
-
ミャーノフ大佐
アキ・カウリスマキしては珍しいストーリーテイリングな作品だった。この映画も公開時に観ていた。
市電の運転手をしている夫のラウリとレストランの給仕長をしているイロナ(カティ・オウティネン)の夫婦が、ローンでテレビを買って、これからもこの生活が続くかと思ったら、ラウリが首になり、イロナも会社がなくなって失業し、収入の手段がなくなってしまった。そこから働こうといろいろ職探しをするがなかなか上手くいかず、自分たちで店を開こうと車を売ったが、その金を増やそうとしてギャンブルで負けて一文無しに。しかしやる気のあるイロナは、前のレストランのオーナーに勧められて昔の仲間を集めてレストランを開く。
展開は面白い。カウリスマキらしいだんだんドツボにはまっていく描き方は上手い。そして最後の大逆転は話がうますぎるけど、カタルシスは味わえる。まあ、ちょっとできすぎと言う感も拭えないけど。ウェキおじさんによると、1995,6年当時、フィンランドは通貨危機で不況の真っ最中だったそうだ。だから、みんなに希望を持ってもらおうとこんな展開にしたのかな。ラストのシーン、あれはやりすぎかな。ちょっとカウリスマキらしからぬカットだ。そんな普通のメロドラマにしなくても良いのに。
常連のカティ・オウティネンが妻役で出ている。いつも思うのだが、ちっともきれいじゃないのに出てくるね。それとラストのエンドクレジットの最初にマッティ・ペロンパーの名前が出てくる。おそらくは追悼の言葉が入っているのだろうけど、フィンランド語で判らない。ウェキおじさんは彼に捧ぐと出ていたと言ってます。彼が生きていたらどの役をやっていたろうなあ。
「浮き雲(1996)」のストーリー
ヘルシンキ。かつての名門レストラン”ドゥブロヴニク”で給仕長をつとめるイロナ(カティ・オウティネン)と、市長の運転手ラウリ(カリ・ヴァーナネン)の夫婦は、慎ましくも幸せな生活を送っていた。ある日。ラウリは不況のため、リストラの憂き目に。妻にもいえないまま退職を迎え、酒の力でようやく告白できたはいいが、今度は再就職もままならず、酒を飲んでいるだけの日々に。一方、”ドゥブヴロニク”も大手チェーン店に乗っ取られた。オーナーのスヨホルム夫人(エリナ・ロサ)はイロナを呼び、自体を告げたうえで、新しい店ではそのチェーンで教育された人員を雇うのだと語る。イロナも職探しの毎日に。一方、ラウリは新しい仕事、長距離観光バスの運転手に雇われることが決まった。ところが、健康診断で片耳に異常が見つかり、職どころか運転免許まで取り消され、彼はショックのあまり卒倒。イロナも、やっと見つけた安食堂の仕事が、不正なオーナー、フォルストロム(マッティ・オンニスマー)のおかげで、資金もまともに払われずじまい。怒ったラウリは殴り込むが、逆に袋叩きにされ、ようやくアパートに帰ってみれば、家財道具は運び込まれている始末。二人は”ドゥブロヴニク”のイロナの同僚メラルティン(サカリ・クオスマネン)の提案で、もう一度レストランに挑戦してみることにした。だが、資金作りのために一攫千金と挑んだギャンブルで二人は全財産をスッて、アパートも手放す羽目に。そんな折、偶然、スヨホルム夫人に再会。再出発を掛ける彼女は資金援助を申し出た。かつてのイロナの同僚が集められ、ラウリはマネージャーに。かくしてようやく、二人の”レストラン・ワーク”が誕生。いよいよ開店の日。はじめは来なかったお客も、ひとり、また一人とやって来た。休憩時間。ようやく希望を見出したイロナとラウリは浮き雲を幸せそうに見上げた。
「浮き雲(1996)」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「浮き雲(1996)」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | フィンランド |
製作年 | 1996 |
公開年月日 | 1997年7月19日 |
上映時間 | 96分 |
製作会社 | スプートニク・オイ作品 |
配給 | ユーロスペース |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | ドルビー |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1997年7月下旬号 | COMING SOON【新作紹介】 浮き雲 |
1997年8月上旬号 |
特集 浮き雲 作品評 特集 浮き雲 アキ・カウリスマキ監督論 |
1997年9月上旬号 | 外国映画紹介 浮き雲 |
1997年11月下旬号 | 劇場公開映画批評 浮き雲 |