解説
アルツハイマーに冒された米在住の日本人女性と、アメリカ人男性との夫婦愛を描いたヒューマン・ドラマ。監督は、この作品で本編デビューを飾ったテレビ界出身の松井久子。吉目木晴彦の原作を基に、「午後の遺言状」の新藤兼人が脚色。撮影を「バウンスkoGALS」の阪本善尚が担当している。主演は「東京夜曲」の倍賞美津子と、「スピード2」のボー・スベンソン。
ユーザーレビュー
「ユキエ」のストーリー
ルイジアナ州バトンルージュ。ユキエは、元空軍パイロットのリチャードと結婚し、40余年という歳月をこの地で過ごしてきた日本人女性。実家に祝福されず、嫁いできた先では人種差別にあったが、夫に愛され、ふたりの息子に恵まれた彼女の人生は幸せだった。ところがある日突然、彼女は不治の病といわれるアルツハイマーに冒されてしまう。8年前、ビジネスパートナーの裏切りによって財産を失い、裁判で有罪判決を受けていたリチャード。彼は、彼女の病気がその事件に起因しているのではないかと考え、自分の無実を証明することが何よりの治療と、名誉回復に躍起になる。そんな父の姿を見て、息子のマイケルとランディは、母親を病院へ預けた方がいいと勧めた。しかし、リチャードはその意見に頑として反対。ユキエの面倒は自分で看ると宣言する。だが、ユキエの病状は徐々にではあったが、息子たちの顔が分からなくなったり、夜中に外を徘徊するほど確実に悪化の一途を辿っていた。ある日、ランディが婚約者の日本人女性・ヨーコを連れてやってきた。ヨーコから故郷の話を懐かしく聞くユキエ。そんな時、彼女の表情は一時ではあったが病気とは思えない輝きに満ちる。「この病気は、あなたたちへのスローグッバイ(ゆっくりしたお別れ)だと思っているのよ…」 息子の訪問に、そう言って感謝するユキエ。そんな妻を見て、リチャードは自分の無実の証明などに時間を費やすのではなく、ふたりに残された僅かな時間を大切に暮らしていこうと心に誓うのであった。
「ユキエ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ユキエ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1998 |
公開年月日 | 1998年2月14日 |
上映時間 | 93分 |
製作会社 | エッセン・コミュニケーションズ作品(企画*エッセン・コミュニケーションズ/制作*エッセン・ニューヨーク) |
配給 | シネマ・クロッキオ=近代映画協会 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | ドルビー |
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