解説
1987年に実際に起こった老女連続殺人事件を中心に、パリのなかでも人種と社会の坩堝である18区に生きる人々のそれぞれの孤独を描きだす群像劇。監督は「ベルリン・天使の詩」などヴィム・ヴェンダース監督の助監督を経て「ショコラ」で監督デビューを果たしたクレール・ドニ。製作はブリュノ・プズリー。脚本はドニとジャン=ポール・ファラゴーの共同。撮影は「ことの次第」「ベルリン・天使の詩」のアンリ・アルカンの撮影助手から独立したアニェス・ゴダール、音楽は歌手のジャン=ルイ・ミュラで、脚本段階からこの映画に参加し、エンド・クレジットの主題歌も歌っている。編集はネリー・ケッティエ。衣裳はクレール・フレース。出演は新人のリシャール・クルセ、『フュー・オブ・アス』(96年東京国際映画祭のヤングシネマ部門で上映)などリトアニアの監督シャルナス・バルタスの作品の常連カテリーナ・ゴルベヴァ、「女の復讐」「彼女たちの関係」のベアトリス・ダル、「時の翼にのって」のソルヴェイグ・ドマルタン。「アメリカの夜」「家庭」のダニ、「日曜日が待ち遠しい!」などの美術監督ヒルトン・マッコルニコがそれぞれ小さな役で顔を出している。94年カンヌ国際映画祭“ある視点”部門出品作品。
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「パリ、18区、夜。」のストーリー
ダイガ(カテリーナ・ゴルベヴァ)は叔母ミナ(イリーナ・グレビナ)を頼ってパリにやってきた。彼女は故郷リトアニアで会った演出家の口約束を信じて、パリで女優になる気でいる。叔母と同じアパートに住む老女が殺されていた。独り暮らしの老女を狙った連続殺人犯の新たな犠牲者だ。ジャズ・バイオリニストのテオ(アレックス・デスカス)の部屋には弟のカミーユが泊まっている。テオは妻子とマルティニクに移住したいと思っており、反対する妻のモナ(ベアトリス・ダル)は家出している。ゲイであるカミーユは衣装屋(ダニ)から服を調達し、仕事場のゲイバーで恋人のラファエル(ヴァンサン・デュポン)と落ち合う。ミナは友人でホテルを経営するニノン(リーヌ・ルノー)にダイガを紹介、彼女は当分そのホテルに住み込む。ホテルで彼女はカミーユとラファエルが愛し合うのを盗み見る。夜、カミーユはゲイバーのショーで歌う。テオの家では隣の夫婦喧嘩で幼い息子が眠れず、親子は屋上で星を見ながら眠る。そこに妻のモナも帰ってきた。二人はなんとか絆を取り戻そうとしているが、テオの考えにモナはどうしてもついていけない。病院でエイズ感染の診断を受けたカミーユは兄に相談にいくが、ちょうどモナの家族が来て口論の真っ最中、何も言えず去り、ゲイ・ディスコで見知らぬ男と踊る。ダイガは劇場に例の演出家を訪ねるが、空望みだったことを知る。カミーユとラファエルはある老女の住むアパートを襲い、彼女を殺して金を盗む。だがその被害者は死んではいなかった。車を売ろうとしたダイガはちょっとしたことから警察に連れていかれ、そこで老女連続殺人犯の似顔絵を見て、ホテルの同性愛カップルだと見抜く。カミーユは白人の医師(ロラン・グレヴィル)とも寝ており、ラファエルとの関係は微妙だ。ラファエルはカミーユが恐ろしくなって彼から逃げだそうとさえするが、引き止められる。二人は半ば自暴自棄に犯行を繰り返す。ある晩。街を彷徨うカミーユを警察がついに逮捕する。殺された老女たちの名を読み上げる刑事に、カミーユは無表情に次々と自分の犯行を認めた。モナがテオを訪ねるが、彼は警察に行って留守だった。警察ではテオとカミーユ兄弟の母が、カミーユにお前なんて生まなければよかったのに、と叫ぶ。カミーユは黙ったまま警官に連れていかれる。ホテルではダイガがカミーユたちの部屋に忍び込み、隠されていた金を盗んで旅立つ。
「パリ、18区、夜。」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「パリ、18区、夜。」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 1994 |
公開年月日 | 1997年3月22日 |
上映時間 | 109分 |
製作会社 | ブリュノ・プズリー作品 |
配給 | キネティック |
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